コミュニティ熱量研究所 – 対談まとめ
「コミュニティxデータ」で “所長” ことデータサイエンティスト鈴木がOSIROユーザーのリアルなコミュニティ運営に迫る『コミュニティ熱量研究所』。
今回の対談ゲストはミーニングノート・コミュニティ主宰者の山田智恵さん。ご自身が開発した“チャンスを掴むメソッド”ミーニングノートを実践・継承する場として2020年1月コミュニティをスタート。さまざまな試行錯誤を重ね、1年で会員数を500%アップさせた山田さんのコミュニティ運営術に迫ります。
対談 Vol.01
ゲスト/ 山田智恵さん
ミーニングノート・コミュニティ主宰者
対談動画フルバージョン | 2021/04/21
コミュニティを始めたきっかけ − “継続して実践する場"
オシロ鈴木 (以下、鈴木): そもそもどうしてコミュニティを始めようと思われたんですか?
山田智恵さん (以下、山田):以前単発で何回かミーニングノートの実践方法を教えるワークショップをやったことがあったんですけど、単発で終わってしまうとその後みなさんが実践出来ているか見えなかったり、出来ていないとしたら、どういうことに詰まっちゃったのか、そういうことが分からない状況だったので “継続して実践する場所” を作りたいと思ったのがきっかけです。
鈴木: なるほど。ちなみにワークショップはいつ頃から始められたんですか?
山田:ワークショップは、2017年頃からです。
鈴木: そうなんですね、じゃあワークショップを2017年から継続されて、2020年からコミュニティを開始されたっていう流れですね。そういう意味では、このミーニングノートメソッドを継続してもらうための塾とか、カスタマーサポートに近いようなイメージで始められたってことですか?
山田:そうですね、“サポートをしたかった”っていうのが大きいですね。
スタート時のメンバー人数目標 − “1クラス分の人数"
鈴木:コミュニティをスタートされた際、最初の目標人数とかあったりしたんですか?
このくらいから始められたら良いなとか。
山田:そうですね、最初はまず30人で募集してみました。
鈴木:あえて30人にしようと思ったのはなぜですか?
山田:30人は学校で言う1クラス分。なので全員顔が把握できて、仲良くなれる人数かなと思って、先ずはそこから始めてみました。
鈴木:なるほど〜、告知はどんな方法で行われたんですか?
山田:私の著書の中にコミュニティのことを紹介したり、あとはSNSですね。
インスタグラムをメインでやっているんですけど、そこで告知したり、あと当時はまだコロナ前だったので、トークイベントで「コミュニティはじめます!」って伝えたり、最初はその3つでした。
鈴木:最初の集客ってどうやったらいいのか、結構悩む方多いと思うんです。SNSや本で紹介すると人が集まるのかなって思ったんですけど、実際何名くらい集まったんですか?
山田:第1期は19名ですね。目標達成まではいかなかった...。(笑)
鈴木:このあたりの数字を皆さんに共有したいと思います。
これが実際のミーニングノートコミュニティの人数変化です。(参照:上の図1)
コミュニティのデータを見る機会って本当になかなかないと思うので、実際に運営している方も、他のコミュニティがどう人数変化してるかって見ることないと思うんです。
グラフを見ていくと、3ヶ月毎に人が増えているように見えます。
あえて3ヶ月毎の入会にしてるってことですか?
山田:いつでも入れるコミュニティではなく、3ヶ月毎に募集して、1期・2期・3期というふうに絞ってます。
鈴木:入会タイミングを絞っている理由はなぜですか?
山田:ミーニングノート・コミュニティって結構人生の話をしたり、わりと自分の心の内をさらけ出す話をすることが多いので、安全な場を創りたくて。
いつでも新しい人が入いるという状況だと、ちょっと落ち着かないかなと思ったんです。
なので、「この3ヶ月だけは今いるメンバーだけで話せます」っていう環境を作りたかったのが理由です。
コミュニティによって色々やり方があるんですよね?
鈴木:そうですね。テーマ制で、月初にテーマが切り替わるタイミングで1ヶ月に1回新しいメンバーを入れるコミュニティもあれば、いつでも入りたいタイミングで入れるコミュニティもあります。
どっちがいいの?ってよく聞かれるんですけど、コミュニティのテーマに合わせて、オンボーディングしやすかったり、コミュニティの活動や目的に合ったスタイルがいいのかなと思います。
集客力を上げる工夫 − “紹介の輪が自然と広がる”
鈴木:先程のデータ(図1)を見てみなさん気になるのは「4月の14人からどうやって人数を増やしたのか」と言う点だと思うんです。
2期生のタイミングで30人くらい入会してますよね。告知の方法を変えたり、工夫した点が何かあったんでしょうか?
