【対談】[後編] 圧巻の発信力を生み出すコミュニティ− 猫町倶楽部 / コミュニティ熱量研究所 対談まとめ
コミュニティ熱量研究所 対談イベント まとめ
「コミュニティxデータ」でデータサイエンティスト鈴木がコミュニティのリアルな実態に迫るシリーズ『コミュニティ熱量研究所』。2ヶ月に一度、実際にOSIROを利用してコミュニティを運営される方々をゲストに迎え、実際のデータを活用しながら「コミュニティ活動分析」「効果的な運営ヒント」についてトークを展開します。
ここでは対談アーカイブとして、当日語られたポイントを抜粋してお届けします。
〈前編の続き〉小規模なビジネス勉強会から、日本最大規模の読書会コミュニティへと成長を遂げた「猫町倶楽部」。前編では、猫町倶楽部の誕生秘話から、コミュニティ熱量の高さについて深掘りました。後編では、数々の実例とデータをもとに、より深く猫町倶楽部の熱狂の理由に迫ります。
主体性が生む圧倒的発信力 – "自分たちのコミュニティ”
鈴木:猫町倶楽部さんはイベントだけじゃなく、ブログでのアクションもすごい盛り上がっているんですよね。OSIROのシステムをご存知ない方のために説明しますと、OSIROではコミュニティ内でメンバーがブログを投稿できる機能があるんです、noteのような感じですね。猫町倶楽部さんはそこでのメンバーさんのブログ投稿数がとても多いんです。
具体的な数値が今お見せしている図ですね。(参照:下の図4)
他コミュニティの平均値で言えば、メンバーさんのブログ投稿数は大体月50個、多くても75個くらいなんです。ところが猫町倶楽部さんは毎月150、多い月だと約300個も投稿されているんです。すごい盛り上がりですが、その辺りどうですか?山本さん:いや〜、確かにみんなよくブログを書いてくれてるなと思いますけど。平均値は初めて知ったので、「そうか、倍以上あるんだ」とびっくりしております。読書会ですから、読んだり書いたりするのは得意な方が多いことはベースとしてあると思うんです。でも、おそらく100人いるサポーターさんたちが、楽しい場にしようとやってくれている相乗効果が一番強いと思っています。“自分たちのコミュニティ”と感じて、みんな主体的に関わっている感じがします。鈴木:なるほど。1人だけじゃなく、みんなで楽しんでいる雰囲気があると盛り上がりやすいのはありますね。山本さん:ブログ欄に投稿が少ないと、ブログを投稿するのってハードルが高いと思うんです。でも、「この人も書いてる、あの人も書いてる!」ってなると、投稿しやすくなると思います。ハードルをそこまで下げるまでが難しいですね。鈴木:最初のサポートが肝心ってことですね。山本さん:そうですね。猫町ラウンジ(オフラインコミュニティ)にも12人の運営サポーターがいるんですけど、最初はきっと彼らが主体的にブログ投稿をしてくれていたと思います。
安定の会員数成長 – ここでしかできない、これがしたくて入ってくる
鈴木:ちょうどオンラインコミュニティの開始が去年の秋ぐらいですから、今10ヶ月くらいですね。140人で始まって今は280人、この10ヶ月で倍増は本当にすごいですね!会員数も毎月コンスタントに約30人の入会があるのを見ると、集客にもいろいろ工夫があると思っています。(参照:上の図5)ずばり、どうやって集客してるんですか?山本さん:いや〜。未だに試行錯誤で、なにか良い方法があったら教えてもらいたいです。笑でも、猫町倶楽部はイベントを月30個やってるっていうのはポイントで、たくさんイベントがあるから目につきやすいとは思います。最近チャレンジしているのは、OSIROさんのクーポン配布とか、さまざま工夫はしてますが、まだまだです。笑鈴木:先日お話させて頂いた際、オンラインでの活動を介して猫町ラウンジ(オフライン活動)の集客にも相乗効果が起こっていると言うお話しを覚えています。山本さん:そうですね。去年の12月から「早朝読書ルーム」と言う活動を始めたんです。具体的には5時半にZoomを開いて、マイクをミュートで繋ぐんです。後は図書館や自習室のような感じで、ただ本読んでいるだけです。最初は10人程の参加が、2ヶ月後には大体20人くらいまで増えて、“ただやる”じゃなくて、“この活動をもう少し育てたらどうだろう”と考え始めたんです。そこから、参加者のみなさんにその日読んだ本を投稿してもらったり、色々積極的にやり始めたらどんどん増えて、今は大体40人、今朝も43人が参加してくれました。そうしているうちに「早朝読書ルームに参加したいので猫町ラウンジに入会しました」と言う声が増えて。コミュニティ内のひとつの活動ですが、「ここでしかできない、これがしたい」と入って来てくれるんです。今も少しづつ増えているので、後1、2ヶ月で50人は行くと思います。