遠山正道さんはなぜ「詠う」のか?結成1年足らずで万博出演を決めた「新種のバンド」が目指すもの
Soup Stock Tokyo、PASS THE BATON、giraffeなどを展開するスマイルズの代表、遠山正道さんが主宰するオンラインコミュニティ「新種のimmigrations」(以下、イミグレ)で結成されたバンド「新種のImmigrationsB」(以下、Bイミグレ)が、2025年4月より始まる大阪・関西万博に出演することが決定しました。バンド結成から1年弱。異次元のスピードで活躍の幅を広げる「新種のバンド」はどのように生まれ、そして遠山さんはなぜ「詠う」のでしょうか。遠山さんに聞きました。
新種のimmigrations(イミグレ)Soup Stock Tokyo、PASS THE BATON、giraffeなどを展開する遠山正道氏が2020年に立ち上げた新事業。サブスク型の幸せ拡充再分配コミュニティ「新種のimmigrations」(通称:イミグレ)として運営。コミュニティを一つの「国のようなもの」と位置付け、月1万円の住民税(会費)を出して集まる『賢き朗らかでユニークな住人(会員)』同士のブレストから、新たなプロジェクトの創出を応援。イミグレ内外のプロジェクトやアーティスト等に対し、会費を用いた少額投資なども行う。さらに、代官山の共同スタジオや、都会から少し離れた良き”場”を、仕事やつながりや休息のために共有している。自律した経済と幸せの新しいカタチを希求する取り組みとして、長の遠山氏を含めた住人たちが活動している。詳細・申し込みはこちら
「知らないからできた」の連続が、今につながってるDSC04883.jpeg 8.21 MB
遠山正道さん株式会社スマイルズ 代表 株式会社 The Chain Museum 代表取締役1962年東京生まれ。慶應義塾大学卒、三菱商事を経て2000年株式会社スマイルズ代表。「Soup Stock Tokyo」、「PASS THE BATON」、「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」などを展開。その他「The Chain Museum」、「Art Sticker」「新種のimmigrations」、女子美術大学教授、東京ビエンナーレなどでは作家として活動。YouTube「新種の老人」は撮影/編集/音楽を一人で行い小さな表現活動を継続している。Instagram YouTube「新種の老人」 Bイミグレは遠山さん自らがポエトリーリーディング(詩の朗読)を担当し、結成以来立て続けに新曲を発表。これまで「GROOVETUBE FES.'24」「六本木アートナイト」、「BENTEN 2024 Art Night Kabukicho」など、数々のフェスやアートイベントに出演してきています。「オンラインコミュニティから生まれたバンド」「スタジオで収録せず、各パートの録音データをミックスすることで曲を仕上げる」「10代から60代までの多彩な年齢構成」など、その音楽性だけでなく、ユニークな点がいくつも存在します。このような「新種のバンド」はどのような過程で生まれたのでしょうか。
ーーまずはBイミグレが結成したプロセスについてお聞かせください。遠山正道さん(以下、遠山): きっかけは、1年半前に私の講演に来てくれたイミグレのメンバーとごはんに行ったことから。そこでコミュマネのワッキーから『遠山さんの声がいいし、文章もずっと書いていらっしゃるから、それを朗読して音をつけたらおもしろいのでは?』という話になり。ちょうど偶然その場にはギターのともこさん、ドラムのアンドレ、それに映像作家のイギーさんもいて、自然とバンドの形ができていったんです。さらに、私が街角マチコさんのテルミン(※)教室に通っていて、彼女もイミグレの中で積極的に活動していたから、「これでマチコさんいたら完璧じゃん!」みたいな感じで、どんどん形になっていきました。※テルミン:1920年に発明された「世界最古の電子楽器」。楽器本体に触らずに音を奏でることが特徴で、垂直・水平方向に伸びた2本のアンテナにより音程と音量をコントロールする
