遠山正道さん(株式会社スマイルズ代表)をお呼びしたOSIRO OWNER SPECIAL INTERVIEW第1弾。
OSIRO OWNER SPECIAL INTERVIEW
オシロ株式会社の代表取締役社長である杉山博一によるオーナースペシャルインタビュー。記念すべき第 1 回は、スープ専門店「Soup Stock Tokyo」、ネクタイブランド「giraffe」、アートと個人を結ぶ「The Chain Museum」など多数の事業を展開する、株式会社スマイルズ代表 遠山正道さんです。遠山さんが立ち上げたのは、コミュニティを「小さな国」、会員を「住人」と位置づけ、「幸せの再分配」を目指すユニークな「新種の immigrations~サブスクによる幸せの拡充再分配」。コミュニティをつくるに至った経緯や、「賢き朗らかでユニークな住民」たちに対する想いについて、お話しいただきました。
コロナ禍が生んだクリエイティブ
写真右 とおやま・まさみち◎Soup Stock Tokyo などを展開する株式会社スマイルズ代表
写真左 すぎやま・ひろかず◎元アーティスト& デザイナー。いくつかの起業を経て、 2017年OSIROを創業
杉山博一(以下、杉山) :OSIROのオーナースペシャルインタビュー企画を始めようと思ったとき、「最初のゲストはぜひ遠山正道さんに」と決めていました。今日はお時間をいただき、ありがとうございます。
遠山正道(以下、遠山):こちらこそ光栄です。
杉山:出会いは2017年。OSIROのサービスをスタートするにあたり、遠山さんからアドバイスをいただけたらと思って、知人を介してお会いしたのが始まりでした。しかもすぐに出資の判断もしてくださり、たくさんの方をご紹介いただきました。本当に感謝しています。まずは、遠山さんがオーナーをされているコミュニティ「新種のimmigrations」(以下、「イミグレ」)がどのように始まったのか、振り返らせてください。
僕は2年前からお酒をやめてしまいましたが、お会いした当時は飲んでいて、遠山さんにもよく飲みに連れて行っていただきました。
ある時、遠山さんが「乾杯クラブ」というコミュニティをやりたいとおっしゃって、すごく面白いなと思ったんです。なんとかして形にしたいなと。ただ、そのアイデアがあまりにも斬新すぎたのと、当時はOSIROのサービスが始まったばかりだということもあり、なかなかその企画が進められなかった。
ところが2020年、新型コロナウイルス感染症が日本でも拡大し、遠山さんが「あのとき話した『乾杯クラブ』をいまやるとしたら、こういう風にしたい」と話されて。それが結果的にイミグレへと生まれ変わったんですよね。
遠山:そうですね。コロナ禍が始まって最初の春は情勢が1日ごとに変化して、しかも人の命に関わることだから、あまり余計なことを言えなかったんです。経営者だろうが社員だろうが本当にどうしたらよいかわからない時期で、私も「家にいながらにして、会社や社会にどうやったら貢献できるのだろうか?」と毎日試行錯誤していた。そこで、2つの考えに至りました。
1つ目は、「1分の1の人生」。
そのころ、早起きして散歩したり、食事も自分たちでつくって家族みんなで食べたりするのが、なかなかよい時間だったんです。それまでは「仕事」にかこつけて、ずっと外の活動に追われていた。もちろん楽しかったし、機動力のある人生ではあったけれど、家にいてみると仕事や会社というのは人生の一部であって、それ以外に家族とか健康とか別の要素がたくさんあるんだということに、あらためて気づかされた。そして「自分が自分の人生を担保できているか」と自問するようになり、「1分の1の人生」ということに思い至ったんです。そこで社員に対しても「自分の人生は自ら設計してください」と朝礼で伝えました。
会社があなたの人生を請け負うなんていうことは本来あり得ない。あなたの人生の主役は、あなたしかいない。一人ひとりが自立した生活と仕事を実現できれば、魅力的な価値ある人となる。自らの心や体に嘘をつかず、自分の足元にある幸せをしっかりと見つめ、「1分の1の人生」をそれぞれが生きてください、と。
杉山:「1分の1の人生」を歩む自立した人の集合体、チームであれば、よりパフォーマンスが上がるし、魅力的な集団、企業、家族になるでしょうね。
遠山:ええ、そう思います。
2つ目は、「幸せの拡充再分配」です。
私は、コロナ禍のような時こそ、上を向いて何か活動するということが大事だと直感的に思いました。ただ、「乾杯クラブ」はコロナ禍ではできないし、「足元の幸せ」ということを実感していた時だから、幸せを自ら発見したり、ひとりで幸せの種を植えるのは大変だからみんなで知恵を出し合いながら生まれた幸せを再分配したりできたらいいなと。手探りながらまずは宣言してみたら、そこから何かが生まれるのではないかと期待もあり、コミュニティをつくろうと決めたんです。それですぐ杉山さんに相談したんですよね?
