【TIPS】メンバーが何人いれば、オンラインコミュニティはスタートできる?
“コミュニティをスタートするには、メンバーになってくれそうな人が何人くらい必要なのだろう”“いざコミュニティをスタートしても、メンバーがちゃんと集まるのか不安”オンラインコミュニティを始めようと思った時、こんな疑問や不安が浮かんでくる方も多いようです。確かに既存のオンラインコミュニティはそれぞれ規模感が異なりますし、コミュニティ運営に関する情報もまだ少ないので、メンバーが何人いればコミュニティがスタートできるのか、正解がわかりにくいですよね。そこで、今回はオンラインコミュニティをスタートする時に最適なメンバーの人数について考えていきたいと思います。コミュニティをスタートする時に必要な人数の考え方オンラインコミュニティが増加するにつれて、その内容や規模も多様化しています。芸能人や実業家がオーナーとなり、数千・数万のメンバーを抱えるコミュニティもあれば、一個人がオーナーとなり、少人数でゆるくつながるコミュニティもあります。最近のオンラインコミュニティの動向を見ていると、著名人がコミュニティを始めたからといっても、すぐにメンバーが何百人と集まっているわけではなく、メンバーが100人を超えるコミュニティはまだまだ多くないようです。ですが、規模の大小に問わず、うまくいっているコミュニティは存在しています。それぞれに個性を持つオンラインコミュニティだからこそ、「コミュニティをスタートする時に、メンバーが◯人集まれば、良いコミュニティになる」というような成功法則は、まだ見つかっていないように思います。そして、これからも一つの法則では語りきれないのが、このオンラインコミュニティという分野なのかもしれません。コミュニティ運営においては、この人数という数字を「どのように捉えるか」が重要なのです。
大切なのは「人数」だけでなく「熱量」ここまで読んでくださった方の中には、「あれ、メンバーの人数に正解はないの? 」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。さすが、鋭いですね! オンラインコミュニティをスタートする時、メンバーに関して特に考えていただきたいのが、メンバーの「人数」だけでなく、メンバーの「熱量」です。オンラインコミュニティの魅力は、コミュニティを運営していく過程で、「コミュニティの参加者」であったメンバーが、「コミュニティの仲間」となり、コミュニティを共創していくプロセスそのものです。だからこそ、コミュニティに対して熱量の高い「コアファン」がどれだけいるかが大切です。たとえ少数でも、一人ひとりの想いが熱いものであれば、コミュニティが動き出し、熱狂が生まれます。その熱狂がメンバーを通して、コミュニティの外にも広がることで、おのずとメンバーの数は増えていきます。コミュニティを始める前に何万人ものフォロワーがいる必要はありません。実際に10人でスタートして、100人単位にまで成長したコミュニティは多くあります。ここでひとつ事例をご紹介します。スクリーンショット 2021-11-29 16.38.56.png 655.62 KBミーニングノート開発者 山田智恵さんが主宰するコミュニティ『ミーニング・ノートコミュニティ』。2020年1月にミーニングノートを継続的に実践してもらうための場としてスタート。安心安全な場を作るために3ヶ月に1回新規メンバーを募集する形をとり、第一期生は“全員の顔が見えて仲良くなれる人数”として「30人」を目標にメンバーを募集。目標を下回る19人で活動スタートしたミーニング・ノートコミュニティはその後1年半で100人を越える規模に成長しています。オーナーとしてコミュニティを運営していく中で、山田さんが常に重視しているのは集客よりも「運営」だと言います。どんなに多くの人がコミュニティに参加しても、「参加してよかった」と思ってもらえる場でなければすぐにやめてしまうと語る山田さん。だからこそ、「まずは本当に良い場所だと思ってもらえるコミュニティを作ろう」と考え、コミュニティに参加してくれたメンバーの満足度と、コミュニティの熱量を上げることに注力されたそうです。その結果、山田さん自身がSNS(Instangram)やトークイベント、著書を通してメンバー募集を告知していた当初のスタイルから、今やメンバーの紹介での入会が3割を占めるまでに。メンバーとしても人におすすめしたくなるコミュニティに成長したのです。▼ミーニング・ノートコミュニティについてはこちらからチャンスや意味づけについて仲間と学ぶコミュニティ
