読書会を開催したいけど、具体的なやり方がわからない方へ。4つの主なスタイルと具体事例、目的別の開催方法がわかる診断チャート付き。出版社・書店・著者の企画にも役立つ、継続的な場づくりのヒントを解説します。
読書会とは、同じ本やテーマをもとに人が集まり、感想や意見を交わす場のこと。
単なる感想を言い合うのにとどまらず、作品やテーマの理解を深めたり、参加者同士の交流を促します。
出版や書店の現場、あるいは著者の方にとっては、自社が刊行する書籍やおすすめしたいタイトル、自著を読者とともに語り合い、作品への深い理解や読者との深いつながりを生み出すメリットがあり、実際に読書会を実施する事例も増えてきています。
一方で、「読書会はおもしろそうだけど、本当に効果や意義があるのだろうか?」「読書会にはどんな種類があり、どんな風に運営すればいいのだろうか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、「タイプ別診断チャート」とともに、あなたやあなたの組織にとって最適な読書会スタイルを見つけるためのヒントをご紹介します。診断結果とあわせて、各スタイルの特徴や具体的な形式例もまとめていますので、企画や運営の参考にしてください。
📕本記事でわかること
・読書会の4つの主なスタイルと、それぞれの特徴・メリット
・各スタイルに適した具体的な進行例や実際の事例
・「Yes / No」に答えるだけで自分に合う形式がわかる診断チャート
・読書会を企画する前に考えるべき3つのポイント
・読書会を継続的な価値ある場に育てる「ブッククラブ(読書コミュニティ)」に移行する方法
読書会にはどんな種類がある? 〜企画の意義を考える〜
「読書会を企画したい」と考えた時、まず考えるのは「参加者の姿」だと思います。本を読み、その感想や意見を交わし合うのがゴールだと考えると、問題になるは「どのように運営をすればいいのか?」だと思います。
想定される参加者の方々に読書家が多い場合、読書会までに読んでくる本(課題本)を指定し開催するのは問題ありません。しかし、現状としては「読書をする習慣がない方」が多いことは事実です。
文化庁の調査(※)によると、「1か月に1冊も本を読まない」と答えた割合は62.6%にものぼります。読書をする習慣がない方も含めて読書会を企画したいと思う場合には、まず参加ハードルを下げ、少しでも本を読むことへの興味づけを行えるような企画・運営を考えるのがベターです。
※文化庁『令和5年度「国語に関する世論調査」の結果の概要』
では、具体的に読書会にはどのようなスタイルがあるのでしょうか?
OSIROでは、読書会を以下の図のように4つのスタイルに大別しています。それぞれが持つ役割や場の空気感は異なり、目的や読者層に合わせて選ぶことで、イベントの満足度や継続性が高まります。
読書会のスタイル一覧.png 606.51 KB読書会の4つのスタイル
1.アウトプット重視型
特徴
読書から得た学びを、自分の言葉で形にして発表、またはディスカッションすることに重点を置くスタイル。発表やディスカッションを前提に読むため、インプット・アウトプットを繰り返すことで、読書を通じたより深い学びの体験を提供することができます。
アウトプット重視型読書会の例
・ゼミ型読書会:一定期間で一冊の本を読み・対話するゼミ形式の読書会
・ブックレビュー作成会:会中にレビューを執筆し共有。オンラインで非同期で開催する場合も
・図解ワークショップ:本の内容を図やマインドマップにまとめるワークショップ形式の読書会
主な効果
・思考整理・記憶定着による知の深化の促進
・アウトプットによる発信力・表現力の向上
・長編や難解書をじっくり学べる
具体的な事例
問い読(問いからはじめるアウトプット読書ゼミ)
元NewsPicksパブリッシング創刊編集長である井上慎平さん、元『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』編集長である岩佐文夫さんが主宰するオンライン読書ゼミ。一人で読み切るのは難しい「ちょいムズ本」を仲間と読み切る全6回・ゼミ形式での読書会を開催。
読書、問いを立てるワーク、仲間との対話から、より深い内容理解とともに、「答えのない問い」を考える思考力、異なるバックグラウンドを持つ者同士でのフラットな対話から、幅広い視野と対話する力を培います。
2.内容理解・対話型
特徴