杉山:そうです。もうひとつ、イミグレ立ち上げのきっかけには、長野県の北軽井沢にある遠山さんの別荘〈Tanikawa House〉の存在も大きいですよね?
遠山:ええ。3年前に取得した家で、軽井沢の駅からバスで40分、バス停から歩いて40分と非常に不便なところですが、いまもひとりでよく通っていて、孤独と不便を楽しんでいます。それで、この空間にひとりで過ごすことの喜びを、価値観を共有できる人たちと分かち合いたいと思うようになりました。
北軽井沢〈Tanikawa House〉外観。建築家の篠原一男が谷川俊太郎のために設計し、1974年に竣工した。杉山:この北軽井沢の家を入り口に、2020年7月30日の『Casa BRUTUS』のウェブ記事で「新種のimmigrations~サブスクによる幸せの拡充再分配」をローンチし、第一次募集が開始。Yahoo! に転載されたこともあり、2020年8月30日の募集締め切りまでに200人以上の募集がありました。これはある意味、コロナ禍が生んだクリエイティブではないかと思うのですが、いかがですか?
遠山:そう、コロナがなかったらやっていなかった。コロナで時間が止まって、だったら何かやってみようという逆張りの発想が生まれたというか。
杉山:OSIROでは、コミュニティの立ち上げ時に必ず「コミュニティ設計」という企画をオーナーさんと一緒に行っています。ただ、イミグレの場合は、特に僕が何かできたことはなく、遠山さんにすべてがドーンと降りてきた印象を受けました。
遠山:これは自分の癖なんだけど、明け方4時、5時に目覚めるときに言葉が生まれるんです。今回の「新種の immigrations」という言葉もそうでした。最初は「パスポート」みたいないくつかの言葉でイメージを膨らませて、そのうち「新種の蝶を見つけたいな」って(笑)。
そもそもこのコミュニティ自体が抽象的なので、名前が決まるというのが唯一の具体的なこと。そこからはイメージがどんどん形になっていきましたね。
「全員とサシ飲みできる!」と思えた住民集会
杉山:イミグレのコミュニティモデルは、「経済」「生活」「メディア」の3つが住民(会員)にとって大切なインフラであると考え、それを提供するもの。そのことを端的に象徴するのが、コミュニティのメッセージページに掲載されている、遠山さんご自身で描かれたイメージスケッチです。
遠山氏による「新種の immigrations ~サブスクによる幸せの拡充再分配」イメージスケッチ杉山:住民(会員)は入国審査を経て入国、住民税(会費)を払って参加する。その半分は経費、半分は住民の幸せの拡充のインフラとして再分配される、というアイデアはどのように生まれたのですか。
遠山:オンラインサロンというと「本人」対「その他」というファンクラブ的なものが多いですよね。私はもっとフラットな関係性をつくって、集まったお金をみんなで使って楽しむものにしたかった。それで、月会費の半分は運営のための経費で使い、残り半分で再分配と考えたわけです。
ところがいざ始めてみると、経費は半分まで使わなくてもやっていけることが判明した。次回の決算発表で住民の皆さんにお話する予定ですが、住人の顔ぶれや様子もわかってきたので、貯めてきたお金をどのように使うかはそろそろみんなで考えなくてはいけないなと思っています。
杉山:現在、住民が自由に利用できる場として、代官山ヒルサイドテラス内に小さな拠点「ヒルサイドスタジオ」があります。僕は、この拠点こそがイミグレが活性化している大事な要素だと思うんです。通常はコミュニティオーナーがマンションの1室などを借りて、「みんな、自由に使っていいよ」と開放しますね。完全クローズドで秘密基地感はあるけれど、心理的安全性(恐怖や不安を感じることなく自分の意見を伝えられる状態)は担保されないのではないか。
