コミュニティ熱量研究所 対談イベント まとめ
「コミュニティxデータ」でデータサイエンティスト鈴木こと "所長" がOSIROユーザーのリアルなコミュニティ運営に迫る『コミュニティ熱量研究所』。ここでは "対談まとめ" として、当日語られたポイントを抜粋してお届けします。
対談 Vol.02
ゲスト/ 山本多津也さん
猫町倶楽部 主宰者
対談動画フルバージョン | 2021/06/23今回の対談ゲストは日本最大規模の読書会コミュニティ「猫町倶楽部」主宰者の山本多津也さん。2006年から読書会を開始、2020年秋にオンラインコミュニティをスタートされました。今や月のイベント開催数30以上、ブログ投稿100以上のコミュニティに成長した猫町倶楽部。どのようにしてこれほどの発信力が生まれたのか、コミュニティ運営において山本氏が大切にするポイント、価値観に迫ります。
読書会を始めたきっかけ – 対話をしながら勉強
鈴木:2006年から読書会を開始されたということですが、きっかけをお伺いできますか?
山本さん:そもそも読書会をやろうと思っていたわけではなく、私の本業がリフォーム会社の経営なんですが、経営者になってから、経営の勉強のためにセミナーに行ったり、いろんなことをやっていたんです。
同じ目線で勉強をする人達を集めて、色々と対話しながら勉強するっていうのが一番いいじゃないかなと思いまして。
セミナーだと聞きに行けば勉強した気になるし、すぐ忘れてしまう。
そこで思いついたのが読書会でした。その時点では、自分の中で “こういうのが読書会”という具体的なものは全くなく、自分が思う「ヒントになる一冊」を読んで、その本について話し合う場所を作ればいいだろうと、すごくラフな感じで始めたんです。
なので最初は、私の同業者と、今猫町倶楽部の副代表をやっている大学時代の後輩4人で始めました。今の猫町倶楽部と活動の根本は同じですけど、
最初はビジネス系の勉強会をやろうと思いついた活動でした。
鈴木:なるほど。その後、今日まで“読書会”を継続するに至ったポイントやきっかけは何だったんでしょうか?
山本さん:自分が想像した以上に人が集まってきて、第1回目の開催は2006年9月だったんですが、その時は「20、30人になったらすごいよね」と話していたのを覚えています。
それから半年も経たずに30人になりました。
その頃SNSではmixiが主流だったんですが、“SNSがこれからビジネスの中でも重要なツールになる”と言われ始めた頃で、じゃあ勉強がてら使ってみようということで、mixiで猫町倶楽部の前身となる「アウトプット勉強会」というコミュニティを作ったら、どんどん人が入って来たんです。ただのリフォーム屋のおじさんがやっている勉強会に20代とか30代の僕より10以上歳下の人達がどんどん入ってくる、これはなんなんだろうと思いました。(参照:上の図1/
現状の会員属性)
“もしかすると、読書会というものをみんな求めているんじゃないか”と感じて、面白くなってきたんです。だったら「
勉強会」ではなく、本当に「読書会」というものもやってみようかなと。
鈴木:結構人が集まって来たとのことですが、自然と集まった感じですか?
山本さん:いえいえ。mixiでは
どういう形で人が集まるかを色々と研究しました。
今はもう、当時のmixiを知らない人も多いと思いますが、“足跡” という機能があって、自分のページに誰が来たか分かるんです。
例えば、「三島由紀夫の読書会やります!」ってイベントを立てたとしたら、“三島由紀夫”のキーワード検索でヒットする全ての人に足跡を付けて行く。
それを朝の日課にしていたんですよ、毎朝15分間足跡をつけるみたいな。
鈴木:なるほど〜。人を集めるためにそういった作業を一つ一つなさっていたんですね。
山本さん:あと、親和性があるカフェで読書会をやっていたので、カフェが好きな人を集めるのもいいかなと思って、カフェコミュニティに告知を貼り付けたり。
「読書会」と言うど真ん中だけじゃなく、少し重なる色々な所に告知をしたり、結構色々考えてやってましたね。それがものすごい目に見えた効果があって、
どんどん増えていきました。鈴木:オンライン読書会を始められたきっかけとしてコロナは大きいとは思うんですが、それ以外に“オンラインの場所”を作るとか、そう言った目的もあったんでしょうか?
