ご自身の経験から得た知見やメソッドをより多くの人に届け、役立ててほしいと思う方にとって、イベントやワークショップは非常に重要な取り組みです。一方で、開催ごとの集客は人数が集まるのかが見えない不安もあり、SNSでの集客活動に膨大な時間と労力を使うことも少なくありません。また、参加者とのつながりは一過性で終わってしまうため、きめ細やかなサポートや関係性構築に難しさを感じている方も多いです。
『ミーニング・ノート®』の開発者であり、現在「ミーニング・ノートコミュニティ」を主宰する山田智恵さんも、集客の不安を解消し、ユーザーとの継続的な関係性構築の方法を模索していたといいます。そのような山田さんはなぜコミュニティの立ち上げを決意し、コミュニティ専用オウンドプラットフォーム「OSIRO」を導入したのでしょうか。
「ミーニング・ノートコミュニティ」立ち上げの背景やOSIRO導入による効果についてお話しいただきました。
※本事例記事は、2024年8月1日に開催されたセミナー「『ミーニング・ノート®』開発者 山田智恵さん登壇!『集客の不安』をなくす、ファンの継続化・習慣化の仕組みづくり」の講演内容をもとに作成しています
背景と課題
・『ミーニング・ノート®』で学ぶユーザーの習慣化をサポートしたいと考えていたが、単発の講座やイベントではユーザーの困りごとがわからず、継続的な関係構築も難しい状態だった。
・コミュニティをつくりたいと考えてはいたが、コミュニティをつくることでかえって「怪しさや誤解が生まれてしまうのでは」と心配だった。
導入経緯
・「ユーザーをサポートするための場所をつくりたい」、「継続的ないい関係をつくりたい」という自身の想いをしっかりと伝えられるコミュニティプラットフォームを模索。
・『ミーニング・ノート®』の世界観を表現し、丁寧に自身の想いや考えを伝えられるOSIROを導入。
導入効果
・スタート当初の会員数は14名だったが「顔が見える集客方法」「募集締切の設定」などの工夫により、1年弱でコミュニティのメンバー数は110名に。
・メンバーとの本音のコミュニケーションから生まれた書籍が発売1か月で3刷のヒット初期に。
・コミュニティで生まれたメンバーとの信頼関係を軸に新規事業がスタート。認定講師制度が始まり、「ミーニング・ノート®」を教え、広めてくれる仲間がコミュニティから生まれる。
「ユーザーを大切にしたい」が伝わるコミュニティをつくりたい
ミーニング・ノートコミュニティ は、「チャンスのつかみ方の教科書」をコンセプトとする『ミーニング・ノート®︎』を共に学び、継続することを目指して2020年に立ち上げられたオンラインコミュニティ。
『ミーニング・ノート®︎』では、チャンスのつかみ方を自分自身に起きた出来事の中で、なんらかの価値や可能性を見つけ出す「“意味付け力”を高めること」と定義しています。ノートを使うことで自分にとってチャンスとなるものを探し、書くことによって振り返る。その振り返りを習慣化させることで自己理解を深めていき、自分の進む道を見つけていくメソッドです。
そのため、『ミーニング・ノート®︎』は習慣化を非常に重視しています。しかし、山田さんはコミュニティを立ち上げる以前は、
ユーザーが本当に習慣化できているのかが見えず不安を覚えていたと語ります。
「ミーニング・ノートコミュニティを始める前までは、単発でイベントや講座を開催し、その場に集まっていただいたユーザーの方々に教えていくやり方でした。しかし、単発のイベントや講座では実際に毎日ノートが書けているのかも、習慣化にあたって困っていることがあるのかも確認できません。
『ミーニング・ノート®︎』を学んでくださる方々ともっと継続的な関係を構築する場がほしいと考え、コミュニティの立ち上げを検討するようになったんです」
しかし、山田さんはコミュニティの立ち上げにも不安を覚えていたといいます。それはコミュニティを立ち上げたことで、むしろ多くの人から「怪しい」と思われてしまうことへの懸念でした。
「私は『ミーニング・ノート®︎』を発表する以前は、デジタル系の広告代理店でSNS関連の仕事をしていたので、これからはオンラインコミュニティの時代が来るとわかっていました。
SNSでは自身の世界観を表現できなかったり、今では不特定多数の人に見られてしまうために炎上や誤解を招くリスクが表面化しています。私が働いていた当時は2014年ごろでしたが、
個人も企業も自身の世界観の中で、顧客やファンといつでもつながれて信頼関係を築く場が必要になると感じていたんです。
しかし、オンラインコミュニティは比較的新しく、どうしても『怪しいのではないか』と思われがちなものです。そのため、なるべく怪しく思われないためにも『
ユーザーをサポートする場であること』、そして『
良好な関係性を築いていきたい』という想いをしっかりと伝えられるプラットフォームを選定していきました」
検討の結果、山田さんが導入したのは、
コミュニティ専用オウンドプラットフォーム「OSIRO」 でした。では、山田さんはどのような点が決め手となり、OSIROを導入したのでしょうか。