それに比べ、「ヒルサイドスタジオ」は半分パブリックで半分プライベートという空間性がきちんと保たれている。立地だけでなく、建物の様式や形が、このコミュニティのオフラインの場としての条件を十二分に満たしているんです。
2020年10月10日(土)、11日(日)に開催された「人生相談所」のポスター遠山:代官山にはヒルサイドテラスや近隣住人たちがつくりあげる秋の風物詩「猿楽祭(さるがくまつり)」というのがあります。その猿楽祭でイミグレ主催の「人生相談所」を開催しました。相談人ひとりに対し、我々イミグレのメンバーが甲乙2人体制にて相談に臨んだのですが、甲と乙が逆の立場から相談に応えたりして、非常に面白かったです。
コロナ禍に生まれた「新しい幸せの在り方」
杉山:人生相談所のようなイベントは、イミグレの住民同士が仲良くなるきっかけになりましたか。
遠山:ひとつのきっかけにはなりましたね。
時系列的にいうと、第1回住民集会というのがあって、コロナ禍だったからZoomでやったわけです。普通であれば、「住民・長」である私がイミグレへの想いを、少なくとも30分、放っておいたら1時間くらい喋ったでしょう。 でも杉山さんから「遠山さんはほとんど喋らずに。自己紹介でもいいから、みんなが喋る場にしたほうがいい」とアドバイスをいただき、なるほどと思ってその通りにした。
そうしたら、確か90人ほどの人が参加して、ひとり2~3分くらい、自分の興味や考えていることなどを自分らしい言葉でテキパキ喋ってくれたんです。みんな非常にユニークで、魅力的だなと思って、正直びっくりしました。
杉山:遠山さん、住民集会が終わったあと、「コミュニティやってよかった!」とおっしゃったんです。「どんなメンバーが集まるのか不安もあったけれど、みんなの一言二言を聞いて、全員とサシ飲みできると思った」と。それを聞いて、「このコミュニティはうまくいく」と確信しました。
遠山:そう、本当に「サシ飲みできる!」と思いましたね。
油壺の「リビエラシーボニアマリーナ」の一室の写真
オフラインで種を植え、
オンラインで芽を出す
杉山:「住民は募集と入国審査を経て入国。段階を追って増やしていく」ということで、第二期住民募集が2021年の年明けに行われました。遠山さんから見て現在のイミグレはどのような雰囲気ですか。
遠山:アクティブな住民が30人くらいいて、彼らのおかげですごく賑わっています。ただ、固定化しているきらいはちょっとあるかな。一定の人の発言やアクティビティが多く、住民に開放している代官山の「ヒルサイドスタジオ」や油壺の「リビエラシーボニアマリーナ」の一室も利用する人がいつも同じになってしまうのはあまりよくないかなと危惧しています。
そこで、「代官山、油壺の次の場所をみんなで探す」という企画をやろうかなと。住民の皆さんから「こんなのあるよ」「あんなのあるよ」と提案がたくさんあがってきて、私も提案はするけど、3つ目の場をどこにするかのジャッジには入らないことにするとか。
イミグレには「サブスクによる幸せの拡充再分配」というサブタイトルが続くんだけど、再分配と言うと、金銭的とかモノみたいな感じがするでしょう?でも、代官山や油壺に場を借り上げてみんなが使えることも、私からすれば再分配なんです。
昭和の時代は、週末に大勢でバーベキューとかをしていた。いまは平日も休日も、仕事もプライベートも一緒くたの時代で、それをどううまく自分の中で成立させパフォーマンスを上げていくかというのが重要です。
それで思うのが、「大勢」もいいけれど、「ひとり」が「大勢」に効いてくる部分もあるのかなと。その点、代官山はひとりでも使いやすいサイズだし、油壺も3人もいたらいっぱいのスペース。ひとりで行くのでも家族3人で行くのでもいいし、ある種「自立を促せる場」であることが、イミグレの魅力のひとつではないかなと思っているんです。
杉山:それは本当に魅力ですよね。ところで今後、住民は増やす予定ですか?
