オンラインコミュニティのお悩みに役立つ情報をご提供する『OSIRO COMMUNITY TIPS』。今回は、そもそもオンラインコミュニティとはどのようなものなのか?について、理解を深めるポイントを、事例とともに解説します。
オンラインコミュニティはファン同士がつながり、「熱量」と「共感」を分かち合う場
オンラインコミュニティを一言で表すと、「
共通の興味関心や趣味嗜好、応援したい人や物事を持つ人々がインターネット上で集い、交流を楽しんだり学び合える場所」です。
現在、オンラインコミュニティの社会的な認知が進み、クリエイターやブランド、そして企業まで幅広い方々がオンラインコミュニティを立ち上げ、運営しています。
これほどまでにオンラインコミュニティの注目度が増していったのは、コロナ禍により対面交流が制限されたことで
オンラインで人と人がつながり、交流するプラットフォームの重要性が高まったことが背景にあります。
しかし、コロナ禍を経た現在においても、オンラインコミュニティのニーズは高まり続けています。その理由には大きく3つのポイントがあります。
1.「つながり」の希薄化と「サードプレイス」としてのオンラインコミュニティ
現在、日本では少子高齢化や都市部への人口集中などの影響により、
従来存在した地域コミュニティが失われつつあり、身近な人との「つながり」が希薄化しやすい傾向にあります。また、
テクノロジーの進化やリモートワークの普及により、孤独感を感じる人が増加したといわれています。
実際、内閣府孤独・孤立対策推進室が行った調査(※)によれば、日本人の5割近くの人が「孤独を感じている」と回答しており、孤独や孤立は今後深刻な社会課題になっていくと見込まれる問題です。
このような背景から、「共感できる仲間」とつながれる「自分の居場所」へのニーズは、現在も高まり続けています。
オンラインコミュニティは物理的な距離を超えて価値観の合う人々とつながれる「サードプレイス」として機能し、心理的安全性が担保された環境で安心して交流できる場として注目されています。
※出展:内閣府孤独・孤立対策推進室『孤独・孤立対策について』(令和6年9月30日)
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2. 同じ「熱量」を分かち合い、信頼できる情報を共有できる
現在、インターネットやSNS上には従来よりも膨大な情報があふれています。一方で、生成AIの普及とともにフェイクニュースや誤情報の意図的な拡散も問題になっています。そのため、「信頼できる情報源を共有し、学び合える場」として、クローズドなオンラインコミュニティが求められるようになっています。
オンラインコミュニティでは、特定の専門分野や業界に詳しく熱量の高いメンバーが集まり質の高い情報を交換できるため、一般的なSNSよりも信頼性が高い情報が得られ、メンバー同士で切磋琢磨できるメリットもあります。
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3. コミュニティ主導の「共創」や「ブランド体験」の重要性
クリエイターやブランド、企業にとっても、ファンや顧客と共に価値を生み出す「共創」の場として、オンラインコミュニティの重要性が高まっています。
従来のように、クリエイターや企業側からの一方的な情報発信ではなく、ユーザー同士が交流し、アイデアや意見を共有することで新しい価値を生み出す仕組みが求められています。
また、コミュニティ内での「ブランド体験」が、ロイヤルカスタマーの育成や売上向上にも直結します。「サービスの提供者(販売者)と顧客」という垣根を超えた関係性構築から、従来のアンケート調査などでは得られない顧客インサイトの獲得を目的として、オンラインコミュニティの創出に取り組む企業の事例は増えています。
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オンラインコミュニティの醍醐味となる「1:n:n」の関係性
オシロでは
「1:n:n」の関係性が成り立っている場所を「オンラインコミュニティ」と定義しています。
では、オンラインコミュニティにおける「1:n:n」とは、どのような意味なのでしょうか?