ある特定の本(課題本)を読み、感想や意見を交わす、オーソドックスな読書会のスタイルです。他者の読み方や解釈を知ることで、自分の理解が広がります。
内容理解・対話型読書会の例
・テーマディスカッション:あらかじめ問いを設定し、それに沿って話す。
・著者レクチャー付き読書会:著者がゲスト参加しレクチャーをしつつ、読者と作品の感想や意見を交換する読書会
・輪読会:一節ずつ読み進めながら内容を確認。
主な効果
・読書のモチベーション維持
・解釈や理解の幅を広げる知的刺激
・新しいジャンルや難読本に挑戦しやすい
具体的な事例
猫町倶楽部
年間300回以上の読書会を全国で開催する日本最大級の読書会コミュニティ。非常に多彩なスタイルの読書会を開催していることが特徴で、著者を招いた読書会の開催やラウンジを貸し切った読書会、ドレスコード付きの読書会など、非常に幅広い課題本とともにユニークな形式で読書会を楽しめます。
また、主宰者である山本多津也さんは、猫町倶楽部の運営経験から読書会開催に際しての主宰者の考え方、方法論を解説した「読書会のバイブル」ともいえる著書『読書会入門 人が本で交わる場所』(幻冬舎、2019年)を上梓しています。ぜひご参考にしてください。
3.交流・エンタメ型
特徴
本を軸にしながらも、交流や楽しさを重視したカジュアルなスタイル。読書習慣が浅い人も参加しやすく、「読書をする最初の一歩」の興味づけをしたい方、チームやコミュニティ内での相互理解を促進したい方におすすめです。
交流・エンタメ型読書会の例
・ブックトーク:「今読んでいる本」「人生を変えた1冊」などテーマに沿って話す。
・本の持ち寄り会:参加者が好きな本を持参し紹介し合う。
・ゆる読書会:本の読了を参加条件とせず、感想や自分の考えたこと、推し本(自分がおすすめしたい本)のシェアを目的とした読書会。
主な効果
・新しいジャンルや著者との出会い
・趣味や価値観の共有を通じたつながり
・書店や著者イベントとの親和性が高い
具体的な事例
flier book labo
本の要約サービス「flier」を提供する株式会社フライヤーが運営する読書コミュニティ。「本からの気づきや、コミュニティメンバーとの交流、著者との実践講座を通して、学びを育てる場所」として、著者を招いた講座型の読書会のほか、グループで好きな本を持ち寄って感想を共有するシェア型読書会「FELLOW」を開催しています。
「FELLOW」にはflier book labo独自のワークシートを使用するため、自身の感想をシェアしやすいのに加えて、選書自由、読了していなくても参加可能など、参加しやすく本を起点にした交流がしやすい工夫が散りばめられています。
フライヤーでは、flier book laboの会員以外の方でも「FELLOW」をはじめとするアクティビティを無料で体験できるイベントも開催しています。ご興味のある方はぜひ参加してみてください。
4.もくもく会型
特徴
交流ではなく「読書」そのものを目的とし、一定時間黙々と読むことに集中するスタイルです。最初に読む本の紹介、目標のページ数などをシェアする時間を設けることもありますが、それ以外は会話をせずに読書をする時間になります。最後に感想をシェアしたり交流時間を設ける場合もありますが、任意参加を基本とすることが多いです。
もくもく会型読書会の例
・もくもく読書会:静かに読んだ後、希望者だけ交流。
・積読解消会:家で積読になっている本を持ち寄り、その場で読む。
・非同期型読書会:オンライン上のみで完結させる読書会。チャットやコメント欄などを使い、指定/任意の本をそれぞれ読み進捗や感想をシェアし合うもの。
主な効果
・読書習慣の継続
・集中力の強化
・アウトプットへのハードルを下げる
具体的な事例
Book Community Liber
書評YouTuber・アバタローさんが主宰する読書コミュニティ。「本と仲間と出会える、アウトプットの遊び場」をコンセプトに、読書会をはじめインプットとアウトプットを両立させる、さまざまなアクティビティが用意されています。
そんなLiberでは、毎月第3週目の1週間、就寝前の1時間で読書習慣をつける夜のブック・ラウンジ「Good Night Cafe」を開催しています。オンライン開催で、それぞれの参加者は発言もカメラをオンにする必要もなく、ただひたすら1時間読書に集中するというもの。
任意参加で、チャットでの発言も自由にできることから、ゆるやかなつながりの中で読書に集中できるアクティビティです。
あなたにぴったりの読書会はどれ? 診断チャートをやってみよう!