遠山:住民をむやみやたらに増やすという考えは私にはありません。いまの住民との相性もあるし、すでにいる住民の方の紹介とか、私自身がいいなと思った人にその都度入ってもらえたらいいかなと。
住民のアクティブさにはやはりバラツキがあるのですが、まあ、皆さん機会を伺っているのでしょう。コミュニティの中なんだけど、距離感を計りながら。だから、恋愛のようなもので楽しいよね。
そもそもコロナ禍というのもあるけれど、5人程度のリアルイベントがちょくちょく行われている。例えばサウナ系や音楽系など、もともとプロフェッショナルみたいな人が主催してくれたり、「住民バー」も対面で2、3人が集まって飲んでいたり。こうなると、イミグレ内で結婚か何かしてくれたら嬉しいよね(笑)。
2021年3月7日に行われた、イミグレFES 東雲倉庫編遠山:リアル重視なところがイミグレの特徴かなと思うけれど、そういうのもどちらかというと珍しいですか。
杉山:珍しいですね。
遠山:「オンラインコミュニティ」という言葉が示すように、オンラインで完結しているものがやっぱり多いのかな。
杉山:両方あります。
オンラインだけで完結しようとしても、それだけでは盛り上がらなかったりするんです。「だったらオフラインで活性化しよう」ということでオフラインの数を増やすような施策を打ったとしても、逆に地方の方々が参加できないという問題が出てきますし。
遠山:イミグレも京都の会や大分の会などを予定していたけれど、緊急事態宣言で延期になりました。
杉山:「主催者のことを知りたい」というのはありますが、「参加している人のことをもっと知りたい」というのは珍しいんですよ(笑)。思えば、第一回住民集会で遠山さんが「全員とサシ飲みできる!」というスイッチが入ったのは、住民の皆さんに興味をもったということですよね。「長」である遠山さんが皆さんに興味をもつ=皆さんも互いに興味をもつというふうに繋がったのかなと。それはすごく大事なことです。
遠山:正直、私としてはオンラインコミュニティをやっているという気はなくて、手段としてオンラインを使っているんです。それで言うと、未達成のビジネスの部分は、むしろオン ラインで進んでいくかもしれない。もう少し機動力が出てきたら、成功する可能性は非常に感じますね。
杉山:「種を植えて、水をあげて、芽が出る」という比喩にすると、種を植えるのはオンラインではできないと思うんです。オフラインでしかできない。そこで人と人が会って化学反応が生まれたからこそ生まれる種があって、その種を今度は「この芽が見たい」という人たちがしっかりとオンラインでやりとりしていくことで、種に水が与えられ芽が出てくるのではないか。僕はそういうふうにコミュニティの形成を捉えているんです。
杉山:共通して言えるのは、皆さん、何らかの偏愛性が強い。何かに熱狂している人は、ジャンルは違えど仲良くなりやすい。
遠山:......思い出したけど、入国審査用のメッセージに
「生みださずに、ただ居るだけでもいい。」と書いたんです。
実際は誰でもいいわけじゃない。何者かであってほしいけれど、その「何者か」は、すごい技や能力があるとかすごい立場にいるとかそういうことではない。「ただ居る」だけなのに素敵である、その人がいるだけで風が吹いてくる、というような人を求めています。会って化学反応が生まれたからこそ生まれる種があって、その種を今度は「この芽が見たい」という人たちがしっかりとオンラインでやりとりしていくことで、種に水が与えられ芽が出てくるのではないか。僕はそういうふうにコミュニティの形成を捉えているんです。
杉山:会社だと「ただ居る」人は存在が許されないかもしれない。でも、コミュニティなら居場所はあるかもしれないですね。
