OSIRO Dialogue – 対談まとめ
最近、よく耳にする「心理的安全性」これをコミュニティで実現するにはどうすればよいのか?
『メンバーと一緒につくる!』を体現しているオンラインコミュニティ「Park みんなが育つ小さな社会」の主宰 モンテッソーリ教師あきえさんにお話を伺いました!
SNSで絶大な人気を誇るモンテッソーリ教師のあきえさん。
Voicyの総再生回数400万回を超え「子どもが尊重される社会」をつくるために日々活動を続けられています。そんなあきえさんが次の舞台に選んだのは、2021年3月にスタートしたオンラインコミュニティ「Park みんなが育つ小さな社会」でした。
Vol.08
モンテッソーリ教師あきえさんモンテッソーリ教師(国際モンテッソーリ協会ディプロマ)
幼稚園教諭/保育士/「Park みんなが育つ小さな社会」主宰
▼対談動画フルバージョン|2022/05/20
https://youtu.be/yFH84jM1aEc 〈目次〉
・コミュニティ名「Park」に込められた想い
・オンラインコミュニティを始めたきっかけ
・他のSNSではつくれない、みんなでつくる共創の場
・心理的安全性の高いコミュニティであるための工夫
・子どもが尊重される社会をつくる
コミュニティ名「Park」に込められた想い
高田:「Park」という名前の由来や経緯をお伺いできますか。
あきえ:コミュニティを立ち上げるとなった時に、どういうコミュニティにしていこうか高田さんと一緒にブレストさせていただいてたんですよね。
コンセプトや作りたい世界観、コミュニティの文化を一言で名前に表すとしたら何がいいんだろうと、一旦いろんな枠組みをなくして考えてみたんです。
まずひとつは「家」。
家みたいにみんなで育っていく場所ということで、かっこよく「Casa(カーサ)」があがったのですが、雑誌があるので却下になりました。
次に、ここってどういう場所だろうと思うと、「芯から温まる」「居て良かったと感じる」「いろんなことが学び合える」「時に熱狂する」。それって私が大好きなサウナじゃないかと思い、じゃあサウナにする?となったのですが、ちょっと違うよねと。
いろいろ考えていた中で「入場制限のある公園」かなとなって。
みんなが「ここに行きたい」という思いがある中で集まっていて、あれもしなさい、これもしなさいではなく、みんなが思い思いに心地よく過ごしている。入場制限があって管理者がしっかりいるきれいな公園、それで「Park」が出てきたんです。
高田:代々木公園じゃなくて、新宿御苑みたいな感じですね。
あきえ:まさにおっしゃる通りです(笑)。
オンラインコミュニティを始めたきっかけ
高田:オンラインコミュニティを始めたきっかけを教えていただけますか。
あきえ:私はずっとInstagramとVoicyという音声メディアをメインに発信をしていたんですね。
今までリスナーの方や、フォロワーの方と密につながるような場所は一切設けていなくて、コメントやライブでのやりとりがメインだったんです。
私自身、モンテッソーリ教育を広げていきたいというよりも、モンテッソーリ教育を通して、「子どもが尊重される社会をつくっていきたい」というビジョンを掲げていて、さらに言えば、その先にある平和な社会の実現を目標にしています。
この目標はとうてい私一人で達成できるものではなく、
まずは仲間が必要だと感じました。
子どもを尊重する前にまず、子どもを援助する大人が尊重される必要がある。一人ひとりが「尊重されるってこんなに温かいんだ」と体感して、目の前にいる子どもと自分自身を大切に、尊重できる人が増えたら、少しずつかもしれないけれど、子どもが尊重される社会の実現に近づくんじゃないかと思っています。
その時に「
同じ想いだったり、学び合いたい・育ち合いたいと感じる人たちが集まる場をつくりたい」「ここから少しずつかもしれないけれど、
確実に"尊重の輪"が広がっていくようにしたい」と思ったのが、このコミュニティをつくりたいと感じた一番の理由です。
高田:Parkというコミュニティがあきえさんの関わる中では最もお互いが尊重されている場になっていって、メンバーさんがどんどん増えて、そのメンバーさんに関わる方も増していくと、結果的に尊重の輪が広がっていって、最終的には世の中が明るくなったり平和になっていくということですね。
他のSNSではつくれない、みんなでつくる共創の場
高田:あきえさんは、今Voicyでもかなり発信されていますし、Instagram、Youtube、本、そして最近では学校(オンラインスクール)も始められていますが、その中でこのParkの位置付けをお伺いしてもよろしいですか。
あきえ:輪で例えると一番中心に近い部分なんですよね。一番最初の輪にParkは位置づいていて、ここから他の発信や、「モンテッソーリペアレンツ」という子育てのためにモンテッソーリ教育を学ぶスクールなど、徐々に広がっていくイメージです。
よく私がこのParkの話をすると「モンテッソーリ教師あきえがやっているサロンだよね」と言われるんですけど、私としてはサロンじゃないよってすごく思っているんですね。
私が居てみんなが居るという場所じゃないんです。
Parkは、一人ひとりが主役で、みんなでつくっている共創の場なんですよ。
居場所でもあり、一人ひとりがコミットをして、自己開示しながら、一緒につくっていく場だと考えています。
