2026年6月20日、読書会コミュニティ「猫町.」(旧猫町倶楽部)が非常にユニークな読書会を開催しました。東京と大阪の2会場で同日同時刻にオフライン読書会が開催され、それをリアルタイムでオンライン中継するという試みです。
今年猫町倶楽部を一度解散し、運営方針や体制を刷新し再出発した「猫町.」。今回の読書会は「オフラインを中心としながらオンラインの良さを活かす」という「猫町.」の新たな方向性を示す、象徴的な読書会でもありました。今回は、オシロ社オフィスで開催された東京での読書会を取材。その模様をレポートします。
猫町.
2026年発足の読書会コミュニティ。読書会のスタイルは「猫町倶楽部」時代と変わらず、指定された書籍を読み、世代や立場を超えて意見を交わす課題本型読書会のスタイルをとる。読書会にはオフライン/オンラインいずれも会員以外でも参加可能で、オンライン読書会は月に10回ほど、オフライン読書会は東京、大阪、名古屋を中心に全国各地で毎月開催されているため、参加したい読書会を選びながら毎月1回ほどの頻度で無理なく参加できる。
コミュニティ会員はオンライン会員、地域会員、ハイブリット会員(オンライン、オフラインいずれの読書会も参加したい方向け)などが用意されているほか、35歳以下は会費が割引になる「U35会員」制度もあり、参加ニーズによってさまざまなプランが選択可能。コミュニティに参加すると毎月一回の読書会が無料になるほか、本の感想シェアや書評ブログ、読書会の感想戦など、読書好き同士での交流を心置きなく楽しめる。
猫町.の読書会情報、参加申込みはこちら▼
https://nekomachi-club.com/
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https://x.com/NekomachiOnline
猫町.公式Instagram▼
nekomachi._bookclub
「読書会はしっかりと、演出は楽しく」猫町.ならではの読書会スタイル
DSC01080.jpeg 7.42 MB猫町.の読書会スタイルは、
あらかじめ選書された一冊を事前に読了してから参加する「課題本型」をとります。
読書会としては最もベーシックなスタイルの一つともいえますが、
猫町.の読書会の特徴は、参加者を楽しませるさまざまな趣向が凝らされている点にあります。例えば、会場が歴史的建造物で開催されたり、なかにはホストクラブやバーを借りて読書会を開催するなど、作品の世界観に没入できる読書会が数多く開催されています。
そして、今回の読書会でも取り入れられている
猫町.の象徴的なスタイルが、作品内容や開催時期の季節、場所にちなんだ服装やアイテムが指定されるドレスコードがあることです。少し恥ずかしいような気がしますが、それぞれがさりげなく、またはこだわって着用してきたアイテムを紹介し合うのは、お互いの緊張をほぐすまたとない演出になります。
この日のテーマは、梅雨の季節にぴったりの「雨」。本格的な読書会に入る前のアイスブレイクとして、各テーブルでは自己紹介とともに、お互いのドレスコードを紹介し合います。各テーブルでは紫陽花柄の傘やネイル、雨をイメージした青い服やピアスなど、参加者のこだわりと遊び心あふれるアイテムが次々と披露されました。
DSC01127 (1).jpeg 12.85 MB紫陽花をイメージしたヘアアクセサリーをつくた参加者こうしたひと時がアイスブレイクとして機能し、読書会の緊張感を次第にほぐしていき、自然な流れで本の話へと移っていきます。
DSC01093 (1).jpeg 12.33 MB今回の課題図書は、
村田沙耶香さんの短編集『信仰』と、
國分功一郎さんの『天皇への敗北:シリーズ哲学講話』の2冊。参加者はそれぞれの希望の書籍ごとに分かれ、少人数のテーブルに分かれて対話を深めていきます。
猫町.の読書会には、
「他人の意見を否定しない」という大切なルールがあります。
本の解釈に「正解」はありません。だからこそ、どのテーブルからも「私はこう思った」「その視点は面白い!」と、立場や年齢を超えたフラットな意見が次々と飛び出します。
例えば、村田沙耶香『信仰』のテーブルでは、作中の奇妙な新興宗教や怪しげな美容テックを巡り、身近な例え話を交えた白熱したトークが展開されていました。
DSC01101.jpeg 7.76 MB一人で本を読むだけでは気づかなかった引っかかりが、誰かの一言によって言葉になり、思考が広がっていく。どのテーブルも終了のアナウンスがあるまで、楽しそうな対話が途切れることはありませんでした。
年齢も性別も職業も異なる人々が自然と仲良くなれる「読書会」が持つ不思議な力
DSC01381.jpeg 11.95 MB各テーブルのベストドレッサーに選ばれた皆さん
楽しい時間はあっという間に過ぎ、読書会の終わりには再び大阪会場と中継をつないでクロージングへ。クロージングでは各テーブルで選出された「ベストドレッサー」たちが紹介されたりと、東京・大阪の両会場は大いに盛り上がりました。
参加者に感想を尋ねると、今回猫町.の読書会に初めて参加された方は「
こういう読書会コミュニティの集まりは初めて。最初は喋るつもりがなかったのに、皆さんに引き出されてものすごい勢いで喋ってしまった」といいます。
読書会に参加する際、「自分がちゃんと話ができるだろうか」「誰かの発言に気後れしてしまうのではないか」と不安に思う方は多いと思います。しかし、
猫町.の読書会では、必ず複数回参加したことのあるメンバーが各テーブルでファシリテーターを担い、参加者全員が気兼ねなく発言できる場づくりをしています。そのような工夫があるからこそ、年齢層や性別を超え、猫町.では純粋に課題本について話し合える読書会が醸成されているのです。
image_20260710110710.png 2.16 MB猫町.が読書会の案内に掲示している初参加の方に向けた案内。気兼ねなく、自分自身が感じたことや考えたことを心置きなく話し合える場を志向している(提供: 猫町.)一方で、猫町.のコミュニティにも参加している常連の方も「
普段の職場では、ちょっと際どいテーマや深い話は避けて生きてきたので、こういう場所で思いっきりディスカッションできたのは、すごくスッキリしました」と、本を介してそれぞれの考えを持ち寄る読書会の魅力を再発見できたという意見もあったことが印象的でした。
今回の取材を通じて感じたのは「読書会」という場が持つ不思議な力でした。
参加者は皆見知らぬ人同士であり、年齢も性別も職業も異なります。そんな方々が、一冊の本が中心にあることで、驚くほど自然に互いの気持ちや考えを言葉にできる。本という存在が介在者となり、互いの心がつながっていくからこそ、読書会で一緒になった参加者同士は自然と仲良くなれるのかもしれません。
新生読書会コミュニティ「猫町.」では、東京・大阪代表が「地域の顔」に
image_20260710132107.png 1.48 MB東京会場のサムネイル(提供: 猫町.)