山田さん:告知の方法は、秋ぐらいに変えたことがありました。
このグラフ(参照:上の図2)を見ると順調に伸びているのが見えるんですけど、最初説明会をやってたんです。コミュニティって中が見えないので、文章だけじゃなく、話して伝えることが大切だなと思って。ですけど、全然説明会に人が集まらなかったんですよ、5、6人とか、7人とか...。
“これ「説明会」って響きがつまらないのかな...” と思って、コミュニティメンバーとやっているオンライン座談会に「この日だけは参加できますよ」っていう「体験会」に変えてみたんです。そしたら、すっごい人数が集まって、多分50人くらいかな?
全然集まりが違ったんですよ。
鈴木:でもそうですよね。トレーニングジムとかも、「ジムの説明会します」ってより、「体験できます」の方が「行きたい!」て思ったりしますもんね。
山田:説明会は私しか出ないんですけど、体験会になるとコミュニティメンバーもいるので、中の雰囲気が見えて安心するっていうのもあると思います。
鈴木:メンバーが増える中で、「どういった経路でコミュニティメンバーが入ってきたのか」と言う点もみなさん気になると思うんです。「どういうきっかけで入ったのか」を知るのは、メンバーを増やす上で重要なポイントだと思っていて。
先日、今年2月にミーニングノート・コミュニティ入った10名の方に「どういう経路でコミュニティを知りましたか?」っていうインタビューをさせて頂いたんですけど、その結果が今共有させていただいている画面になります。(参照:上の図3)
僕の予想では、本とか、SNSで知った方が6、7割なのかなと思ったんです。でも実際聞いてみると、3割の方がコミュニティメンバーからの紹介でした。"3割"がメンバーの紹介ってすごいと思ったんですけど、この数字を見てどうですか?
山田:最近、入会時に「〇〇さんからの紹介で入りました」っていう声がすごい増えいるのは感じてたんですけど、3割もいるというのは嬉しさと驚きがありました。
鈴木:SNSは発信にはいいかもしれませんが、実際入会の面では「紹介」は大きいと感じました。なんでメンバーのみなさんは紹介しようと思えるんですかね。
山田:直接「なんで紹介くださったんですか?」って聞いたことはないんですけど、メンバーの中には1人で30人とか、すごい人数を紹介してくださる方もいて。
鈴木:えっ..1人の方がですか!? コミュニティを広めてくれるインフルエンサーが、山田さん以外にもメンバーの中にいるってことですね。
山田:私はどちらかというと、「集客」優先でなく、「運営」を重視してますね。だって、どんなに人が入っても、良い場じゃなかったらすぐに辞めちゃうじゃないですか。
まずは、”ほんとに良い場だな” と思ってもらえる場所を作ろうと、そればかりを考えています。
鈴木:メンバーみなさんの満足度アップにフォーカスしているんですね。
実際「満足度」を測る指標って難しいなと思っていて。何を見たらメンバーの満足度を知ることができますか?ってよく聞かれるんです。
一つ「紹介率」は大きいのと、あと分かりやすいものとして「解約率」がありますよね。
ミーニングノート・コミュニティの解約率はすごい順調に改善している点を見ても、正にメンバーの満足度がアップしている証拠だなと思います。
メンバーが自発的に運営に参加 − “みんなが参加できる仕組み”
山田:さっき「何人で運営されていますか?」って言う質問があったんですけど、フルタイムの運営は私1人でやっています。そしてファシリテーターをコミュニティメンバーの中から2人にお願いしている感じです。
鈴木:メンバーさんに協力して手伝ってもらう方法を取るコミュニティも結構増えていますし、すごくコミュニティ的でいいなと思うんです。いつ頃からメンバーに協力してもらい始めたんですか?
山田:最初からわりと「大変そう、大丈夫ですか?」みたいに声を掛けてくださる方はいて。実際に私1人で全部運営するスタイルから、みんなで一緒に決めてい行こうって言う形にしたのは今年の1月くらいからですね。
1月から「コミュニティ運営委員会」っていう、誰でも参加可能な仕組みを作ったんです。アイデア出しだけでもいいし、一緒に運営活動をするでも、どちらでも良いっていう”委員会”をやってます。
解約率を下げる工夫 − “メンバー同士の触れ合い”
鈴木:あと、先程の解約率の話で言えば、オシロのデータとして「最初の入会1・2ヶ月が一番辞めやすい時期」というのがあるんです。
それもあって、「入会後1・2ヶ月のサポートを手厚くしましょう」「ウェルカム感を出しましょう」というお話しは常にしているんですけど、山田さんはその辺りで気をつけているポイントとかありますか?