Park内で見せるメンバーさんの一面が、ほんの一部であるとわかってはいるのですが、皆さん本当に自己開示をしてくれるので、私もかなり何でも話せるんですよね。
ちょっと子育てのことを話しているだけではなくて、もっと人生に触れているという感じなんです。
だからこそ「Park」は、尊重や相手を想うことを深く体感しながら、一緒に未来をつくっていき、お互いが影響し合い「子どもが尊重される社会」に向けての全ての活動の一番中心になっているんですよね。
高田:何でも話せるということを仰っていましたが、例えばあきえさんはどのようなことを自己開示しているんですか。
あきえ:モンテッソーリ教師あきえとして発信する時に、私個人の経験は、意識的にあまり話さないようにしているんですね。
Parkでは、私も一メンバーとして、家族のことや、私が今どうしてこの考えに至っているか、という過去のバックグラウンドも話しています。
また「子どもが尊重される社会」さらにはその先の「平和な社会」を目指して、実際に何をやっているのか、何をやろうとしていて、どういう進捗なのか、ブログでメンバーのみなさんにどんどんお話していますね。
高田:ブログも対外的なものではなくて、 Parkの中でメンバーさんしか見ることのできないクローズドなブログということですよね。
あきえ:そうなんです。Parkの中でしか見ることのできないブログで、やっぱりそこが私にとって心理的安全性が高いんですよね。Parkだから言いたい、Parkのみなさんと共有したいという想いで書いています。
心理的安全性の高いコミュニティであるための工夫
高田:みなさんがそこまで自己開示できる理由は何なのでしょうか。何か工夫されていることはありますか。
あきえ:
Parkの心理的安全性をつくっているスタートラインは、(入会の)審査制です。バックグラウンドも違うし、それぞれの価値観も勿論あるし、性別や置かれている環境も違うけれど、
「同じ方向を向いている」「向けてるベクトルが 一緒」ということを一つの基準にしています。
なので、自分が言ったことに対して意見が出て、いろいろな議論は起こるけれど、バッシングや否定、受け入れてもらえないんじゃないかという不安は、少ない状態がつくられていると思います。
あとは、
いつでも入会できるわけではなく、1ヶ月半から2ヶ月ぐらいのスパンでメンバー募集をかけるので、頻繁に誰かが入ってくることはなく、みんなで新規メンバーを迎えて、オンボーディングをする心の準備ができるんですよね。
入会した週には、メンバーのみんなで交流できる時間を必ず設定しているので、誰が入ってきたかわからない、今どういうメンバーが動いてるか分からないということはなく、
常に自分のコミュニティとして把握できる状態というのが、Parkを形づくっている一番の根本のところだと思います。
あとはOSIROさんの機能でバディー制度があるじゃないですか。
既存のメンバーさんが入会から1か月未満の新規メンバーに対してペアになり、相談したり助けたりができる制度で、もちろんParkも活用させてもらっています。
この制度(システム)を使って、新規メンバーさんと既存メンバーさんがつながり、助け合うことをナチュラルにできてるかなと思いますね。
高田:初めての方でもコミュニティに馴染みやすい、そんな工夫もされているということですね。他にも心理的安全性を担保する上で工夫されていることや、運営上の工夫はありますか。
あきえ:
Parkでは、ミッション・ビジョン・行動指針のクレドを決めています。コミュニティを立ち上げた2021年3月に0期メンバーを募集しました。そして、私一人で立ち上げたので、一緒にParkを運営してくださる運営メンバーを募集して、5人の方を選ばせていただき、プラス私の計6人でこの1年間、運営をしてきました。
結成して間もない運営チームでミッション・ビジョン・クレドを決めたんですよ、夜な夜な。
存在意義であるミッションは「子どもが尊重される社会をつくる」こと。
どう在りたいのかというビジョンは「自分を楽しみながら子どもを尊重できる大人になる」こと。
そのためにどう行動するかというクレドは、「尊重」「自立・自律」「主体性」。
この3つをParkでは行動指針として掲げていて、新規メンバーのみなさんにも必ずお話をさせていただいています。
積極的にがつがつやることだけが主体性ではないので、その人の心地良いペースを尊重しながら、その人らしい尊重、自立・自律、主体性をみんなで守り合っていきたいという想いでクレドとして定めています。
これがあるからこそ、みんな自然と同じ方向に進むことができて、コミュニティの文化として尊重し合ったり、認め合ったり、助け合ったりが本当に当たり前に行われているんですよね。「そうしなきゃ」じゃなくて、「そうなっちゃう」という感じで。これは心理的安全性の高さにつながっていると思いますね。
新規メンバーさんの募集は事前登録なので、
必ず事前説明会を開催し、そこでもこのお話をさせていただいています。
高田:
最初の段階でしっかりとお伝えをしているというところですよね。運営メンバーを集めたということだったんですが、どのように集めたのでしょうか。最初から運営メンバーを集めるのは、結構ハードルが高いと思うのですが。
あきえ:事務的なところで言うと、Park内で「運営メンバー募集します。一緒にやっていてくださる方いませんか。」と呼びかけて、そこにgoogle フォームをつけて、いつミーティングできるとか、