「実際に現在のミーニング・ノートコミュニティの紹介ページをご覧いただくとわかりますが、
OSIROはプラットフォームにもかかわらず、細部にわたって世界観を表現できるようなカスタマイズ性が非常に高いんです。そのため、
コミュニティを立ち上げた自分自身の想いや、目指したいコミュニティの姿を丁寧に説明できます。このような世界観や自身の想いを表現できるつくり込みができるのはOSIROの大きなメリットだと思い、安心してコミュニティの立ち上げを決意できました」
コミュニティは「運営者」の心理的安全性も大切
こうして2020年4月に「ミーニング・ノートコミュニティ」がスタートしましたが、最初期はメンバー14名と、当初予定の30名を下回る人数でした。しかし、山田さんはそこから
1年弱の2021年2月には100名以上のメンバーを集めることに成功しています。そこにはどのような取り組みがあったのでしょうか。
「私はインフルエンサーではないので、
Instagram のフォロワーは現在でもそれほど多くありません。そこで、私は新規メンバーの募集にあたり、3つの流入経路を用意しました。
まず1つめは
講演会での露出。イベントやワークショップなどには積極的に参加し、その際には必ずコミュニティのことを紹介していました。2つめはGLOBIS 学び放題やSHElikesなどの
学習サービスの動画コースに出演したこと。そして3つめは自分のアカウントでの
インスタライブやコミュニティ体験会の開催です。
意識したのは『
テキスト情報だけではなく、コミュニティの主宰者である私が話している様子が見えていること』。私自身がどんな人間であるかを知ってもらうのは、集客にあたりとても重視していました」
このように、集客の工夫を凝らしながら着々とメンバー数を増やしていったミーニング・ノートコミュニティですが、当初山田さんは「
内心では知らない人と話すのが怖いと思っていた」と語ります。
「実際にそんなことをする人はいなかったのですが、当時は予想がつかない言動をする人がいたらどうしようと怖かった記憶があります。
コミュニティは運営者の心理的安全性を確保することも大切です。
運営者自身が心配事や恐怖心を持っていると、萎縮してしまい活動が狭まってしまうんです」
そこで、山田さんは
コミュニティ入会に審査制を導入。同時に、
コミュニティ内での推奨行為や禁止事項をまとめたガイドラインのアップデートにより、コミュニティ活動での安心感を醸成していきました。
「
ガイドラインは最初から完璧なものをつくることはできず、後から追加しなければならない事項は必ず出てきます。ただ、ガイドラインを途中で変えるのは、私としてもコミュニティメンバーにもストレスがかかることです。そのため、今ではガイドラインが変更になる可能性があることを事前に周知するようにしていて、お互いの合意が合った上でアップデートするようにしています」
コミュニティから生まれた「ヒット書籍」と「新規事業」
こうしてコミュニティへの安心感が生まれ、活動やコミュニケーションが活発になっていったミーニング・ノートコミュニティ。その結果、山田さんが立ち上げ前から抱いていた想い「継続的ないい関係をつくりたい」が実現されていくにつれて、
コミュニティだからこそ得られる学びと気づきを実感していったといいます。
「コミュニティを初めて4、5か月ほどだったと思いますが、
メンバーとも徐々に打ち解けてきて、少しずつ本音を話してくれるようになったんです。そこでわかったのは、メンバーが
本当に困っていたのは『ミーニング・ノート®︎』の書き方ではなく、振り返りの方法でした。私自身が振り返りを得意としていたので書き方の方に注力していましたが、実は違っていたことを、早いタイミングで教えてもらえたんです。
こういった
ユーザーの本音は、コミュニティを運営し継続的ないい関係が生まれていなければ聞くことはできませんでした。こうした声を受けて、より振り返りにフォーカスしたプログラムの作成を進めていきました。そして、今年の春に出版したのが『
最高の未来に変える 振り返りノート習慣 』です」
ユーザーのニーズを捉えた本書は発売と同時に多くの反響を呼び、発売1か月で3刷を突破するヒット書籍となりました。その評判は国内にとどまらず、
台湾と中国でも翻訳本の出版が決定するなど、異例の人気となっています。
「本書の中にはとても多くの事例を掲載していますが、これもすべてコミュニティメンバーにヒアリングしたもの。一人ひとりにじっくりと向き合い、お互いをさらけ出すようなコミュニケーションがとれたため、
通常のユーザーインタビューからは絶対に聞けないような深い話をしてもらえました。本書はコミュニティメンバーとの共創により生まれたものと考えていて、実際に発刊された時にはみんなでお祝いしました。
コミュニティは、今では完全に私のホームになっています」
コミュニティのスタートから5年目となり、メンバーも16期生を迎えたミーニング・ノートコミュニティですが、現在でもコミュニティ起点での新しい取り組みが始まっています。