遠山:そう。会社は給料を払っているから、それに対してのパフォーマンスを求めてしまう。弊社では、いい人だけど座っているだけの人を「お地蔵さん」と言うのね(笑)。でも、コミュニティであれば、お地蔵さんもいい。ただそこに居るだけで素敵なんだもの。それって、会社とコミュニティのすごくいい違いですね。
杉山:いい人やただ居るだけの人にとっても居場所がある、というのは幸せなこと。コミュニティのよさはそこにも帰結していく気がします。
コミュニティを通り越した、
ひとつのアート作品
杉山:遠山さんの「国づくり」でいうと、いま、何合目くらいですか。
遠山:3合目くらいかな。イミグレは魅力的な人の集まりであってほしい。盆栽を剪定するかのごとく、自分がより興味をもてるように手間暇かけたいですね。
杉山:遠山さんはアートコレクターですが、そのアートコレクションと似ているかもしれないですね。バスキアの絵を100億円で買うのではなく、いまは無名だけどこれから光る原石を見つけて、そのアーティストを応援していくことに近いのかもしれない。
遠山:そうですね。コレクターも有名で立派な絵ばかり揃えていると、確かにわかりやすいんだけど、周りからはあまり尊敬されない。そういうふうにならないようにしたい。もっとリアルに面白くしたいです。
杉山:遠山さんが『Casa BRUTUS』から取材を受けた時、担当編集者の方に「オンラインコミュニティやオンラインサロンがもてはやされている昨今、『イミグレ』の構想はもはやコミュニティを通り越して、ひとつのアート作品ですね」と言われたんですよ。それとつながります。
遠山:あれは嬉しかったですね。
杉山:今後のイミグレについては、どうなっていったら嬉しいですか。
遠山:アングラ寄りの人とか、いい意味でいろんな「種族」が出てくるのもよい気がする。種族が立ち上がってくると、それこそ国みたいになって、切磋琢磨するし、多様性も出てきますから。あと、私がいてもいなくても、イベントが成功したり、企画が進んだりするといいですね。すでに、だいぶそういう面はありますが。
杉山:住民の皆さんも、イベントに遠山さんがいてくれたらそれはそれで楽しいけれど、いなければいないで楽しんでいると思います。遠山さんがいないとつまらない、というのがなくて、十分成立している。
遠山:あと、うちではスマイルズやスープストックトーキョーを人物に喩えて「スマイルズさん」「スープストックトーキョーさん」という言い方をするんです。イミグレも人格や顔立ちができてきて、トーンやマナーが確立されるといいな。住民が「これをやったらイミグレとしてダサいよね」というのを理解しながら、一方でいい感じに「はみ出ていこう」「これに打ち込んでみよう」とか、そういうのがどんどん出てくると素敵だなと思います。
杉山:住民がイミグレ独自のトンマナを徐々に理解し、理知的に振る舞うような。
遠山:そうですね。イミグレとして高い技術を求めるわけではないんだけど、イミグレとしての興味のレベル感があるとして、住民が自分たちなりの持ち技でそれを超えていくといいなと思っています。
さっき話したように「居るだけでいい」という一方で、イミグレへのチャレンジもあったらいいですよね。会社だとどうしても利益貢献みたいなことでしか活動の手段がない。イミグレはそういう話ではないので、自ら発見して面白くしていってほしいです。
杉山:遠山さんがコロナ禍を通して、「これからは贈与経済の時代になる」と言っていたのとも通じていますね。住民の皆さんが「与える喜び」を感じ、コミュニティがさらに活性していくといいなと僕自身も思います。
遠山:むしろイミグレだからこそ、それがやりやすいのかもしれません。利益や目的が必要ない場だから、純粋に楽しめるというか。本当に「新しい経済圏」みたいな意味で、すごくよい機会をいただいたと思っているんです。
text by 堀 香織
※2021年6月の取材記事です。