どれくらい動けるとか、何やっていきたいかとか、どうして運営メンバーをやりたいと思ってくださったのか、みたいなことを一通り聞きました。
もしかしたら誰も来ないんじゃないかという不安もあったのですが、予想に反して多くの方がやりたいと言ってくださって、本当にありがたいことに選考もさせていただきました。
コミュニティとして循環していかないといけないというところで、初めから任期は一年と決めていたので、この4月から新しい運営メンバーになっているんですよ。本当にみんなで創っているParkだと思いますし、感謝しかないですね。
子どもが尊重される社会をつくる
高田:尊重の輪の一番中心にParkがあるっていうお話でしたが、今後、このParkを通して、またはモンテッソーリ教育を広めていった先に、どんな展望を考えられていらっしゃいますか。
あきえ:「子どもが尊重される社会をつくる」ということで、5月に「モンテッソーリペアレンツ」という子育てのためにモンテッソーリ教育が学べる場をつくらせていただいたんです。
コミュニティで交流して自己開示してとかではなく、ただモンテッソーリ教育を学びたいだけの方もいらっしゃるので、そういう方々に向けて、とにかく学びというところに特化した場をつくりました。
それも含めて、私を知らない方々にもこの活動を届けていく必要があります。多くの方が子どもについてわかる、理解ができる、子育ての軸というものを自分の中につくることができて、そこからもまた尊重の輪が広がっていくと思うんですね。
子どもが尊重される社会、その先にある平和な社会、争いじゃなくて調和のある社会をつくっていきたいと思った時に、実現したいプロジェクトがいくつかあります。
その中のひとつで、
モンテッソーリ教育を実現する保育園を皆とつくりたいと思っています。Parkはオンラインですが、「尊重する」ということが当たり前に文化として根付いているんです。だからこそ、みんな心が豊かになっていくんですよね。
これっていろいろな余白がなくなりつつある世の中ですごく重要なことだと思っていて、こんなコミュニティがリアルでつくれたら、そこに携わる人達って、みんな前向きに生きていけるんじゃないかなと思っているんです。そして、そういう大人に囲まれている子どもって何を吸収していくんだろうか、いろいろな生き様やことを吸収していくんだろうなって。
そういったコミュニティの中に、子どもの家(※モンテッソーリ教育では保育園のことを子どもの家と呼びます)をつくって、本質的なモンテッソーリ教育を通してお子さんの育ちを助けていきたいですし、それこそが子どもが尊重される社会の原点になっていくと思うので、保育園の実現なども直近で目指していきたいです。
***
モンテッソーリ教師あきえさん
モンテッソーリ教師(国際モンテッソーリ協会ディプロマ)
幼稚園教諭/保育士
幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に、「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。
その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままで良いのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。
現在は「モンテッソーリ教師あきえ」として、子育てセミナーを開催したり、Instagram、Voicy、Twitter、YouTubeなどでモンテッソーリ教育を子育てに落とし込んだ情報を発信している。
著書『モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て』(すばる舎)▼
Park みんなが育つ小さな社会はこちらの活動はこちらから
https://park.montessoriakie.com/about
『OSIRO Dialogue』コミュニティープロデューサーによる、コミュニティダイアローグ
日々コミュニティ運営者と伴走するコミュニティプロデューサーが何より大切にしていること、それは「ダイアローグ」。 コミュニティオーナーが本気でやりたいことを理解し、 どうやってコミュニティで実現するかを共に考え、伴走します。このシリーズではそんな一コマをシェアしていきます。
OSIRO資料ダウンロードはこちら
高田 和樹
コミュニティコンサルタント・プロデューサーアパレル、大手メディア運営企業、外資系研修会社等を経て、プロのカヌー選手として国内外を転戦。アスリートの傍ら、オンラインコミュニティ黎明期の2010年代からコミュニティプロデューサーとして活動開始。会員組織の活性化はもちろん、コミュニティを起点とした新規ビジネス創出を得意としている。理論だけでなく、自らコミュニティを運営してきたリアルな成功、失敗体験に裏打ちされたアドバイスで大手出版社、メディアコンテンツのコミュニティDXを推進。SNS運営やPCのセッティングまで「コミュニティ成功のためならできることは何でもやる」のが信条。最近の趣味は焚火。以来、コミュニティと薪に火を着け続けている。
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Text: 村山 愛津紗 / コミュニティアドバイザー・ライター