有料オンラインコミュニティの月額会費はどう決めるべき?OSIROで蓄積されたデータをもとに、価格帯別の参加傾向やログイン頻度を分析。最適な会費設定の考え方とその設計ステップを、メリット・デメリットとあわせて丁寧に解説します。
オンラインコミュニティの月額会費、いくらが適切か悩んでいませんか?「高くすると人が集まらないし、期待値が高くなっちゃう...?」 「安すぎると離脱も早そうだし、集客で手一杯になっちゃいそう...」 本記事では、そんなお悩みに、実際の事例やデータを交えて、価格設定の考え方をわかりやすく解説します。
🔍本記事でわかること ・月額会費を「低め/高め」に設定することのメリット・デメリット ・実際に運営されているデータから見た月額会費とログイン頻度の傾向 ・月額会費を検討する際の検討ポイント ・月額会費を決めるまでの4ステップ
オンラインコミュニティの月額会費 を「低めにする/高めにする」メリット・デメリットとは?
有料のオンラインコミュニティを運営する時には、いわずもがな月額会費を設定することは非常に難しく、
今後どのようなコミュニティを運営し、どのような活動をしていくのかを考えた上で設定することが非常に重要 です。
では、オンラインコミュニティの月額会費を設定する際、価格を低めに設定するのと高めに設定するのとでは、どのようなメリット/デメリットがあるのでしょうか。
以下の表は、オンラインコミュニティを運営する際に月額料金を「低め/高め」で設定した際のメリット・デメリットをまとめたものです。
会費設定のメリット/デメリット.png 785.7 KB 上記のように、有料コミュニティの月額会費を設定する際には、メリット・デメリットをしっかりと把握しつつ、自身の運営するコミュニティに合った会費を設定していくことが大切です。
とはいえ、オンラインコミュニティの会費を検討する際、
多くの運営者の方々には「月額会費は安くすることで、会員の方々に負担をかけたくない」という心理が働きます 。
それは会員の方々を大切に考えているからこそであり「無理なく、そして会費以上にコミュニティの価値を感じてもらいたい」と思うのは当然のことです。そのため、
有料コミュニティのオーナーの方々の多くが、実際のコミュニティの価値よりも低めに月額会費を設定していまう傾向 があります。
しかし、会費を低く設定し過ぎてしまうと、集客のハードルは下がるものの一人あたりの収益は減ってしまい、結果としてコストに見合う収益を得ることが難しくなってしまいます。加えて、
最初に設定した月額会費を引き上げることはハードルが高く、特にコミュニティを立ち上げ初期の会費設定は、慎重に検討した上で決めるのがベター です。
ただし、「会費は高めに設定すればいい」と断言することもできません 。会費を高くすると今度は会員がコミュニティに参加するハードルは高くなり、運営者としても「会費に見合った価値を提供する」難易度も上がってしまうためです。
では、オンラインコミュニティの会費はどのような判断軸で設定していくべきなのでしょうか?
次章からは、現在OSIROで運営されているオンラインコミュニティのデータを元に、会費とコミュニティ参加への指標となる「ログイン頻度の関係」を分析しつつ、会費設定の考え方について解説していきます。
データから見る「月額料金」と「ログイン頻度」の関係
コミュニティ専用プラットフォーム「OSIRO」 では、これまで数百以上の有料コミュニティが立ち上げられており、管理画面のダッシュボードではコミュニティ内でのさまざまなデータを取得し、分析しています。
また、コミュニティオーナーや運営者の方々も、下記の図のようにOSIROの管理画面からさまざまなデータを取得し、ダッシュボード上で分析することができます。
OSIROの管理画面でできること.jpeg 169.47 KB OSIROの管理画面でできることの一覧、データ分析だけでなく、コミュニティ運営に必要なさまざまな機能を集約しています 本記事では、現在OSIROを導入する有料コミュニティのデータから、月額会費を価格帯別 のデータを抽出。会員のログイン頻度の関係性を調査し、傾向を分析した結果をシェアします。
前提として、入会後しばらくの間は操作やオンラインコミュニティ内での活動に慣れるためにログイン頻度が高い傾向にありますが、会員の方々がコミュニティに馴染んでいくごとに、ログイン頻度の平均値は徐々に落ち着いていきます。
ログイン頻度の多い/少ないについてはコミュニティ内での活動や方針が異なるため、一概に優劣をつけることはできません。一方で、
ログイン頻度を定点的に観測することは、会員のオンラインコミュニティへの参加意欲がどれほど維持されているかを知る目安 になり、コミュニティ運営における会費の決め方の参考になります。
今回は、月額会費を3000円以上に設定するオンラインコミュニティと、月額1000円以下に設定しているオンラインコミュニティを比較し、それぞれのユーザーが入会後30日後、180日後にどのようなログイン状況になっているのかを調査しました。