今回は、
東京と大阪の2会場で同じ課題本の読書会を同時開催し、その様子をモニターで中継する、ユニークな試みでした。東京会場の司会進行は、新たに東京代表に就任したそねっちさんが、大阪会場は関西代表であり猫町.の副代表でもあるのんこさんが担当しました。
DSC01428.jpeg 3.41 MB猫町.東京代表のそねっちさん
このようなユニークな試みの背景には、「猫町.」が歩んできたたしかな歴史があります。
猫町.の前進である「猫町倶楽部」は、長年にわたり日本最大級の読書会コミュニティとして文学や哲学をはじめとする多彩な読書会を企画・開催し、本を介して人と人が深くつながる楽しさを日本全国の読書ファンに伝え続けてきました。しかし、
2026年4月、猫町倶楽部は発足20周年を一つの節目として解散し、読書会コミュニティとしての方針や体制を一新させた「猫町.」として再出発しました。
読書会という一期一会の場をしっかりと参加者の方々に楽しんでもらうため、読書会の開催数を絞り、参加者同士の生の体験を重視するためオフラインを中心に活動していく。そして、これまでは主宰の山本多津也さんを代表とする体制を一貫してきましたが、
猫町.では地域に根ざした活動を強化するため、東京と大阪(関西)にそれぞれ「地域代表」を新設しました。
これまでの歴史で培った全国の読書ファンとのネットワークに加え、この新しい地域代表を中心とする強固な現地体制が整ったからこそ、今回の「東京・大阪同日同時刻開催・リアルタイム中継」という、これまでにない試みが実現したのです。
主宰の山本さんは、新しく生まれ変わった猫町.の読書会コミュニティとしてのあり方について、以下のように語ります。
DSC01024.jpeg 3.18 MB猫町.主宰の山本多津也さん「新しくなった
猫町.では月に1回、読書会に参加するライフスタイルを提案しています。そのため、今後はオンラインでのつながりは継続しつつ、オフラインの読書会をより充実させていくつもりです。
これからは、関西はのんこさん、東京はそねっちさんがそれぞれ代表を務め、お二人に『地域の顔』になっていただこうと思っています。
今後はより地域に根差した、参加しやすい読書コミュニティを目指していきますので、ぜひお気軽にご参加いただけると嬉しいです」
東京・大阪で読書会を同時開催という試みは、
オフラインの場を大切にしつつも、離れた場所にいながら地続きの熱量を肌で感じられるという、「猫町.」の新しいコミュニティのあり方を証明していました。最後に、関西代表ののんこさんが以下のように語り、読書会を締めくくりました。
DSC01425.jpeg 8.42 MB東京会場に向けて挨拶をする大阪代表のんこさん「今日は関西でもたくさんの方に来ていただいて、お互いに出会えて、それぞれ楽しんでいただけたと思います。私たちのテーブルも楽しかったですし、どのテーブルも盛り上がっていました。
大阪で参加した方も東京で参加した方も、ぜひこれをきっかけに、今後も読書会のある生活を送っていっていただけたらと思います」
「最近、誰かと深く語り合う機会が減った」「本を通した新しい出会いが欲しい」。そう感じている方は、ぜひ読書会の扉を叩いてみてはいかがでしょうか。
猫町.の読書会開催スケジュールはこちら▼
https://nekomachi-club.com/events
山本多津也さん
読書会コミュニティ「猫町.」主宰
住宅リフォーム会社を経営する傍ら、2006年から読書会をスタート。旧・猫町倶楽部を20年運営し、日本最大級の読書会コミュニティへと育て上げる。2026年、猫町倶楽部を解散し、新生の読書会コミュニティ「猫町.」を発足。コミュニティ刷新後もオフライン/オンラインで読書会を開催し、国内外を問わず広く読書会の門戸を開いている。
著書に『読書会入門 人が本で交わる場所』(幻冬舎)がある。
X: @tatsuya1965
Instagram: tatsuya_nekomachi