うまくいっているオンラインコミュニティには、共通する“工夫”があります。本記事では、運営者のキャラクターやテーマ設計の視点から、盛り上がる場づくりのヒントを事例とともにお届けします。
オンラインコミュニティの立ち上げを検討する際、
「オンラインコミュニティって、本当に自分でもできるんだろうか?」
「どんな人がオンラインコミュニティに向いているのだろうか?」
と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
今回のテーマは、
『盛り上がるオンラインコミュニティの共通点』
うまくいっているオンラインコミュニティの特徴について、コミュニティオーナーのキャラクターとコミュニティのテーマ/コンテンツの観点から、5つのポイントをお伝えします。
コミュニティ運営をお考えの方は、ぜひご自身の活動と照らし合わせながら読み進めていただけると、具体的なイメージが湧いてくるかもしれません。
コミュニティオーナーのキャラクター
ポイント1:普段からファンとのコミュニケーションを大切にしている
うまくいっているコミュニティオーナーの特徴、それは「普段から自分のメディアやSNSでファンとコミュニケーションをとっている」ということ。
コメントにきちんと返信したり、コメントや質問を次の発信内容に活かしたりと、ファンとのコミュニケーションをとても大切にしています。
思いやりを持ってファンに接し、エンゲージメントを高めていくことは、オンラインコミュニティの運営においても、「1:n:n」の場所づくりにつながります。
いざオンラインコミュニティを始めようという時も、普段から自分のメディアやSNSでファンとコミュニケーションをとっているオーナーは、ファンからの賛同を得やすく、メンバーが集まりやすいのです。
なぜなら、日々のコミュニケーションの積み重ねによって、「この人のオンラインコミュニティだったらきっとこんなことが起きるはず、こんな話ができるはず。」といったファンの信頼感、期待感を醸成できているから。
ファンにとって、コミュニティへの参加は新しい世界に飛び込むことを意味し、多少なりとも勇気のいることです。
オンライン上でのコミュニケーションを通して、オーナーのキャラクターや価値観・世界観を把握できていると、コミュニティ内でどのようなことが起きそうか、どのような感じでコミュニケーションを取れば良さそうかがイメージしやすく、最初から安心してコミュニティに参加することができます。
これはつまり、ファンから仲間になる準備が既にできているということ。このようなメンバーが多いと、オンラインコミュニティスタート後、早い段階でコミュニティが活性化し、熱量の高いコミュニティとなっていきやすいのです。
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ポイント2:自分のコンテンツにお金を払ってもらった経験がある
もうひとつの特徴は、これまでに自分のコンテンツを有料で提供した経験があること。
オンラインコミュニティでまず必要なのは、コミュニティの軸となるオーナーの価値観や世界観。つまり、あらかじめコミュニティのコンセプトを決めておく必要があります。こちらについては下記の記事で詳細に解説していますので、ぜひこちらもご一読ください。
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多くのオンラインコミュニティでは、メンバーはいくらかの料金を支払ってコミュニティに参加しますので、オーナーの独自性がありながらも、ファンが「お金を払ってでも入りたい!」と共感するコンセプトと、これに沿ったコンテンツを準備しなければなりません。
そこで重要になるのが「自分がファンにお金を払ってもらえるコンセプトやコンテンツは何なのか?」という問いです。
SNSなどのファンが無料でアクセスできるものだけよりも、本の出版やイベント開催など、なにかしら有料コンテンツの提供経験がある方が、ファンにお金を払ってもらえるコンセプトやコンテンツが具体的にイメージしやすく、決めやすくなるのです。
オンラインコミュニティを始める前に、準備の一段階として、ぜひチャレンジしていただきたいポイントです。
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オンラインコミュニティのテーマ/コンテンツ
ポイント3:オンラインコミュニティ特有の「クローズドな場」を活かす
オンラインコミュニティがSNSと大きく異なり、強みとしているのは、クローズドな場であること。
価値観を共有する限られたメンバーとだけ交流できる空間だからこそ、普段はなかなか話しづらかったり、質問しづらかったりするテーマについても、安心して語り合うことができます。
一人で抱え込みがちなテーマを信頼できるメンバーとシェアすることで、悩んでいるのは自分だけではないのだと気づけたり、みんなでがんばろうと励ましあったり、メンバーそれぞれの心の支えとなっていきます。
