同社では「本からの気づきや、コミュニティメンバーとの交流、著者との実践講座を通して、学びを育てる場所」としてオンラインコミュニティ「flier book labo」を運営しています。オンラインコミュニティは事業の中でどのような役割を果たし、効果をもたらしているのでしょうか。flier book laboの運営を統括する、フライヤー執行役員CCOの久保彩さんに聞きました。
ーーflierは累計121万人以上の会員がいる大規模なサービスへと成長していますが、flier book laboは約400名と、ユーザーと比較すると小規模で運営しています。御社ではオンラインコミュニティをどのように位置付けているのでしょうか。
flier book laboは「ユーザーをもっと知りたい、触れたい、直接交流できる場を作りたい」という想いから立ち上げたものです。
flierは、本の要約を提供するWebサービスであり、多くの人が世の中にある素晴らしい本の数々から刺激を受け、「ヒラメキあふれる世界をつくる」ことを目指してサービスを運営しています。しかしflier book laboの立ち上げ以前は、どのような方々がサービスを利用しているのかを、ログデータを通じごく一部分しか把握できませんでした。
flier book laboを始めたことで、すでにflierを愛用している方々だけでなく、「本と学び」に関心があるもののflierをほとんど知らない方々も参加してくださり、コミュニティに参加したことをきっかけにflierを利用していただける方も増えました。ただ、もちろんサービスを知っていただくことも嬉しいことの一つでしたが、最も意義を感じているのは、参加してくださる方々と濃い関係性が築けていることです。
flier book laboは「ラボ(実験室)」という名前の通り、様々な取り組みを試しながら、コミュニティの可能性を探る場でもあります。一回の試みでは分からないことも、継続することで「本を語る場の価値」が見えてくる。これこそが、コミュニティ運営のおもしろさだと感じています。
オンラインコミュニティがプロダクトの価値を高める役割を果たす
ーー経営陣の皆様はflier book laboについて、どのようにお考えでしょうか?
flier book laboは最初は小規模な取り組みとして始めました。そのため、社内でも当初はその価値が見えにくかったかもしれません。しかし、継続するうちにコミュニティの成果が明確になり、他事業への展開も進んでいます。
例えば、2022年にメンバーの皆さんの声から生まれた「flier book camp」というワークショップがあります。これは本の著者やプロフェッショナルの方々が月に一回講師を務め、4か月間にわたり本の学びを深める実践型の講座です。現在の講座の内容はビジネスに役立つ実践的なものから答えがない議論を楽しむものまで、興味関心に合わせた幅広いテーマを用意しており、非常に人気のサービスへと成長しています。
最近ではflier businessをご利用いただく企業様から「flier book campを企業の研修として導入したい」という声が増えてきました。従来の企業研修は、スキルギャップを埋めるためのものが中心でしたが、近年では「いきいきと働く環境づくり」や「キャリアや人生を充実させる学び」のニーズが高まっています。その結果、flier book campのようなプログラムが注目され、他の研修企業にはない独自性が評価されています。
このように、flier book laboの活動から生まれた取り組みが、法人企業向けのサービス領域でも採用されることによって、お客さま企業とのつながりが強化される結果にもなっています。
flier book laboは単なる読書コミュニティではなく、お客様企業にとっても新たな学びの場となりつつあります。社内でも、flierの価値を高める重要な役割を果たしていると認識されています。実験的な取り組みが企業研修や組織開発に活かされていることからも、コミュニティを運営する意義は大きいと考えています。
企業の学びの場としてのニーズが高まる中、flier book laboは「人と組織の可能性がひらかれる学び」を企業文化に組み込む橋渡しの役割を果たしつつあります。
先ほどお話しした通り、flier book laboでの活動は社内だけでなく多くの企業さまから興味を持っていただけるようになりました。今後はそのようなニーズに対応できるよう、企画したものを安定してご提供できるような体制づくりが必要です。そのため、講師の皆さまとはより緊密なパートナーシップを構築していきたいと考えています。
また、flier book laboに参加いただく方々とも、より多様な交流の仕方ができるとも考えています。例えば、コミュニティを縁として法人向けのビジネスに業務委託で入っていくような、ビジネスパートナーとしてのお付き合いもできるのではないかと考えています。
flier book labo flier book laboは、本からの気づきや、コミュニティメンバーとの交流、著者との実践講座を通して、学びを育てるオンラインコミュニティ。オンライン9割、リアル1割。いつでもどこでも気軽に参加できるようオンラインでの活動がベースとし、リアルでの交流会も開催される。読書会をはじめ、メンバー同士や著者と交流できるさまざまなアクティビティが用意されており、毎月新規メンバーを受け入れるオンボーディングミーティングを開催しているため、コミュニティに慣れるまでのサポートも充実している。 flier book labo コミュニティサイト