ここまで、読書会の主なスタイルについて紹介してきました。
しかし、類型を見て「なるほど、読書会にはこんな種類があるのか」と思っても、いざ自分が開催するとなると「結局どのスタイルが合っているのか、まだわからない…」と感じる方も少なくありません。
そこで、
自分のやりたいことを 「Yes / No」で答えるだけ で、おすすめの読書会スタイルがわかる診断チャートをご用意しました。
読書会を企画する最初の一歩として、ぜひ下記のチャートをご活用ください。
読書会スタイル診断チャート.png 610.13 KBあなたがやりたい読書会がわかるスタイル別診断チャート
この診断チャートを試しながら、あわせて 「なぜ自分は読書会を開きたいのか」 をぜひ深掘りして考えていただきたいです。
目的が明確になると、スタイル選びや運営方法も自然と定まり、読書会が単なるイベントではなく、より意義深い場となります。
例えば、こんな問いを自分に投げかけてみてください。
・誰のための読書会なのか?
新刊の読者、既存ファン、地域の人々、あるいは職場やコミュニティの仲間など、対象によって選書や場づくりは大きく変わります。
・読書会を通じてなにを実現したいのか?
本の理解促進、販売促進、ファンとの関係構築、ブランド価値向上など、ゴールが見えていると企画の骨格が固まります。
・どんな体験や雰囲気を提供したいのか?
静かに読み進める集中の時間、ざっくばらんな交流、深い議論…場の空気感をイメージすることはとても大切です。
この3つを意識した上でチャートに進むと、「好きなやり方」ではなく「目的に合ったやり方」で読書会をデザインできるようになります。
読書会を「継続的な場」に育てていくには?
読書会は一度きりのイベントとしてもとても魅力があり、楽しいものです。しかし、読書会をより価値ある場としていくためには、「継続性」と「コミュニティ化」の二点が重要になります。そして、このような本や読書を活動の軸としたコミュニティを、OSIROでは「ブッククラブ」と定義しています。
読書会とブッククラブの違い
読書会:本をテーマとした単発〜数回程度開催される「イベント」
ブッククラブ: 読書会をはじめ、読書や本を軸にした活動の継続運営を志向する「コミュニティ」 ≒ 読書(会)コミュニティ
単発の読書会では感想や学びが「その場限り」で終わってしまいがちですが、「ブッククラブ」として継続する場になっていくと、次のような効果が期待できます。
・読書による学びの深化
定期的に集まることで、一冊の本から得られる知見を実生活や仕事に結びつけやすくなります。
・安心して本について語り合える関係性の構築
参加者同士の信頼関係や心理的安全性が育ち、より率直で深い対話ができる場が醸成されます。
・自己理解の促進
他者の視点に触れることで、自分の価値観や思考のクセを客観的に見つめ直せます。
・新たな本/ジャンルに触れる機会の創出
継続してさまざまな本で読書会を開催する/多様な興味関心を持つ人から本をおすすめされるサイクルから、読書習慣を身につけるだけでなく、自身の興味関心を広げさまざまな本やジャンルに触れる機会を創出します。
特に、出版社や書店、著者の方が主宰する場合、こうした「続く場」こそが読者との強固なつながりや作品の長期的な価値の醸成につながります。
読書会とオンラインコミュニティの相性が良い理由
上記で取り上げた事例のように、OSIROを導入するブッククラブ(読書会コミュニティ)は非常に多彩です。また、
読書会コミュニティに限らず、さまざまなコミュニティで読書会が盛んに開催されています。
読書会とコミュニティの関係.jpeg 190.03 KB読書会系コミュニティ以外でも読書会は頻繁に開催されている
オンラインコミュニティでの読書会の開催状況についてはこちら▼
【直近3年で開催数が約2倍に増加!】大人の読書離れが進む中、オンラインコミュニティ内で開催数が増加する「ブッククラブ(読書会)」の実態を調査
OSIROは「人と人が仲良くなる」を開発思想に約10年開発を続けてきた、対話や感情共有を重視したコミュニティプラットフォームです。そのため、
年齢や世代、性別の垣根をなくし安心して自身の気持ちや学びをシェアし合う読書会を実現できます。
読書会参加者の年齢差.jpeg 182.62 KBOSIROで開催された読書会参加者の年齢差。ほとんどのイベントで世代を超えた参加者同士の意見交換がされている
世代を超えた読書会の実施状況やその意義についてはこちら▼
【参加者の年齢差20歳以上が約63%!】Z世代と70代シニアをつなぐ“対話の場” 「ブッククラブ(読書会)」の実態を調査
また、読書会の運営だけでなく、事前の興味づけ(課題本紹介や質問共有)や事後のアウトプット(感想投稿や派生ディスカッション)を自然に生み出せる環境が整っているのがOSIROの特徴です。
そのような特徴から、オンラインコミュニティは「ブッククラブ」を構成する以下の要素との親和性が高いことがあげられます。
・メンバーシップ(継続性を生む枠組み):
単発の読書会イベントで不特定の参加者を募るのではなく、主宰者の思想に共感する/興味関心を共有する特定のメンバーが継続的に参加する場
・情報の蓄積性(アーカイブ・ストック志向):
過去の読書会の感想、ディスカッションの要約、推薦図書リスト、イベントレポートなどを整理・ストックすることで知見や感情の記録を資産化
・継続的対話(読書の前後体験をデザイン):
「その場限りの対話」ではなく、読書に関わる前後体験を提供することで、継続的な学びと対話を育むサイクルをデザイン
・自由と安全性の両立(心理的基盤を確立):
参加者が自由に意思表明や表現ができる余白を持ちながらも、心理的安全性が高く安心して発言・交流ができるクローズドな環境を整備
これらの特徴から、読書会が単なるイベントではなく、継続的に学びと交流が育つ「ブッククラブ」として機能します。
💡本記事のまとめFAQ
Q1. 読書会とブッククラブはどう違うの?
