コミュニティが継続的に成長していくためにたどるべき4つのプロセス。
それは、
「はいる」「なじむ」「はずむ」「にじみでる」です。
それぞれを単独的に捉えるのではなく、順序とつながりを正しく理解し、実践することがとても重要です。
それでは、プロセスごとにヒントを交えながら、押さえるべきポイントを見ていきます。
▲オシロが考える「コミュニティの成長スパイラル」1.「はいる」最初のプロセス「はいる」では、コミュニティのコンセプトや世界観、活動内容を伝え、それに共感したメンバーに入ってきてもらうことが重要になります。
集客時は、ついつい人を集めることだけに意識が集中しがちですが、コミュニティのコンセプトに合わない人を集めると「もっとオーナーに会えると思った」「やりたいことができない」など、コミュニティの活動内容に不満が生まれやすく、結果的に運営側、参加者側の両方にとって不幸な状態になります。
そのためにも、コミュニティ運営者はコミュニティの目的・活動内容・どのような人におすすめかなどを明確に伝えていくことが大切です。
実際のアクションとして、Aboutページの作り込み(コミュニティ公式トップ)、説明会の開催、メッセージ動画でオーナーの想いを届けるなどがあげられます。
これら一つ一つのアクションが、
参加者の共感、熱量を育てることにつながり、その結果メンバーの主体性や盛り上が作り出されます。
また、 応募時に「入会動機」 や「コミュニティでやりたいこと」 などを事前にヒアリングしたり、直接話せる機会を設けるなど、入会前に運営側の想いと参加者側の期待値を擦り合わせる工夫を行うことも、ミスマッチを防ぐためにとても有効的なアクションです。
2.「なじむ」この成長スパイラルの中でもきわめて重要なフェーズでありながら、多くの人が軽視しがちなのが、この「なじむ」です。
人と人が打ち解けるためには、「本当の自分」をさらけ出して会話をすることだと思います。
でも、いきなり知らない人が集まる場で会話をするのはとても不安ですよね。
まして、“安心・安全”だと感じられない環境だとしたら、当然みんな「本当の自分」を出すことを躊躇してしまいます。
その観点から、
メンバーが「安心・安全」に会話をできるコミュニティの設計は、コミュニティ運営における基礎中の基礎と言えます。
安心して自己紹介ができる場作りをはじめ、新メンバーを既存メンバーがサポートする仕組み作り、気軽な挨拶や雑談の誘導など、常に「もし自分がメンバーだったら」の視点を持ち、メンバー目線に立った工夫を重ねることが大切です。
これらを意識した上で、コミュニティ内の会話・アクションが「なじむ」に達する時、メンバー同士の仲は深まり、次のフェーズ「はずむ」につながっていきます。
3.「はずむ」「はずむ」とは、端的に言えば、
コミュニティが盛り上がり、メンバーがコミュニティ内でアクションすることを楽しんでいる状態であり、メンバーの満足度が高いことを意味します。「ファンと盛り上がりたいからコミュニティを始める」っと言う動機をよく耳にするのですが、これからコミュニティ運営を考えるすべてのみなさんに覚えておいて欲しいことがあります。
それは
「コミュニティは勝手には盛り上がらない」ということです。
どんなに素敵なメンバーが集まるコミュニティも、活性化するためには、運営側の
“メンバー同士(n対n)の盛り上がりを促すアクション”が必要不可欠です。
オーナーとメンバー(1対n)の盛り上がりも大切ですが、これだけでは運営側の負担が大きく、継続的な盛り上がりを作るのはとても難しいのが現実です。
メンバー同士の盛り上がりを促す効果的アクションとして、そのコミュニティでしかできない体験の提供や、メンバーの興味関心への後押しがあります。
例えば、メンバーに「〇〇に興味があるんですよね?是非イベントを企画しませんか?」と背中を押したり、「■■さんも〇〇に興味があると言っていたので、一緒に話してみませんか!」と運営が率先してメンバー同士を繋げつつ、
メンバーが主体的にアクションしやすい「余白」を作っておくことが重要です。
メンバー同士(n対n)の盛り上がりを促すためにも運営者は、ぜひメンバーのアイデアや、小さな一歩に寄り添う存在となっていただきたいと思います。
4.「にじみでる」いよいよ、最後のプロセスです。
コミュニティが楽しくてはずむようになると、
メンバーは外部に対してもコミュニティ内の出来事や活動、また作品・商品を発信するようになります。オシロではこのフェーズを「にじみでる」と呼んでいます。
面白かった本や映画、美味しかったお店など、
期待値を上回った満足を経験すると、みなさんもついつい人に紹介したくなりますよね。
その心理と同じで、メンバーも
コミュニティ内で“ここでしかできない”唯一無二な経験をすると、外に伝えたくなり、にじみでる状態が生まれます。
クローズドなオンラインコミュニティでは、お店やレストランの様なレビューが存在しないからこそ、外にコミュニティの存在を広めるためにも、参加者の実体験の声を届けることが一層大切になります。にじみでていくことが増えると、社会に対するインパクトも自然と増えていきます。
その結果、今度はそれを見聞きする人々が新しいメンバーとしてコミュニティに参加する。
このように、「にじみでる」のフェーズに達すると、
既存メンバーが新たなメンバーを呼び寄せ、集客面でも自走するコミュニティになっていくのです。
最後にこの成長スパルラルを実際のコミュニティ事例でご紹介したいと思います。
「コルク ラボ」は、コルク代表の佐渡島庸平さんが主宰するコミュニティのつくり方を学ぶオン ラインコミュニティ。2017年1月からコミュニティを開始し、現在の会員数は200名以上。コルク ラボがどのような工夫を重ねて成長を遂げたのか、実際のアクションを見てみましょう。目的:コミュニティプロデュースの実験
コンセプト:コミュニティプロデュースを学ぶコミュニティ
メンバー:コミュニティプロデュースに興味がある人、学びたい人
活動:
・1ヵ月間のグループワーク
・主宰からのお題 (1回/週)
・ゲストイベント (1回/月)
・メンバー発表イベント (1回/月)
・グループ課題 ・合宿 (2回/年)
・文化祭 (1回/年)
会費:10,000円/ 月
▼コルクラボについてはこちらから
「コミュニティファースト」を掲げて、コミュニティを運営するために必要な知識、技術を学ぶ ***
シンプルに見えて、実は奥が深いこの「コミュニティの成長スパイラル」。
このスパイラルをどこまで体現できているかが、コミュニティ成功の指標にもなります。
とはいえ、実際のところ、最後のフェーズである「にじみでる」までできているオンラインコミュニティは、多くないように思います。
ここまで読んでいただいたみなさんの中にも、「にじみでるまでいくのは難しそうだな」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
このスパイラルはすぐにできるわけではなく、地道なひとつひとつのアクションの積み重ねが、結果、にじみでるというところまで連れて行ってくれるのだと考えます。
まずは、コミュニティの状態、メンバーの状態・ニーズをよく観察し、現在のフェーズを見極め、必要だと感じられるアクションから始めてみてくださいね!
OSIRO資料ダウンロードはこちら 村山 愛津紗
コミュニティアドバイザー / ライター
広告代理店、クラウドファンディング運営会社にてコミュニケーションデザインを担当後 独立。 最近は執筆やコミュニティ運営のサポートを行っている。 自身も複数のオンラインコミュニティにメンバーとして参加し、生き方、暮らし方の変化 を日々体感中。