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ーー自然な流れでバンドが結成したようですね。遠山: 別になにかを決めたり、計画したわけでもないんです。今もLINEグループがあるくらいで、ちゃんとしたミーティングもしていなくて。でも、いるべき人がいて、やろうってなったら自然と動き出していたんです。たぶん、やりたいって言ったらすぐ動ける体質の人たちが集まっていたのでしょうね。これがもしちょっとビジネスっぽい考えになると「ミッション・ビジョンは?」「ゴールは?」とか、「コストは?」みたいな話になって、結局「いや、やっぱり無理だよね」で終わってしまいがちなんだけれど、Bイミグレにはそういうのが一切なかったんです。誰に頼まれたわけでもなく、そこにいた人たちが、自然にやりたいことをやり始めた感じというか。ーーそのようなスタイルは楽曲制作にも表れていますね。遠山: 私たちの音楽は「ベッドルーム・ミュージック」とか「ガレージ・バンド」みたいに捉えられるかもしれないけれど、ちょっと違うような気がしています。基本的には私が詩を書いて、朗読して、それをスマホで録音してLINEで送る。それから、ともこさんとアンドレがギターとドラムを入れて、マチコさんが加わって、それをワッキーがミックスして出来上がる。まるでレンガを積み上げていくような感じで、予定調和のない1曲ができるのがおもしろくて。流行とは関係なく、なにがウケるかも考えずに、自分たちの流れでやっています。そういったスタイルを、なんか自分たちにぴったりな言葉で表せないかなと思って、最近は「ポエム」と「ミュージック」を組み合わせて「ぽえみゅ」と呼んでみたりもしています(笑)。自分たちがその場で録って、その場で合わせてるだけなんだけれど、それをポジティブに捉えたい。たとえばApple Musicで聴いたときに、最初は「ちょっと音荒くない?」って思われても、聴いていくうちに「ああ、そういうことなんだね」と味わってもらえたらいいなと思っています。ーー遠山さんは絵画作品で個展を開催するなど、アーティストとして活動していることで有名ですが、バンドを組みミュージシャンとして活動するのは初とお聞きしました。Bイミグレの活動にはどのような手応えを感じていますか?遠山: プロの最高のチームがつくる最高品質の曲はもちろん素晴らしいです。でも、手づくりのラフなものにはリアリティがあるし、オリジナリティが生まれます。Bイミグレはそれをおもしろがってもらえているんだと思います。私が最初に個展を開いた時もそう。なにも知らなかったからこそ、暴れん坊みたいにやれたし、それが逆におもしろがられたんです(笑)。当時はSoup Stock Tokyoを始める前のことだったけど、代官山のヒルサイドテラスっていう大きな会場をがんばって借りて、70点も作品を展示したんです。今ならわかるのだけれど、初めての個展で70点って普通じゃないこと。でも、知らなかったからできたんです。それは、今回のBイミグレも同じで、勢いがついたら止まらなくなってる。そういう純度の高いものが自然に生まれてくるんです。曲作りとライブ演奏においては、ともこさんのギターがとても重要で、決めすぎないリフと即興演奏の中間あたりを絶妙に束ねてくれているのです。そこにアンドレが即興ドラムを炸裂させ、マチコさんがテルミンを絡めていく。そして、ワッキーがそれを俯瞰的に調整しながら、私が朗読を乗せていく。すべての演奏が正解であり、練習して同じ型にはめていくという作業は、私たちには必要ありません。ーー知らないこと、初めてのことだからこそ純度が高く、オリジナリティのあるものが生まれるということでしょうか?遠山: もちろんそれは、今までのメンバーそれぞれの経験があってのことですし、私にとっては、これまでの事業や大学で教えてきた経験は、ある意味「言葉」がキーになっていると思っています。それがバンドという新しい表現活動と自然にマッチし、新しい扉を開けたという感覚を持っています。これはスマイルズでも言っていることなんですが、マーケティングは知れば知るほど、狙えば狙うほど『どこかで見たことがあるもの』になってしまう。つまり、知らなかったからこそ、固定観念に囚われずに独自のやり方でやれたんじゃないかと思うんです。だから、「やりたい」っていう気持ちが、お行儀よくすることより勝ったり、突破できることもある。でも、これをみんながやってうまくいくかはわからないけれど、少なくとも個性は出ると思うんです。そういう「知らないからできた」ことの連続が、今につながっている気がします。
楽しいからやっていることが「つながり」になる。それがコミュニティのおもしろさ
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Bイミグレの次の舞台は、2025年4月27日の大阪・関西万博でのライブ。今回のステージになるのは、メディアアーティスト、起業家であり、筑波大学図書館情報メディア系准教授の落合陽一さんのシグネチャーパビリオン「null²(ヌルヌル)」。当日のライブでは、落合陽一さんがBイミグレのステージの映像演出を担当します。