A.読書会は本をテーマにした単発または数回のイベントです。一方でブッククラブは、本や読書を軸に継続的に活動するコミュニティと位置付けられます。
Q2. どの読書会スタイルを選べばいいのかわかりません。
A.記事内の診断チャートで簡単に方向性を確認できます。さらに「誰のために」「何を実現するために」「どんな体験を提供したいか」の3つを整理すると、自分に合ったスタイルが見えやすくなります。
Q3. 参加条件に「課題本」を設定する必要はあるのでしょうか?
A.スタイル次第です。記事内の診断チャートでの「アウトプット重視型/内容理解・対話型」では、本の読了を参加条件としているケースも多いです。一方で、「交流・エンタメ型/もくもく会型」では、未読でも参加可能にすることで参加ハードルを下げやすくなります。読書会の目的や参加者のニーズ、読書習慣の有無などにより参加ハードルを調整するのがベターです。
Q4. 読書会に最適な人数は?
A.参加人数は場や趣旨によって変化するものですが、やはり一人ひとりが話しやすいと同時に適度な発言機会をつくるためには少人数であることが望ましいです。参加者が多い場合はディスカッション時に少グループに分けるなど工夫しましょう。また、それぞれのグループにファシリテーター(進行役)を置き、参加者の発言バランスや深い対話をサポートするのもよいです。
Q5. 読書会を「一度きり」で終わらせず、継続的な場にするには?
A.「単発ではなく定期開催(日程を先に決める)にする」「記録や感想をアーカイブできる場を用意する」「メンバーが自主的にテーマを持ち寄れる仕組みをつくる」「安心して発言できるルールをつくる」。これらを整えることで、読書会は「ブッククラブ」へと育っていきます。
Q6. 出版社や著者にとって、読書会やブッククラブを開催するメリットは?
A.例えば「書籍理解の促進(読者が深く読み込み、感想を共有する)」「販売促進(イベントを通じて購入や関連本に広がる)」「ファンとの関係構築(継続的に接点を持てる/読者心理の理解促進)」「ブランド価値の向上(「本のある体験」を提供する)」などがあげられます。
Q7. 読書会はオンラインとオフライン、どちらでやるべき?
A.目的と対象読者によります。全国からの参加者を集め、議論を深めたい場合はオンラインを、リアルな交流や実地での体験を重視したい場合はオフラインで実施します。また、双方のメリットを活かすハイブリッド開催も頻繁に開催されています。
Q8. 安心して発言できる環境づくりのコツは?
A.「ルールやガイドラインを事前に共有する」「モデレーターやファシリテーターを配置する」「否定しない・遮らない姿勢を大切にする」「発言しなくても参加できる余白を残す」など、自由と安全性を両立させることがブッククラブの持続性につながります。
OSIROでは、書籍や読書を通じた新たな価値提供のあり方を検討する読書会やブッククラブの主宰者、出版社や書店、著者の皆様に向けて、オンラインコミュニティを活用したブッククラブの立ち上げ支援をしております。
オンラインコミュニティの立ち上げから運営に関する豊富な支援実績のもと、立ち上げ時のコミュニティ設計、運営までサポートいたします。
検討段階での壁打ちからご相談を承っておりますので、ぜひ下記フォームからお気軽にお問い合わせください。
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オシロ代表・杉山博一による連載『偏愛物語』(note)にて、ブッククラブの情報を発信中!
本や読書にまつわるアクティビティを指す「ブッククラブ(読書会)」は現在、世界的にも大きく注目されています。オシロ代表・杉山博一がnote内に投稿する連載『偏愛物語』では、ブッククラブ(読書会)のトレンドやそのあり方について発信しています。
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