山本さん:オフラインで開催していた時から「読書会+コミュニティ」というコンセプトを設定していたんです。一回一回のイベントではなく、そこに来た人達をコミュニティ化して、仲良くなれば「鈴木さんが出るんだったら僕も出よう」みたいになるじゃないですか。
活動を始めた当初から、
いつか何かしらオンラインでもオフライン同様に「読書会+コミュニティ」を作ろうという考えはあったんです。
熱狂を創り出す立役者 - 100人以上のサポーター
鈴木:ここで実際の活動に焦点を当てて行きたいと思います。
オシロでは、
「メンバー熱量」という指標で、コミュニティ内でどれくらいのアクションが行われているかを数値化していて、大体200くらいになると、“このコミュニティ盛り上がってるな、順調だな”という認識なんです。
猫町倶楽部さん、今すごい盛り上がっていて、どれくらい盛り上がっているかというと
「平均700、高い月は1000超え」、すごいアクティブなコミュニティだなという印象があります!(参照:上の図2)
中でも特徴的なのは、圧倒的なイベント数だと見ています。コミュニティ活動において、イベントは大切な要素だと思うんですが、運営が主催できる数はどうしてもリソースの面から、300人いるコミュニティでも月平均10個弱だったりするんです。(参照:下の図3)
そんな中、猫町倶楽部さんは毎月50個近くのイベントを開催されているのはすごいと思います。これだけの数をこなせる秘訣、運営体制ってどんな感じですか?
山本さん:そのデータめっちゃ面白いな。笑
平均が200ですか?猫町倶楽部が700?
鈴木:はい、700はすごい盛り上がりです!笑
山本さん:自分のコミュニティが他に比べてどれくらい盛り上がっているかって全く分からないので、大変ありがたい指標を教えて頂きました。笑
オンラインを始めた当初から、
猫町倶楽部が “イベントをオンラインでやる意味をちゃんと持ってないとやるべきではない” と考えていたんです。今や誰でもオンライン活動はできますし、実際に猫町倶楽部が休んでる間にオンラインで活動するメンバーさんたちもいたので。
最初に考えたのは「毎日やる読書会」。毎日読書会をやるって、
おそらく猫町倶楽部じゃないとできないだろうなと思ったんです。最初から毎日はできないけれど、月20回くらいから始めたのかな。
最終形は毎日の読書会やると決めていたので、目論見通りです。なぜそれが出来るかというと、今登録されている
280人のメンバーさんのうち100以上が運営に携わっているからです。
鈴木:そうなんですね!3分の1が運営!?
山本さん:はい、私がこうやって代表として出てきてますがコミュニティ内ではサポーターさんと言って、この100人以上の方々が一生懸命猫町倶楽部を支えてくれているんです。
月30回やっている読書会も、それぞれ6〜8人くらいのサポーターさんたちが設営をしてくれています。彼らは、完全に運営側に入っているわけじゃなく、参加者兼運営としてお金を払って入会してくださっています。
これはオフラインの時からなのですが、
参加者として楽しみつつ、運営もお手伝いしてくれる人達がたくさんいるので出来ています。
鈴木:サポーターのみなさんはどうしてサポーターになりたいと思ったんでしょうか?
山本さん:サポーターさんによってまちまちだと思いますが、
常に彼らに伝えているのは「楽しくなかったらやらなくていいよ」と言うことです。楽しんでやってほしいし、無理はしてほしくない。
運営する楽しさって必ずあると考えていて、仕事も同じく、“仕事は常につまらない”わけじゃなくて、気持ちが入っていればきっと楽しいんです。おそらく、メンバーさんから見ても
猫町倶楽部で一番イキイキと活動してるのはサポーターだなと見えると思うんですよね。“みんな楽しそうにやってるから入ろうかな”と感じてサポーターになってくれるんじゃないかと思います。
鈴木:コミュニティを運営する上で、オーナーさん1人だと大変なので、“みんなでコミュニティを創って行く”っていうのはみなさん目指している理想の形だと思うんですね。
だからこそ気になるのが、“実際にどうやって声かけているんですか?”ってとこだと思います。
山本さん:基本的にサポーター任期は1年、例外の場合でも最長2年と決まっているので、任期が終了する頃に新しいサポーターさんを募集する流れです。
ブログでの募集告知や、イベントでの呼びかけ、後はサポーターさんに向いている人に声を掛けたりしています。
鈴木:視聴者の方から「メンバーが主体的にイベントを企画して行くために、どんなサポートをしていますか?」という質問があったんですがどうですか?
山本さん:基本的には、読書会イベントの課題本決定、イベントゲストのキャスティングまでは私がやって、「◯月◯日この本でやります!」と伝えたら、あとはサポーターさんが進めてくれています。
もちろん基本的なポリシーや、コミュニティの軸みたいなものは示す必要はあると思います。
今でもそれほど明文化はしていませんが、2年前に「読書会入門」と言う本を書いたこともあって、
多くのサポーターさんはその中の“猫町倶楽部の考え方”を読んでくださっていると思います。
後は、サポーターさんが集まる機会を作って、そこで色々な議論をしたり。でも基本的にはあんまり口出しせず、できる限り自由にやってもらいたいと考えています。
〈後編に続く〉▼猫町倶楽部の活動についてはこちら ▼イベントまとめバックナンバーはこちらから ***
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