「1:n:n」は【コミュニティのオーナー(1)】と【コミュニティを構成するメンバー(n)】の間に、どのようなつながりがあるかを示しています。
「1:n」とは、オンラインコミュニティのオーナーの元に、共感したメンバーが集まるものです。SNSでの不特定多数のフォロワーに向けた「1:マス」の発信と比べてある程度メンバーに向けた発信であるものの、情報は基本的にオーナーからの一方通行で、メンバーはコンテンツや情報を受け取るだけの関係性になります。従来のファンクラブに近い形です。
一方で、
共通の価値観を持ち、興味関心の近いメンバーとメンバーがつながるのが「n:n」の関係性です。
つまり、
「1:n:n」の関係性では、オーナーとメンバーのコミュニケーションが双方向で行われることはもちろん、メンバー同士のコミュニケーションも活発に行われ、メンバー同士が仲良くなっていきます。
online community model.png 655.81 KB▲「1:n:n」の構造、オーナーとメンバー、またメンバー同士がつながるコミュニティ
メンバー同士が仲良くなると、その分熱量も高くなり、長く続くオンラインコミュニティになっていきます。また、メンバー同士の関係が深まり、お互いの価値観や得意なこと、スキルが共有されていくうちに、コミュニティでは新たな現象が起こります。それこそ、メンバー起点での「共創」です。
実際、オシロが開発・提供するコミュニティ専用オウンドプラットフォーム「OSIRO」をご導入いただいているオンラインコミュニティの中でも、共創が生まれた事例は多数あります。
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だからこそ、オーナーとだけでなくメンバー同士もつながる「1:n:n」の関係性が、オンラインコミュニティの目指すべき形だとオシロは考えています。
「共創」が生まれるオンラインコミュニティの特徴
では、オンラインコミュニティから共創が生まれるようにするためには、コミュニティをどのように成長させていけばいいのでしょうか? ここでは、オシロがこれまで300以上のオンラインコミュニティの創設・運営を支援してきた経験から、その特徴の一例をご紹介します。
1.コミュニティメンバーの意識が「仲間」へと変化していく
メンバーは最初、オーナーと交流することや、悩みを解決すること、好きなものについて話すことなど、それぞれの持つ目的意識を満たすためにオンラインコミュニティに入ってきます。
しかし、コミュニティになじみ充足感が得られると、次は「この場所をもっとよくしていきたい」と貢献意識が芽生えていきます。つまり、コミュニティで目的を達成することに価値を感じていたものが、自然と「コミュニティそのものに価値を感じる」マインドへと移行していくのです。
自分を表現し、メンバーと仲良くなり、さまざまな活動をしていく中で、オンラインコミュニティは自分の居場所であり、一緒に作っていくものだと感じるようになるのです。これが一人のメンバーから「仲間」になる瞬間で、ここに至るプロセスそのものが共創といえます。
オンラインコミュニティというと、コミュニティのオーナーがメンバーに価値提供するというイメージがあるかもしれません。しかし、共創の状態が生まれているオンラインコミュニティでは、オーナーとメンバーの関係性はフラットです。それぞれの果たす役割が少し異なるだけで、コミュニティを一緒に作っていく仲間であることに変わりありません。
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メンバー同士だけでなく、オーナーとメンバーでも同じようなコミュニケーションが起こります。
例えば、オーナーが新たな企画を世の中に向けて発表する前に、オンラインコミュニティで「今度、こういう企画をリリースしようと思っているんだけど、どうかな?感想や意見を聞かせてほしい!」と投げかける。するとメンバーからは、オーナーの活動にとって有意義な意見やエールを寄せてくれる。
このように、コミュニティでのやり取りは、オーナー自身の活動にも還元されていきます。
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2.コミュニティの価値観の体現
これまで個人・メディアに関わらず、その発信やコンテンツは、一方通行のコミュニケーションになりがちでした。受け手から反応があったとしても、それは瞬間的なもの。
つまり、発信する側にとっては、自分たちの発信がそれに触れた人々や社会をどう変化させたのかが見えにくい世界だったといえます。
一方でオンラインコミュニティは、メンバーの反応を直接感じられる世界です。
コミュニティをきっかけにして、メンバーは大小問わず新しいアクティビティを行います。オーナーはそのプロセスやメンバーの反応を目の当たりにすることで、「自分が提供している価値はこういうことなんだ」と再確認することができます。
オンラインコミュニティは、オンライン上の場所でありながらコミュニティ内で起きていることややり取りしたことが、メンバーそれぞれの実生活にもつながっていくのが興味深いところ。
OSIROで運営されている多くのコミュニティでは、メンバーがコミュニティで得た知識やインスピレーションを日常生活の中で実践し、その体験や変化について互いにシェアする様子がよく見られます。
コミュニティの価値観が、メンバーの行動や活動において体現されていく。これもオンラインコミュニティの共創の一つの形だと感じています。
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まとめ
このように、オンラインコミュニティはコミュニティオーナーとメンバーの垣根を越え、人と人が交流し、熱量を高め合う場を醸成していくことで、収益面だけではなくさまざまなベネフィットが得られる可能性を秘めた場所です。
コミュニティのオーナーにとっては、自身の活動を高めエールを受け取る場所。自分の価値観や世界観を体現し、安心して100%の自分を表現する場所となります。そしてメンバーにとっては自分の興味関心や趣味嗜好、ファンになっている人や物事など「好き」の下に集まり、心置きなく交流できるサードプレイスとして機能します。
「価値観を共有する仲間と一緒にいろいろな活動を楽しめる場」「自身のキャリアを真剣に考え探求していく場」「仲間とともに学び合い挑戦する場」など、オンラインコミュニティのあり方はさまざま。
そのため、オンラインコミュニティの立ち上げをご検討の際には、ご自身が目指したい姿、コミュニティの状態などを考え、プラットフォームを選定していくことが大切になります。
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