Zoomに入室して「おはようございます」って言って、後はずっと自分で本読んでいるだけなので、一見何が面白いのか分からない節があるかもしれませんが、なかなか早朝から一緒に読書する友達っていないじゃないですか。本当にこのコミュニティだからできることです。鈴木:“一緒にやる”と言うよりも“その空間を共有”しているってことですよね。山本さん:でもね、頑張ってる感じにならないんですよ。読書をするため5時半に起きて、7時まで1時間半読書するって、自分の意思だけでそんな大変なことできないですよね。でも、「こういう場があると、努力してる感がなくできちゃう」ってみんな言うんです。こういうコミュニティの力ってあると感じます。“コミュニティの力を借りて、独りではできないことを超えて行く。”読書会もそうなんですが、難しい本とか分厚い本をコミュニティの力を借りて読み切るみたいなことをやっているわけです。こういう経験をすると、「このコミュニティの存在があって、自分は山を越えられた」、「このコミュニティ、ここの活動には意味がある」って感じてくるんですよね、自分もそう思うし、そういうことがコミュニティの力になっていくんだろうなと思うんです。
高い日間ログイン率 – “出遅れたくない”の感覚
鈴木:ここでしかできない、ここだから出来たことですよね。猫町倶楽部さんの特徴をもう一つご紹介させて頂きます。「どれくらいの方が毎日サイト(コミュニティ)に来ているのか」を見てみましょう。一般的に毎日のログイン率は平均50%、コミュニティメンバーの半分の計算になります。(参照:上の図6)それが猫町さんの場合は、約70%なんです!これだけのメンバーが毎日コミュニティにログインするということは、メンバーにとってコミュニティが本当に居場所になっているんだなと感じました。なにか、コミュニティを居場所にする工夫とか、ログインしてもらうために心掛けていることはありますか?山本さん:この平均データも初めて知りました、これすごいですね!笑最初mixiでやっていた頃から、“動きがあるコミュニティ”にするという点はすごく意識してやってきたんです。2、3日見ていなかったらブログも多く上がっていたり、タイムラインなんて追い切れないほどみんな書き込んでるし。そういう動きがあると、やっぱりみんな見に行きたいと思うんですよね。鈴木:出遅くれたくない!みたいな感覚ですね。笑山本さん:そうそう。そういう感覚です。笑私達も今の盛り上がりができるまでは、運営側の人達が意識的に動かすっていうことはやっていたし、常に意識してやったほうがいいと思います。鈴木:ここまで、いろいろ猫町倶楽部さんの工夫を聞かせて頂いたんですが、ここでちょっと“失敗談”と言いますか、課題に感じていることなどもお聞きしたいと思うのですが。山本さん:常に失敗ばっかりだったので、何が失敗か分からないんですが。笑今もそうですが、できるだけ実験して挑戦する。完成形はないと思っているんです、そう感じたら終わりだと思っています。何かしら改良するべき点は必ずあると思っていて、一つずつやるようにしています。課題といったら、やっぱりコロナ終息後ですね。オフラインとオンラインをどう両立するかが一番課題になると考えています。今もそうですが、オンラインを始めた時にすごく考えたのは、「オンラインでしかできないことをやる」ということです。オンラインでオフラインの再現をやろうとしても、絶対リアルには叶わないと思うんです。
毎日読書会や、早朝読書ルーム、あと長編読書会というのもやっているんですが、オンラインの良さをどれだけ活かせるかが大切です。コロナが終息すれば当然“オフラインでリアル開催してください”って声も増えるだろうし、それを待っている人達もたくさんいると思います。一方で、オンラインがなくなると困る人達もたくさんいるわけで。それをどうやって両立するかが一番課題になると感じています。鈴木:なるほどですね。オンラインの楽しみを作ったが故に、両方を継続するにはどうすればいいかってとこですね。山本さん:オンラインを止めることは考えていないので、オンラインを一つのベースにしながら、その上でどうオフラインを共存させて行けるか、上手くやらないとなと思っています。鈴木:なるほど〜。今後コミュニティでやってみたいことなど何かお考えですか?山本さん:できるだけ外部のコミュニティや団体とコラボをしたいと考えています。オンラインって本当に外から何も見えない、クローズドな孤島みたいなところがあるんです。その親密感が良さでもありますが、カルト的に捉えられるのは避けたいと思っているんですね。自分達だけの内輪で盛り上がるのは、あんまり趣味じゃないので。それもあって、なんらか外部に開かれた場も作りたいと思っていて、そういう意味でもコラボレーションをする機会を意識的に増やしていきたいと考え始めているところです。鈴木:時間も迫ってきているので、この辺りで届いている質問に答えて行きたいと思います。