読書は「一人で頑張って読むもの」という呪縛を解き、本をソーシャルな体験へ。本が読めない背景や、コンテンツ過多の時代に必要な体験設計とは?ブッククラブ(読書会)が持つ「自己理解・共感・創造性」を育む本質的な力を解説。読書のたのしみを誰かに伝えたい主宰者必見のTips記事です。
「本を読まなければいけないのはわかっている。でも、なかなか手が伸びないんだよね……」 あなたの周りに、そんな悩みを持つ方はいませんか? 本好きにとっては、読書は一人思索に耽る「孤独なたのしみ」だと感じますが、読書が苦手な人にとっては「一人で静かに、頑張って読み切らなきゃならないもの」。だからこそ、苦手意識を払拭できないものです。 そんな「孤独な読書」のイメージがかけ離れていることが、本好きと読書が苦手な人との距離をより開かせている原因かもしれません。 しかし、果たして本のたのしみ方は、孤独に読む「だけ」なのでしょうか? 本記事では、10年近くにわたりオンラインコミュニティのプラットフォーム「OSIRO」を提供し続け、読書会コミュニティの立ち上げ・運営にも数多く携わってきた私たちとして、「共に読む」本のたのしみ方 を提案したいと思います。 本が苦手な人が直面している背景を紐解きつつ、読書を「ソーシャルな体験」として再定義し、本を通じて継続的にたのしい体験ができる場所「ブッククラブ」を運営していくためのヒントを解説します。
📘本記事のサマリー ・現代人が「本を読めない」背景と体験設計の必要性: 可処分時間の奪い合いという背景を紐解き、本を単なる情報の束ではなく、コミュニケーションを誘発する「装置」として再設計する重要性を解説します。・「頑張って読む」から「ソーシャルにたのしむ」への転換: 孤独な作業という固定観念を解きほぐし、五感や遊び心を取り入れた多彩なアクティビティを通じて、読書を「開かれた体験」へと拡張するヒントを提示します。・新たな読書体験を創造する「3つの本質的な力」: 解釈の無限の広がり、自己を映し出す鏡としての対話、そして創造性と共感の開放という、ブッククラブならではの価値を深掘りします。
なぜ「読めない人」が増えているのか? その背景にあるもの
現代において「本が読めない」のは、決して個人の能力の問題ではありません。
出版科学研究所の統計によれば、紙の書籍の販売金額はピーク時の半分にまで減少(※1)し、文化庁の調査でも「1ヶ月に1冊も本を読まない人」(※2)が半数を超えています。
この背景には、SNSや動画配信サービスなど「コンテンツ過多」の時代における、可処分時間の奪い合いがあります。
SNSや動画配信はより手軽に、受動的に享受できるような進化を遂げて可処分時間のシェアを増やす一方で、本を読むという行為は比較的多くの時間を占めるため敬遠される傾向にありました。書籍の販売において、少しずつ電子書籍のシェアは伸びてはいるものの、市場全体としては減少を続けているのが現状です。
一方で、本に関する話題はネガティブなものだけではありません。2026年に出た最新のデータ(※3)によれば、
2025年の出版市場は依然として減少は続いているものの、「書籍」の販売額は減少が止まり、ほぼ横ばいではありますが微増に転じています 。
出版販売はベストセラー作品の登場などの要因も大きいですが、それでもこのような結果となったのは出版社や書店をはじめとする出版業界の方々全体の努力が実ったかたちであるといえます。このような機運をさらに盛り上げていくためにも、
本をめぐる「体験」を再設計することが大切 になっています。
今の時代、
本は単なる「情報の束」ではなく、人々がフィジカルに交流するための「きっかけ」としての役割を強く求められています 。溢れる情報の波の中で埋もれないためには、本そのものが読者の元へ能動的に近づき、コミュニケーションを誘発する装置へと進化しなければなりません。
情報が溢れ、コンテンツの選択肢が多い時代だからこそ、
能動的に本と向き合うための動機づけが求められている といえます。
ただ「読む」という個人の完結を促すのではなく、その後の「語り」や「共有」までを見据えた、ソーシャルな接点を提示することが不可欠なのです 。
※1 出版科学研究所『日本の出版販売額』(2024年) ※2 文化庁「令和5年度 国語に関する世論調査」 ※3 出版科学研究所『2025年出版市場(紙+電子)』
「本は頑張って読むもの」という固定観念を解きほぐそう!