また、個人的な表現=書いたり発信したりすることも、初めてチャレンジする時はどうしても人の目が気になり、怖いと感じる人が多いのではないでしょうか。
そんな時、オンラインコミュニティの中であれば、不特定多数の人に向けてではなく、顔の見える人だけに向けて表現ができるので、心理的ハードルが下がり、少しの勇気で自分をさらけ出しやすくなります。
表現に挑戦してみたくなった時、いきなり不特定多数に向けて表現するのではなく、まずは顔の知れた安心できるコミュティの中で自分を表現してみる。
そんな一つの選択肢として、オンラインコミュニティ を「メンバーが自分の表現を練習する場」と捉えてみると、テーマやコンテンツの幅が広がるかもしれません。
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ポイント4:仲間の存在を活かしコミュニティ運営に好循環を生んでいる
「やったほうがいいとはわかっているけれど、なかなかやり続けられない......」という経験は、誰でも一度はあるのではないでしょうか。
そんな時、一人ではやり続けることが難しくても、仲間と一緒ならやり遂げられることは意外と多いもの。
自分以外のメンバー、すなわち「仲間」がいるオンラインコミュニティは、一人では継続が難しいテーマやコンテンツと好相性。勉強、フィットネス、ダイエットなどが代表的なところです。
「仲間ががんばっているから、自分もがんばろう!」「今日は〇〇にチャレンジしてみんなに報告してみよう!」と、仲間がいることが励みとなり、継続の後押しとなります。
このようなテーマを扱うコミュニティは、メンバーによる活動報告や情報シェア、メンバー同士のコメントのやり取りが活発に行われていることも多く、熱量が高く、活気あるコミュニティになっています。
このコミュニティの活気がメンバーの活動を再び後押しするという好循環を生んでいます。
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ポイント5 :「偏愛性」をリスペクトし、強い絆を生んでいる
うまくいってるオンラインコミュニティの特徴、最後のポイントは「偏愛性」です。
偏愛とは、ある特定のモノ・コトに対して集中的に大きな愛情を注ぐこと。その対象は一般的に誰もが「良い」というものではなくニッチなもの。しかし、本人にとっては熱烈な思い入れがあり、そして強いこだわりを持つモノです。
“〇〇のマニア”とイメージするとわかりやすいかもしれません。
さて、みなさんの偏愛は何でしょうか。
日常生活でも、会話の中でお互い共通の趣味があると判明すると、その趣味について熱く語り合い、意気投合してすぐに仲良くなってしまうなんてことがありますよね。
これはオンラインコミュニティにおいても同じこと。ニッチで見つけにくいテーマであるほど、コミュニティの熱量が上がり、絆が強くなり、コミュニティが続きやすくなります。
逆にどこにでも転がっているようなテーマの場合、あえてコミュニティに入らなくても簡単に情報を得たり、同じ興味の人と交流できたりするので、コミュニティの価値は高まりにくいのです。
このようなテーマの場合は、他のテーマや、そのテーマにどう関わるのかという行動・行為の部分を掛け算していくと、偏愛性が一気に強まり、狭くて深いコミュニティとなっていくと思います。
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まとめ
うまくいっているコミュニティで共通しているのは、
オーナーのキャラクターやテーマ・コンテンツによって、人に対する呼びかけや、コミュニティへの巻き込みを上手に行っているということです。
オンラインコミュニティは、人と人とのコミュニケーションによって、日々変化していく生き物のようなもの。“これをすれば絶対に成功する”という公式がないからこそ、あらゆることに挑戦できる実験的な場であることが、オンラインコミュニティ の醍醐味とも言えるのではないでしょうか。
みなさんが運営をお考えのコミュニティについて、現時点では今回お伝えしたポイントに当てはまっていなかったということもあるかもしれません。ですが、考え方やアイデアの転換次第では、ユニークなオンラインコミュニティが生まれる可能性も大いにあります。ぜひ今回お伝えしたポイントを、ご自身のコミュニティを考えるヒントとしてご活用いただけると嬉しいです。
オシロでは、ご検討を始めたばかりの段階から、コミュニティの立ち上げ・運用のご相談を承っております。ぜひ下記フォームからお気軽にお問い合わせください。
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筆者
村山 愛津紗
コミュニティアドバイザー / ライター
広告代理店、クラウドファンディング運営会社にてコミュニケーションデザインを担当後 独立。 最近は執筆やコミュニティ運営のサポートを行っている。 自身も複数のオンラインコミュニティにメンバーとして参加し、生き方、暮らし方の変化 を日々体感中。