ーーバンドを組んだことで、遠山さんご自身も新しい領域を楽しんでいるように見えます。遠山: そうですね。誰もわからない領域に踏み込んでる感じがあります。今までやってこなかったジャンルだからこそ、読めない感じがおもしろいし、知らないことの強みを思う存分発揮できるなと感じています。とはいえ、もちろんSoup Stock Tokyoをやっていたからこそ、いろんなつながりから、こういうこともできたんだろうなとは思うんです。最初のフェス出演もそうだし、六本木アートナイトもそう。私、ずっと森ビルとかアートナイトとは関係があったから、『バンドで出たい』って担当者に話したら通ったのは確かです(笑)。でも、実績を積むと次につながるもので、歌舞伎町アートナイトでもライブをさせてもらえたし、今度は万博。ーーバンド結成から1年半に満たない期間で、万博という国際的な舞台でのライブ。遠山さんはどのような思いを持っているのでしょうか?遠山: あるカンファレンスで、落合さんが『今回の万博で学んだことは、今の日本には新しいものを生み出そうとする発想がないってことですね』とアイロニカルに語っていて(笑)。『万博は世界中の科学や産業、技術が結集して、見たことのないものを生み出す場のはずだ』と危機感を持ち、自らシグネチャーパビリオンを展開する決意をしています。そのような気概に共感して、というほどすごいバンドではありませんが、落合さんのパビリオンで演奏の機会をいただけたのは光栄ですね。ただ、『見たこともないものを生み出す場』なので、私たちみたいな『見たこともないものをつくる』側が入るのは意味があるんじゃないかと思っています。ーーコミュニティからバンドが生まれ、世代や年齢、場所の垣根を越え、紡ぐように音楽をつくっていく。Bイミグレ以外にも、今後もイミグレから「新種」が生まれていきそうですね。遠山: イミグレでは別に年齢を意識してるわけじゃなくて、ただ楽しいからやっているだけなんです。でも、Bイミグレの場合は、結果的に世代を超えた「つながり」になっている。コミュニティのおもしろさって、こういうところにあると思うんです。例えば、私がかかわる今の代官山ロータリークラブは、リアリティのあるメンバーを選んでいるんです。ある弁護士のメンバーは、一般的には知られてないけれど、アートやファッションに特化したユニークな弁護士の方だったりもする。イミグレもそうやって、新しい感性を持った人たちがもっと集まり、感性を刺激し合って、変化していけばいいなと思っています。もともと「こうじゃなきゃいけない」って決まりはないですから。
新種のImmigrationsB2023年秋にコミュニティ「新種のimmigrations」からうまれた、新種のバンド。コミュニティの長である、遠山正道がポエトリーリーディングを担当。ギターの澤田知子とドラムのアンドレ詩生(16歳)親子による自宅スタジオでのジャムセッションをiPhone ボイスメモで録音したトラックに、テルミンの街角マチコがエフェクトを駆使したサウンドを大胆に重ね、森脇淳一が独自のバランス感覚でミックスしたオリジナル楽曲を、次々とストリーミング配信している。・Apple Music ・Spotify ・Instagram ・新種のImmigrationsB紹介記事新種のImmigrationsB SPRING TOUR 20254/26(土)『 wit 』wit_PRTIMES_0.jpg 1.15 MB大阪文化館・天保山 OSAKA MARINA BAY SUNSET BALLLive 立花ハジメ + Hm、新種のImmigrationsB、jan and naomi、.jvknDJ KAN TAKAGI、K.Motoyoshi® | モトヨシカツヤ主催 Study:大阪関西国際芸術祭 2025前売り ¥3,800(tax in) 当日 ¥4,500(tax in) チケット発売中!https://artsticker.app/events/70985 4/27(日)14:30-15:10 EXPO 2025 大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「null²」前フリーライブ映像演出 落合陽一詳細はこちら▼https://immgr.site/events/835847b1c60d 5/3(土)吉祥寺音楽祭詳細はこちら▼https://kichion.com/2025/ 5/10(土)GROOVETUBE FES. ’25詳細はこちら▼https://www.groovetube.net/
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