「会費の価格設定についてはどのようにお考えですか?」という質問が来ていますが、これについてはいかがですか?山本さん:これ、難しいですよね〜。難しいですけど、これは本当に一番肝だと思うんです。猫町倶楽部は今、3300円でやってるんです。最初僕は、4500円って言ったんですが、メンバーの大反対を受けまして。。彼らは1500円と言ってたんですよ。だけど、私はコミュニティの価値を低く見積り過ぎない方がいいと思っています。猫町倶楽部は儲けるためにやっているわけではないですが、やっぱり価格設定って本当に肝なので。最初に弱気な値段を付けるのは良くないと思います。ギリギリまで粘って、ちょっと高いかなと思うくらいが、一番良いんじゃないかなと私は思ってます。鈴木:単純に読書会だけの金額ではなくて、コミュニティの価値ってことですよね。わかります。山本さん:絶対的にそう、そこなんです。読書会だけの価値で言ったら、コミュニティを作る必要自体なくて、単発でやればいいわけじゃないですか。会費を頂く以上、「頂く値段分の価値を創る」くらいの気持ちじゃないと。“こんなに安いんだから、これくらいでいいでしょ...” とならないように。「これだけ頂くから、それなりの価値を提供する」の思考で始めた方が良いと私は思います。鈴木:価格に合う価値を自分で創って行くってことですね。もう一つ質問が届いています。「新しいイベントを試験的に行って、あまり人が集まらなかったら、どれくらいのタイミングで止めますか?」
試行錯誤とムーブオンの判断は確かに難しいところだ思うんですが、どうお考えですか?山本さん:集まらなかった原因がハッキリ分かっている場合はさっさと止めますし、止めるべきだと思います。実験する時に“ここまで労力使っちゃったから止めるのはもったいない”とか思わない方がいいと僕は思います。「これはダメだ」と思ったら一旦止まって、改良してもう一回やる方がいいと思います。“一回やっちゃったし、みんなを動かしちゃったから” とは思わない方がいい。そのためにも、最初に「ダメだったらすぐ止めます。」と言っておくのも手ですね。鈴木:ありがとうございます。もう一つ「女性会員さんを増やすコツがあれば教えて頂けますか?」と言う質問を頂いていますが、山本さんの経験からいかがでしょうか?山本さん:先程のスライド(図1)にもありましたが、猫町倶楽部は今男女半々くらいで、年齢層も20〜60代まで幅広いんです。猫町倶楽部でも女性メンバーを積極的に集めようと考えた時期があって、HPのビジュアルだったり、言葉遣いに女性らしさを取り入れたり。無意識に硬くなりがちな文章を柔らかくする意識をすることで、効果はあったと思います。あと、「女性がこれぐらいいます」など積極的に公開するのも効果的だと思います。“男性ばかりで浮いちゃったら嫌だな”という不安を取り除くアクションが大切じゃないでしょうか。鈴木:確かに、山本さんはTwitterでもコミュニティの会員数だったり、メンバーの属性比率など、いろいろな情報を頻繁に投稿されていますよね。山本さん:そう、目に見えて効果ありますよ。笑猫町倶楽部では若い層に向けて22歳以下の人は安くなるっていう「22割」というのを作ったんです。それもすごく効果があったので、女性を対象にそういったプロモーションを打つのも良いかと思います。
コミュニティ運営で一番大切なこと
鈴木:今日ご視聴くださっている方の中には、コミュニティ運営をされている方もいれば、ご検討中の方もいらっしゃると思うんですが、最後みなさんに向けて何か一言頂けますか?山本さん:本当に自分が好きなことを精一杯ブレずにやることが一番コミュニティの肝だと思うんです。コミュニティ運営って9−17時でやれるわけじゃなく、24時間というか。だからこそ、自分が好きなことに直結する、楽しめることが大切だと思います。「これなら徹夜してもいいぞ!」みたいな。笑それくらいの気持ちが持てることだったら多分上手く行くと思います。▼猫町倶楽部の活動についてはこちら ▼イベントまとめバックナンバーはこちらから
▼次回対談イベントVol.04開催決定 - 9月30日(木)!
『コミュニティマネージャーが実践する、データで見る居心地の良いコミュニティづくり』第4回目となる今回は、2名の現役コミュニティマネージャーを迎え「居心地の良いコミュニティづくり」をテーマにお話を伺います。
登壇ゲストは「これからの“働く”を考える」コミュニティ「Wasei Salon」 長田涼 氏、投資のスクールで得た経験知を仲間と共有し学びを深めるコミュニティ「Letus」水谷明日香 氏。2年以上にわたりコミュニティ運営に携わるお二人が日々大切にする運営ポイントを伺いながら、より良いコミュニティづくりについて考えます。
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