創刊19年目の旅メディア『
旅色』が2021年に立ち上げたコミュニティ『旅色LIKES』。「コミュニティベースド・メディア」を標榜して編集部と読者、書き手と読み手の垣根を超えた新しいメディアのあり方を実践してきました。2026年6月、『旅色LIKES』はさらなる進化を求め、コミュニティの名称を『旅色綴り(たびいろつづり)』として、新たにスタート。
なぜ『旅色』はOSIROを導入したコミュニティをメディア戦略の軸のひとつに据えたのでしょうか。そして、コミュニティが成熟した今、あえてそのあり方を再定義し、名称を分けるに至った真意とは。
リブランディングの裏側にあるメディアとしての想いと、コミュニティメンバーとの共創の未来像について、『旅色』編集部の皆さんに聞きました。
DSC08221.jpeg 9.16 MB『旅色』編集部の皆さん
画像中右:株式会社ブランジスタメディア メディア編成本部 部長 旅色編集長 播磨雄介さん
画像中左:同社メディア編成本部 編集部 清水彩純さん
画像右:同社メディア編成本部 編集部 大熊静香さん
画像左:同社メディア編成本部 編集部 吉川綾乃さん
旅色綴り
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「書いて、つながる。」をコンセプトに、コミュニティメンバーを日本各地の旅関連施設(宿、レジャー施設、飲食店など)へ招待し、旅の様子をレポートとして発信するコミュニティベースド・メディア。まだ知らない、知っているけど行ったことがない旅の機会から、新たな日本の旅のおもしろさを発掘。旅の様子を記事として発信することで、日本の旅のおもしろさを伝えている。このようなコミュニティメンバーから発信される記事は非常に多彩かつ独自性に富み、他のメディアにはない視点から全国各地の魅力を発信していることから、全国の観光施設や自治体から大きな注目を集めている。
Webメディア『旅色綴り』はこちら▼
https://tabiiro.jp/likes/
コミュニティの詳細・入会はこちら▼
https://likes.tabiiro.jp/about
「コミュニティベースド・メディア」は双方に好循環を生む仕組み
DSC07993.jpeg 7.38 MB播磨雄介編集長
ーーまずは「コミュニティベースド・メディア」について教えてください。コミュニティとメディアが一体となったメディアのあり方は、どのような経緯で生まれたのでしょうか?
播磨雄介編集長(以下、播磨編集長): 最初のきっかけは、読者の方からいただいた声でした。当時はコロナ禍のまっただ中で、なかなか旅に行けない状況でしたが、多くの読者から「それでも旅が好きだから、旅好き同士で交流し情報交換がしたい」という声を数多くいただいたんです。それに応えるかたちでスタートしたのが『旅色LIKES』でした。
そのような場をつくり運営してみると、コミュニティメンバーの方々が地元のマニアックな旅情報を教えてくださったり、「今は行けないけれど、こういうルートで旅してみたい!」と旅のご提案をしてくださるようになりました。
こうした熱量ある生の声を発信していくこと自体が、新しい時代のメディアのかたちになるんじゃないか。そのようなアイデアから生まれたのが、「コミュニティベースド・メディア」という構想です。
DSC08072.jpeg 8.12 MBリブランディングの中心人物で『旅色綴り』の命名者でもある清水彩純さんーー最近のWebメディアの記事ではユーザーの声を取り入れた記事も出ている印象もありますが、コミュニティベースド・メディアはどのように違うのでしょうか?