「読書=孤独な作業」というイメージは根強く、本を読み切れない自分を「根気がない」「教養が足りない」と責めてしまう人は少なくありません。 まずは「一人で読み切らなければ」という固定観念を捨て、読書を「誰かと一緒にたのしむソーシャルな体験」 に変えてみましょう 。完璧な理解を求めるのではなく、本をきっかけに人とつながること。その視点の転換が、読書のハードルを劇的に下げてくれます 。 単に「本を読みなさい」と勧めるだけでは人の心は動きません。いま必要なのは、読むという営みを「より開かれた体験」へと設計し直すこと です 。 ただ情報を受け取るだけでなく、本を通じて他者の感性に触れ、自分の心が揺さぶられるプロセスそのものを「体験」として提供する 。その有力なソリューションの一つが「読書会」 です。 具体的には、本を「読む」だけではない多彩なアクティビティが有効です。例えば、著者との対話をたのしむ「ゲストトーク」や、各自が推し本を熱く語る「ビブリオバトル」は、本への理解をさらに深めたり、本を名刺代わりにした深い交流を生みます。 また、小説の舞台を実際に歩く「聖地巡礼」や、本を読んだ感動や著者を推したい気持ちを言葉にする「本の帯づくり」といったワークショップ形式での創作活動、ブックカフェや書店巡りなどは、読書を五感でたのしむ体験へと拡張させます 。 さらに、悩み事へのヒントとなる一言を積読本の内容から探す「おみくじ読書会」といったゲーム性の高い読書会もあります。ちょっとした遊び心を加え、本が持つ価値を身近に再発見できる仕掛けも、読書が苦手な人を惹きつける大きな力となります 。 そのような体験を単発のイベントで終わらせず、コミュニティとして継続的に運営していく仕組みこそが「ブッククラブ」 なのです。
ブッククラブは「新たな読書体験を創造する場」
ブッククラブを継続していくことで、読書は「学び」や「教養」の枠を超えた、人生を豊かにする活動へと拡張していきます。主宰者が参加者に伝えたい、ブッククラブの本質的な力は以下の3点です。
一冊から生まれる景色が、無限に広がる: 一人ひとりが視点や感情を持ち寄ることで、一冊の本から生まれる解釈やたのしみ方は無限に広がります 。他者の思考が、自分を映し出す「鏡」になる: 対話を通じて他者の思考に触れる過程で、自分自身の価値観を見つめ直し、新たな自分を発見することができます 。創造性と共感のスイッチを入れる: 読書が知識の吸収に留まらず、「自己理解」や「共感」、「創造性の開放」へとつながる入り口になります 。
ブッククラブは「新たな読書体験を創造する場」なのです。
💡 本記事のまとめFAQ Q1. 読書習慣がない人をブッククラブに誘うコツはありますか? A. まずは「勉強会」ではなく「遊び場」として提案するのはいかがでしょうか。「一人だと読めないけれど、みんなでワイワイとたのしんでいこう!」というソーシャルな魅力を伝えていきましょう。Q2. 読書会とブッククラブの違いは何ですか? A. 読書会は本を語り合う「活動(アクティビティ)」を指し、ブッククラブはそれを継続的に行い、本を中心に人がつながり続ける「コミュニティ(場)」を指します 。Q3. 主宰者として、参加者の「読めない」という不安にどう寄り添えばいいですか? A. 「読みたいけど読めない」のは、現代社会において自然なことだと伝えましょう 。完璧に読んでくることよりも、その場で他者の言葉に触れ、自分の心がどう動くかを大切にする「共創の場」であることを強調してください。また、「読了しなくてもOK!」や「わからないところを素直に話し合っていこう!」といった参加ハードルが低い企画の立て方をしていきましょう。
OSIROでは、書籍や読書を通じた新たな価値提供のあり方を検討する読書会やブッククラブの主宰者、出版社や書店、著者の皆様に向けて、オンラインコミュニティを活用したブッククラブの立ち上げ支援をしております。
オンラインコミュニティの立ち上げから運営に関する豊富な支援実績のもと、立ち上げ時のコミュニティ設計、運営までサポートいたします。
検討段階での壁打ちからご相談を承っておりますので、ぜひ下記フォームからお気軽にお問い合わせください。
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オシロ代表・杉山博一による連載『偏愛物語』(note)にて、ブッククラブの情報を発信中! 本や読書にまつわるアクティビティを指す「ブッククラブ(読書会)」は現在、世界的にも大きく注目されています。オシロ代表・杉山博一がnote内に投稿する連載『偏愛物語 』では、ブッククラブ(読書会)のトレンドやそのあり方について発信しています。ブッククラブ(読書会)関連の記事一覧はこちらから!