山田:今年から、1ヶ月間新メンバーだけに向けたオリエンテーションをやり始めたんです。それはすごくやってよかったと感じています。
コミュニティ活動が長くなってくると、1年前からいるメンバーはすごく詳しんですよね。入ってきたばかりの方はミーニングノートのこと自体も知らなかったり、やっぱり聞きたいこと自体違うんですよね。
と言うのも、4期ぐらいになって質問がすごく減ったんですよ。多分質問しにくかったんだと思うんです。“こんなこと聞いたらみんな知ってることかな”とか。
なので“新しいメンバーだけで質問できる場を用意しないと”と感じたことがきっかけです。
鈴木:それすごく重要ですね!詳しい人と、初心者の方がいた時、“どちらにレベルを合わせたら良いんだろう?”ってよくある悩みだと思います。それぞれのレベルに合わせたフォローのシステムを作られたってことなんですね。
山田:「古参の方と新規の方の交流を促進させるコツってなんですか?」って質問も来てますけど。
一つは、「分けて質問しやすい場」を作ってあげること。あとはうちのコミュニティで言う”オンライン座談会”のように、古い方と新しい方が触れ合う「全体で集まる場」も、その両方を用意することが大事かなと思いました。
あと、すごく細かい話ですけど、名前・何やってる人かとか、やっぱり1回聞いただけじゃあ絶対覚えられないじゃないですか、私自身全く覚えられないんで。(笑)
だから、「5回でも6回でも聞いてOKにしましょう!」みたいに、”お互い聞き合いましょう”ってすることで聞きやすくなったり。
鈴木:もう一つ、この質問はどうですか?「コミュニティを継続するにあたって、どの指標・数値を目標として重視されていますか?」
山田:やっぱり「解約率」ですかね。
解約されると、”得るものが少なかったのかな?”、”参加しずらかったのかな?”とか、”何かがあったのかな?”とか考えますし、解約率は見てますね。
あと、「メンバー主催のイベント数」。コミュニティ内って、運営者の私だけじゃなく、メンバー主催でもイベントを立てられるんですけど、やっぱりそれが頻繁に立ち上がる状態って、「出会いがすごく増えている」、「会話が増えている」証拠だと思うんです。
山田さんにとってのコミュニティ − “運営して分かったこと"
鈴木:時間があっという間に迫ってきて、質問に答えきれていないんですけども...。
今ここに参加頂いてる方の中には、既にコミュニティ運営されている方もいれば、これから始めようって方、まだ悩んでいる方もいらっしゃると思います。
コミュニティを始めようと思っている方に送るアドバイスとか、言葉とか、何かありますか?
山田:私のコミュニティで言えば、メンバーの皆さんからいろんな質問を頂けるんです、「こう言う時どう書いたらいいですか?」や「ここの部分が分かりません」とか。
その質問は私にとって“宝”で、そのやり取りを通して新たなノウハウが生まれたり、私自身も伝え方を学べたり、そう言うこともすごく嬉しく感じてます。
なにより、人との出会いは想像以上。
さっきも言ったんですが、私自身あまり社交的じゃないので、まめなお付き合いをする方じゃないんですし。(笑)
それでも、コミュニティメンバーとの出会いは本当に刺激になってます。
それこそ、住んでる場所も北海道から沖縄まで、出会ったことのない職業の方や、聞いたことのない経験をされている方もいて。
普通に過ごしていたら、出会うことのない方々と話ができるっていうのは、想像以上の喜びでしたね。
▼ミーニングノート・コミュニティの活動についてはこちら
鈴木 駿介/オシロ株式会社
コミュニティ・データサイエンティスト
熱量研究所 所長
筑波大学大学院、物理物質科学研究科で修士号を取得後、ライオン株式会社に研究職として入社。生産性を考慮した新製品の容器設計、工場での生産導入に従事。実際にユーザーとして、複数のコミュニティに属した経験からコミュニティの可能性を感じオシロに入社。2019年8月に導入されたコミュニティの状態を可視化し、運営者がスピーディーな意思決定を行えるサイドダッシュを開発。熱量研究所の所長としてコミュニティの盛り上がりを可視化する熱量指数を研究、データを活用した新機能開発やコミュニティプロデュースを行なっている。