清水彩純さん(以下、清水さん): ユーザー発信の記事や投稿を「UGC(ユーザージェネレーテッドコンテンツ)」といいますが、UGCメディアはユーザーの声を一方的に吸い上げた、どこか搾取的なイメージを持たれやすい傾向があると思います。
私たちはコミュニティ内での「関係性」を重視しています。単にメンバーの記事をそのまま流用するのではなく、編集部が記事をつくるお手伝いをし、読者の喜びになるかたちでメディアにも還元していく流れをつくっています。だからこそ、私たちは「コミュニティベースド・メディア」なんです。
ーーこのような取り組みを5年前から実践しているのは、非常に先進的だと思います。
播磨編集長: 前例がほぼない状態だったからこそ、立ち上げ時にはコミュニティとメディアの建付けに大いに悩みました。もちろん「立ち上げる意味はなんなのか?」「会社にとってメリットがあるのか?」を考えるのは、企業としては当然のことです。そのため、コミュニティの熱量を大切にしつつ、いかにそれをメディアに還元し会社としてもメリットが生まれるようにするかは、熟慮に熟慮を重ねました。そこで出た答えが、「メディアが運営するコミュニティだからこそ表現できる、独自の『出口』が必要だ」ということでした。それが、
旅色のサイト内にある記事ページです。
メディアだからこそ、メンバーの声をしっかりとした記事として世の中に発信できる。そして、コミュニティという安心して交流・発信できる場がありつつも、そこで生まれた素晴らしい記事が埋もれることなく外部へと発信される仕組みがある。このような好循環が生まれる仕組みこそが「コミュニティベースド・メディア」の真髄ともいえる部分です。
約1700記事が生まれた圧倒的な「発信力」は、いかに培われたのか?
DSC08087.jpeg 5.06 MBメンバー出身ライターで編集担当でもある吉川綾乃さん
ーーコミュニティベースド・メディアの大きなメリットとして、多彩な書き手が集まり、それぞれの視点から独自性の高い記事が生まれていくことで、メディアとしての発信力も高まっていく点があると思います。
清水さん: そうですね。コミュニティに集まってくださっているメンバーの皆さんには「旅の体験を記事にしたい」「メンバーの記事を読んで楽しみたい」「集まった旅好きな人たちと交流したい」と、皆さんそれぞれにコミュニティで期待している体験があり、その比重も人それぞれだと思います。
しかし、そうやってさまざまなメンバーさんがコミュニティのなかで交流し、刺激を受け合うからこそ、多彩な記事やイベントが生まれていきました。その結果、
5年間でトータルすると約1700もの記事が生まれています。そのようなコミュニティ内でのさまざまな取り組みがあったからこそ、私たちの強みは「発信力」であると言い切れる、大きな自信につながっています。
ーーそれほど膨大な数の記事がつくられているとは驚きです! 一方で、記事が多くなるにつれて、埋もれてしまうこともあるのではないでしょうか?
吉川綾乃さん(以下、吉川さん): 以前は3か月に1度「記事選考会」というイベントで、
期間内に投稿されたブログを編集部がすべて読み、内容を評価し表彰する取り組みを実施していました。一番多い時は、
3か月で100本もの高クオリティな記事が集まることもあって、編集部としては嬉しい悲鳴を上げていました(笑)。
ーーそれは編集部としても熱量が試されますね(笑)。文字数の上限やフォーマットなどはあるのでしょうか?
大熊静香さん(以下、大熊さん): 特に設けていません。人によっては何千文字も熱く書いてくださる方もいれば、文章は短めで写真が100点ほど入っている方もいます(笑)。しかし、私たちは
自分らしい発信のあり方を楽しんでほしいとも思っています。そのため、ブログレビュー会では文章の内容や質を表彰する「記事部門」だけでなく、取り上げるテーマの素晴らしさを選考基準とした「テーマ部門」なども設けて、できるだけさまざまなメンバーさんにスポットライトが当たるように工夫し続けてきました。
ーー個性的な記事が数多く執筆される一方で、メディアとしてのトーン&マナーも意識する必要があると思います。記事化にあたってはどのような編集方針をとっているのでしょうか?