コアファンとは?オンラインコミュニティにとって重要な存在である「コアファン」とは、どのような人なのでしょうか。もう少し深掘りしていきたいと思います。まず、「ファン」について考えてみましょう。日常的によく使う言葉のため、改めて説明しようとすると難しく感じるかもしれませんが、ファンとは「支持者」であり「応援者」だと言えます。特定の物事の価値観や世界観に共感し、支持・応援する人です。次に、「コアファン」です。コアファンは、ファンの上位概念で、言ってみればファンの中のファン。より強い想いをもって支持・応援する熱狂的なファン=「コアファン」と表現できます。ここで、今回のテーマである「人数」についても触れてみたいと思います。みなさんは「パレートの法則」をご存知でしょうか。「全体の8割は、全体を構成するうちの2割の要素が生み出している」という法則で、ビジネスにおいては、「全体売上の8割は、上位2割の優良顧客(=ファン)が支えている」と言われています。ファンをベースにして経営やマーケティングを行なっていく考え方「ファンベース」を提唱する佐藤尚之(さとなお)さんは、著書『ファンベース』の中で、「ファンとは少数であり、パレートの法則と同じく全体の20%くらい、コアファンになるとさらに少なくなり4%くらいである」と述べています。このことから、コアファンは全体のうちの少数であり、割合としては少なくなることがご理解いただけると思います。何人からコミュニティをスタートすればいいの?改めて今回のテーマである「メンバーが何人いればオンラインコミュニティはスタートできるのか」という問いに立ち戻ってみたいと思います。ここまでの流れでご理解いただいている通り、オンラインコミュニティをスタートするにあたっては、メンバーの人数に正解はなく、メンバーの熱量が大切であり、熱量の高いメンバーは全体のうちの少数です。これらを前提に、何人でコミュニティをスタートすれば良いのかというと、人数にとらわれず、現在のコアファンからスタートするのがおすすめです。現在のコアファンが10人なら、まずはその人たちと一緒にコミュニティを始めてみてください。では、なぜコアファンからスタートするのが良いのでしょうか? みなさんは「焚き火理論」を聞いたことがあるでしょうか。コミュニティの立ち上げやチームビルディングのコツを焚き火に例えた表現です。ここでは、楽天大学学長の仲山進也さんがお話されていた例えをご紹介します。たき火をイメージしてみてください。薪がたくさんあるところにいっぺんに火をつけようと思ってもなかなかつきませんよね。まず、直接薪ではなく、燃えやすいもの(新聞紙や着火剤)に確実に着火して火種を作り、燃えてきたら、徐々に薪をくべます。そして、数本、数十本、数百本の薪に燃え広がっていきます。この例をコミュニティに置き換えると「着火」=メンバーの心に火をつけるということ。最初は人数を絞ってメンバーの心に火をつけ、そこから徐々に人数を増やしていくほうが、コミュニティ内に熱がうまくまわっていくのです。特にビジネスの視点で考えると、一気にメンバーの数を増やすことにフォーカスしがちです。ですが、一気に火をつけようとすれば、熱がうまくまわらず、結果的に下火になってしまいます。また、湿った薪にいくら火を着けようとしてもうまく着かず、火は小さくなってしまいます。つまり、コミュニティに全く興味のない人を無理に巻き込めば、人数は増えても熱量は下がってしまうのです。どのように火の着きやすい薪=熱量の高い「コアファン」を確保するかは、コミュニティ開始前の重要なポイントです。以上が、コミュニティをコアファンからスタートする理由です。それぞれのコミュニティに合ったサイズ感で、確実にコミュニティに火入れし、ゆっくりと育てていくことで、熱量が高すぎず、低すぎない、長く火が灯るコミュニティを創っていきましょう。friendship-gb03c3bfc2_1920.jpg 341.69 KB ***今回は「メンバーが何人いれば、オンラインコミュニティはスタートできる?」というテーマでお届けしました。この問いに一言で答えるならば、「コアファンがいればコミュニティはスタートできる」ということです。コアファンが10人いるとすれば10人からスタートして育てていけば良いし、100人いるのであれば100人からスタートすれば良いのです。メンバーの数は、それぞれのコミュニティの規模・活動によって当然異なります。大切なのは、ご自身の活動や趣旨にあった規模感を理解し、それに適したスタートを切ることです。今回の内容がみなさんがコミュニティをスタートする時に、少しでもヒントになったら嬉しいです。参考文献:佐藤尚之氏『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年楽天大学学長 仲山進也氏「焚き火理論」 OSIRO資料ダウンロードはこち 村山 愛津紗コミュニティアドバイザー / ライター広告代理店、クラウドファンディング運営会社にてコミュニケーションデザインを担当後 独立。 最近は執筆やコミュニティ運営のサポートを行っている。 自身も複数のオンラインコミュニティにメンバーとして参加し、生き方、暮らし方の変化 を日々体感中。