1.月額3000円以上ではログイン習慣が定着する層が増える傾向
月額会費が3000円以上のコミュニティでは、入会30日後・180日後のいずれの時点でも、会員のログイン頻度が安定して多い会員の割合が高い ことが分かりました。 特に入会180日後(半年後)以降も会員が定期的にログインする習慣が定着する層が表れ、データ上ではコミュニティへの参加意欲が維持されやすい傾向 にあります。
月額会費とログイン頻度の関係.png 603.77 KB 一方、月額1000円未満のコミュニティでは、
入会30日後はある程度ログインしていても、180日後にはログイン頻度が大きく減少する傾向 が見られました。
このことからも、会費が1000円未満のコミュニティと比べ、
会費をある程度高く(3000円以上)設定する方が、積極的にコミュニティに参加する会員が多い 傾向にあることがわかります。
2.「高単価=高満足」ではない。価値の届け方が鍵
とはいえ、「高い月額会費を設定して、本当にその分の価値を提供できるのか?」と不安に思うのも当然です。コミュニティは中長期で運用するものですので、会員の方々にもなるべく長くコミュニティに参加し続けていただきたいものです。
そのためには、会員の継続率を維持しつつも、コミュニティの価値に見合った適切な月額会費を設定していくことが大切です。
しかし、だからといってオンラインコミュニティの中で過剰にアクティビティを増やしたり、コンテンツを大量・高頻度に展開していくことは運営の疲弊を招き、持続性を損なってしまいます。
会費設定と価値提供は切っても切れない関係にあります。そこで
重要になるのは「どれだけ多くのコンテンツを提供するか」ではなく、どれだけ「的確にコミュニティとしての価値を届けられるか」 という考え方です。
そのため、まずは月額会費を検討する前に、以下の視点で考え、言語化していくことが大切になります。
会費を検討する際に考えるべきポイント.png 586.1 KB 月額会費を検討する際、オーナーや運営者の方々が陥りやすいのが、会員の満足度を考えるあまり「〜しなきゃ...」と考え過ぎてしまうことです。
本質的な価値提供のあり方を考え、まずは「自分が目指したいコミュニティの姿」を、しっかり言葉にしていきましょう。
3.月額設定は「設計から逆算」して決めるのがベター
月額会費を決めるには、以下のようなステップで考えるのがおすすめです。
月額会費を考える4ステップ.png 542.06 KB 月額会費はコミュニティに集まってほしいターゲットを深く理解し、提供価値を設計した上で、そこから逆算して算出していくのがベターです。
このプロセスを一人で考えるのは難しい場合もあるでしょう。OSIROでは、コミュニティの立ち上げや運営設計の支援も行っており、専門的な知見を持ったスタッフが、価格設定・設計・運営まで伴走します。
👀本記事のまとめFAQ Q1. オンラインコミュニティの月額会費はどうやって決めればいいですか? A. 会費設定は「提供する価値」「運営にかかるコスト」「メンバーの継続意欲」「競合との差別化」など、複数の視点から総合的に判断することが大切です。Q2. 安く設定したほうが会員が集まりやすいですか? A. 一概には言えません。会費が安すぎると、提供価値が伝わりにくくなったり、継続のモチベーションが下がるケースも。適正価格を意識しましょう。Q3. どのくらいの人数を想定して価格を決めるべきですか? A. 初期フェーズでは少人数でのスタートが多いため、少人数でも持続可能な運営ができる価格設計をおすすめします。まずはテスト的に小さく始めて、反応を見ながら調整するのも一つの方法です。また、少人数でまずは月額会費ではなくコンテンツごと/イベントごとに料金を徴収し、会員の方々がどのようなところに価値を感じているのかを見極めた後に月額会費制にしていくのもいいでしょう。Q4. 無料で始めてから有料化しても大丈夫ですか? A. 問題ありません。実際に多くのコミュニティが無料フェーズからスタートし、一定の熱量や運営負荷が出てきた段階で有料化に移行しています。段階的な移行はむしろ自然な流れです。ただし、有料のオンラインコミュニティをスタートする際、最初期の会費設定は非常に重要になります。やはり「提供する価値」「運営にかかるコスト」「メンバーの継続意欲」「競合との差別化」など、複数の視点から検討し、慎重に決定するのがベターです。Q5. オンラインコミュニティの価格設定で失敗しないためには? A. 「収益を含めた運営の持続可能性」「コミュニティの提供価値」「会員が持つコミュニティへのニーズ」の3点をバランスよく見極めることが重要です。また、場合によっては「交流はしたくないけどコンテンツは楽しみたい」「もっとさまざまなアクティビティを楽しみたい」といったニーズが別れることも十分にありえます。その際には、月額会費を分けたプラン設定をしてみるのもよいでしょう。