吉川さん: もちろん、掲載する際にはメディアとしての体裁を保った状態で公開できるように、それぞれの記事に編集者がフィードバックをし、ブラッシュアップをしていきます。それで
メキメキと文章力をつけて、『旅色』でライターとして記事を書かれてる方もいらっしゃいます。
長い方だと3年、4年ほど記事を書かれている方もいますが、そういった方はご自身の文体や持ち味を活かしながらも、私たちのメディアの体裁を意識して書かれているので、まさにプロのライターとしての視点を持ってくださっています。
ーーコミュニティに入会したことをきっかけに記事を書き始め、今では他媒体からも執筆依頼が来るようになったライターさんもいると聞きました。
清水さん: そうですね。でも、そんな方でも最初はコミュニティの中で記事を書いてみるところから始まっています。とても素敵な文章を書かれている方でも「最初はライターに憧れてはいたけれど、自分とは違う世界だと思っていました」と話していました。
私たちの
コミュニティに入って初めて自分の書いた記事を編集者が見るという経験をし、メディアにも公開されていくうちに自信がつき、今では旅ライターとして他媒体でも活躍されている方もいます。それはもちろん、ご自身の実力と努力があってこそのものですが、機会提供という点では、私たちのコミュニティが背中を押せた部分もあったのかな、と思っています。
ーーコミュニティが書き手としてのスキルアップの場にもなっているんですね。
大熊さん: 書く上で大切な視点といったマインドセットのような部分から、写真の撮影講座といったより実践的なスキルアップ講座など、コミュニティに参加する皆さんがレベルアップできるようなイベントも開催しています。そうすることで、皆さんが
書くモチベーションを維持しながら、自身の成長も実感できる。そんなコミュニティづくりを意識してきました。
また、コミュニティならではのこととして、「学び合い」が生まれていることも大きいと思います。私たちのコミュニティはメンバー同士の「n:n」の交流も非常に活発で、これまでメンバー発のイベントも多数開催されてきました。
私たちが学ぶ場を提供するだけでなく、メンバー同士が仲を深めながら刺激し合い、切磋琢磨できる場にもなっていると思います。
『旅色綴り』を“日本で一番役に立つ旅の記事を発信する集団”にする
DSC08162.jpeg 6.72 MBーー2026年6月より、名称が『旅色LIKES』から『旅色綴り』となり、コンセプトも「書いて、つながる。」に変更となりました。今回の名称とコンセプトの変更には、どのような背景や想いがあるのでしょうか?
播磨編集長: 一番の理由は、メンバーの皆さんの素晴らしさや記事の価値を、社内外にもっとわかりやすく見えるようにしたかったためです。これまでの名称やコンセプトでは、どうしても「『旅色』のファンコミュニティなの?」という誤解を生み、なかで起きていることや発信力のすごさがなかなか外に伝わっていないことを、とてももったいなく感じていました。
皆さんは
『旅色』のファンでいてくださっているだけでなく、私たちとともに楽しんでメディアを共創しています。そんなメンバーの素晴らしい記事たちを、もっと多くの方々に届けていきたいという想いがありました。
ーーコミュニティベースド・メディアとしての価値や存在意義をいかに伝え、中長期的に運営を継続していけるか。そのような問いが前提にあったのですね。
大熊さん: 私たちがコミュニティ外でやっていた講座プロジェクト「
ちゃんと旅を考える学校」も大きなきっかけになっていたと思います。これは大人になってから新しい視点を学び直す場として、2か月間の集中講座を実施する取り組みなのですが、過去2回実施した講座はいずれもとても好評でした。しかし、
そうした場をつくって改めて感じたのが、継続して仲間とともに学び続けながら、旅への情熱を発露できる「受け皿」の大切さでした。
旅の体験を記事として綴り、発信をしたいすべての方に実践する機会を提供し、仲間とともに書き続けられる。そんな受け皿を残すためにも「コミュニティベースド・メディアとしてのあり方を存続させていくべきだ」という結論に至りました。
DSC08031.jpeg 3.33 MBーーでは、今回のリブランディングではどのようなことが変わったのでしょうか?