「今年から始めたのが、
『ミーニング・ノート®︎』の認定講師制度です。これまで教えるのは私一人だけでしたが、より多くの人に『ミーニング・ノート®︎』を活用・継続してもらうための仲間をつくりたいと考えたんです。多様なバックグラウンドを持つ認定講師が増えていくことで、『ミーニング・ノート®︎』がさまざまな悩みを持つ方に寄り添える存在になりたいと考えています」
5年目で見えてきた「コミュニティ運営のコツ」
ミーニング・ノートコミュニティを通じて、新たな挑戦へと歩みを進める山田さん。5年間の運営を通じて見えてきたコツもあるといいます。
「コミュニティを始める時には、『できれば主体性のある人がメンバーになってくれると嬉しい』と思います。しかし、結論からいえば
メンバーに主体性があるのかを選別するのは非常に難しいです。そのため、まずは
運営の仕組みとしてコミュニティで活動する際の心理的なハードルを下げることが大切です」
では、山田さんはメンバーが主体的にアクションを起こしていけるようにするために、どのような工夫をしているのでしょうか。
「例えば、ミーニング・ノートコミュニティでの活動はオンラインイベントを中心としていますが、その際に意識しているのが
イベントの参加人数を多くて5名ほどの小規模なグループに小分けし、一人ひとりが発言する余白が生まれやすくしています。
発言前に自分の考えを整理する『内省タイム』を必ず設けるようにもしています。そうすることで、自分の思考を整理した上で話すことができるので、積極的に発言してもらいやすくなりました。
また、
コミュニティ内では積極的にイベントのキャプチャーを投稿するようにしています。実際にどのようなことをやっているのかが目に見えるかたちにすることで、安心して次のイベントに参加してもらえるようになりました」
そして、
大きな効果があったのは大学生インターンの採用でした。山田さんは大学生インターンが運営に携わることで「コミュニティメンバーの心理的ハードルは大きく下がった」と振り返ります。
「大学生インターンがいてくれるおかげで、
コミュニティ内での会話が格段に活性化しました。質問も投げかけやすく、若手の価値観から新鮮な意見を言ってくれることがコミュニティ全体の刺激にもなっています。また、デジタルネイティブなのでOSIROの機能もすぐに使いこなしてしまい、みんなで学ばせてもらっています。そしてなにより、
コミュニティ全体で大学生を応援したいという温かい雰囲気が生まれました」
最後に、山田さんは現在コミュニティの立ち上げを検討する方々へ以下のようなメッセージを送り、講演を締めくくりました。
「コミュニティは1つの事業を立ち上げるようなものなので、大変なことも色々あると思います。しかし、
ファンやユーザーの方々と継続的な信頼関係を築く手段としては、非常に有効であり、実感としておすすめできるものです。今後コミュニティを立ち上げる方が増えて、コミュニティオーナー仲間が増えたら嬉しく思います」
ミーニング・ノートコミュニティ
ミーニング・ノートコミュニティは、ミーニング・ノート®を活用することによって、チャンスをつかむ方法を仲間と一緒に習得し、人生を切り開いていくコミュニティ。コミュニティ内では月に1回のワークショップのほか、週に1度のクイック振り返り会、オンライン座談会「ミーニングナイト」の開催(不定期)などのイベント開催をはじめ、ミーニング・ノートの基礎を学ぶ実践オリエンやメンバー同士の部活動など、豊富なアクティビティが用意されています。これにより、ミーニング・ノートのメソッドを深く学ぶだけでなく、コミュニティの仲間とともに実践・継続できる場になっています。
https://meaningnote.com/
山田智恵さん
ミーニング・ノート®開発者 / 株式会社ダイジョーブCEO
世界で初めてチャンスのつかみ方を理論化し、誰でも実践できる手法「ミーニング・ノート®」を開発。2010年にリーマンショックの影響で、一家全員無職、無一文になるという人生が激変する経験をし、チャンスをつかもうとしたことがきっかけで、ミーニング・ノート®を開発し始める。毎日チャンスを記録し、振り返ることで、自分の行動が変化し、想像もしていなかった自分の可能性が見えてきたことがきっかけとなり、多くの人に「ミーニング・ノート®」を届けようと考え、2016年に一部上場企業の事業部長を退職。株式会社ダイジョーブを立ち上げ、2019年に「ミーニング・ノート® 1日3つチャンスを書くと進む道が見えてくる」を出版。未来は変動するものという前提に立ち、今日自分にきたチャンスから価値・可能性を見つけ出すという生き方を提唱している。一般向けにはオンライン・コミュニティを、企業向けには研修やワークショップを提供。ビジョンは、世界中のチャンスを可視化すること。
https://meaningnote.jp/
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