清水さん: コミュニティの名称もコンセプトも変える。そういうと、かなり大きな変更があるように思えますが、実は核となる部分はそのままで、「ちゃんと旅を考える」という根底にあるテーマは変わりません。大きく変えたのは、私たちが
メンバーの皆さんに提供する体験や機会を、大幅に増やしたことにあります。
活動について具体的な話をすると、メンバーの皆さんをご招待していた
お試しステイ(宿泊やアクティビティ、飲食体験などの体験レポート企画)を、
これまで不定期実施で年10回程度であったのを、今後は約10倍に増やし、2か月で20件程度の実施を予定しています。
ーー10倍はすごいですね! では、旅をして記事を書く機会が大幅に増える一方で「つながる」の方はどうなのでしょう?
吉川さん: 執筆や撮影のスキルアップをサポートしたり、メンバーの方々が交流できる情報発信講座やイベントについても開催予定です。実際に旅する機会を増やしながらも、ライティングや取材について学ぶ機会も設けることによって、旅色綴りに
参加するすべての方々が主役となり、書くことのおもしろさを全員で味わえるコミュニティにしていきます。
旅色綴りとは - 旅色綴りメンバーサイト - [likes.tabiiro.jp].png 98.62 KB旅色綴りコミュニティサイト掲載の「情報発信講座」予定スケジュール(提供:旅色綴り)ーー今後コミュニティで書かれた記事をメディアに掲載する際には、どのようなプロセスをとっていくのでしょうか?
清水さん: 『旅色LIKES』では認定ライター制度という、ブログレビュー会で3位以内に入賞し、コミュニティ内で書いた記事が旅色に掲載されることで、認定ライターとして旅色内で連載を持てる制度をとっていました。リブランディング後は認定ライター制度を休止する代わりに、より多くの記事が旅色へと掲載されるようになります。
旅色への掲載は私たち編集部の方からお声がけをするかたちをとりますが、掲載が5記事を超えると、プロフィール文や写真とともに、掲載された記事を一覧で見ることができる著者ページが作成されます。そのため、
実質的にはより多くのメンバーの方々の記事がメディアに掲載され、ライターとして活動できるよう門戸を広げた変更になっています。
image_20260611133233.png 87.31 KB『旅色綴り』のブログ記事がメディアに掲載する流れ。メディアでの掲載が5記事を超えると著者ページが作成される(提供:旅色綴り)ーーでは最後に、新しく生まれ変わる「旅色綴り」の、これからの未来、中長期的な展望についてお聞かせください。
播磨編集長: 先日配信したプレスリリースにも書いたのですが、
私たちは旅色綴りを“日本で一番役に立つ旅の記事を発信する集団”にしたいと考えています。旅色綴りは、旅好きな方々の高い熱量から生まれたコミュニティベースド・メディアです。そのため、メンバーの方々の書く記事は、一般的な旅行好きのレベルを遥かに超えた水準の記事が日々生まれています。
だからこそ、
独自の視点から地域に暮らす人でも気づかないような魅力を発見し、最高の熱量で記事ができる。そんな記事がこれからの時代に最も価値を持つと信じています。
差別化が難しくなったデジタルメディアの時代において、「あの時、コミュニティを止めずリブランディングをして継続させたのは大正解だった」と証明したい。この
5年間で培ったコミュニティの運営ノウハウやストックされた記事は、私たちの最大の資産だと思っています。
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『旅色』
株式会社ブランジスタメディアが2007年に創刊した旅行情報Webメディア。電子雑誌『月刊旅色』は創刊以来、毎月俳優がナビゲーターを務める電子雑誌として国内旅行情報や旅館・ホテル、飲食店、レジャー情報を紹介している。旅行情報Webメディアではエリアや目的、プランごとに全国各地の宿やグルメを直接探せる検索機能が充実している。自分自身の行きたい場所、まだ知っていなかった魅力的な場所との出会いを促進するだけでなく、旅をもっと楽しく、もっと便利にしていくサービスを次々と展開している。
『旅色』はこちら▼
https://tabiiro.jp/