OSIRO Dialogue − インタビュー
コミュニティープロデューサーによる、コミュニティダイアローグ『OSIRO Dialogue』
日々コミュニティ運営者と伴走するコミュニティプロデューサーが何より大切にしていること、それは「ダイアローグ」。 コミュニティオーナーが本気でやりたいことを理解し、 どうやってコミュニティで実現するかを共に考え、伴走します。このシリーズではそんな一コマをシェアしていきます。
今回お話をさせて頂くのは、人生をデザインするコミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉コミュニティマネージャーの浅野純子さん。日々コミュニティマネージャーとして奮闘する浅野さんの人生ストーリーを通して、〈Lifestyle Design .Camp〉が創り出す価値、浅野さんご自身に起こった変化に至るまで、さまざまなお話をお伺いしました。
Vol.03 浅野純子さん
Lifestyle Design .Camp / コミュニティマネージャー
いろんな生き方にふれて、自分で人生をデザインする場所
浅野:これは、とにかく普通に話をしていいんですよね(笑)
高田:はい、いつもの純子さんで大丈夫です(笑) 純子さん今、長野の伊那ですよね?どうですか、伊那での生活は?浅野:去年のクリスマスに東京から長野へ移住してまる5ヶ月になります。
移住してから、東京の便利な暮らしとは環境が激変しました。古民家なので寒さ対策をどうするかなど、日々の暮らしの中でいろいろ工夫しながら極寒の冬を乗り越えました。
今、私にとって人生で初めての田舎暮らしですが、Camper(サロンメンバー)の中には、田舎暮らしをしている人もたくさんいるので、最初の頃は、いろいろアドバイスをもらいました。
こうして何にも知らないところに1人で来ても、そういう暮らしを先にしている先輩たちの生の声を聞けるっていうのは顔が見える小さなコミュニティの力だなって思います。
▲Lifestyle Design .Campコミュニティマネージャー浅野純子さん / Zoomでお話しを伺いました
高田:それは心強いですね!実際に地方の方もすごく多いですもんね。
浅野:そうですね。最近は私と同じように、都会で暮らしている人が地方に移住することも増えていますよね。
〈Lifestyle Design .Camp〉は、四角大輔さんの人生デザインメソッドを通して、場所の制約を受けずに働くにはどうすれば良いか、自分にとっての理想の暮らし方、ホームプレイスの見つけ方について学ぶ場所です。
なので、Camperは理想の人生をデザインしようとする意識が高く、最近は住む環境を自然豊かな場所へと変える人が増えてきました。
このコミュニティと出会ってなかったら田舎移住はなかったです。私は「絶対に都会じゃないとダメ」と思っていたので。
高田:劇的な変化ですよね。純子さんは、2015年に大輔さんのオンラインサロンが始まったときの最初のメンバーでしたよね。その時はどういうきっかけで入られたのでしょうか?
浅野:実は私の夫が他界して13年になるんですけど、入会したのは7回忌を終えたタイミングでした。
当時は正社員として働いていたので、このまま定年まで働ける場所があったし、夫と暮らした横浜のマンションに住んでいたので「自分は家も仕事もあるから悲しんでいてはいけない。幸せなんだ。」と思っていました。正確には、「思い込もう」としていたんです。
でも、40代になってから一度きりの人生を守りではなく、もっと視野を広げたいとか、人生をリスタートさせたいという想いが出てきて。
そうしたら、たまたまサロンのことがFacebookで出てきたんです。家と会社の往復から、普段とは違う居場所、サードプレイスに身を置いてみようと思いました。普段とは違う場所を覗いてみるのもいいのかな、と。
だから、大輔さんがオンラインサロンを始めるキッカケとなった〈Lifestyle Design .Camp〉の前身のLife is Artを立ち上げたカズキ(高田) さんには感謝しています。あのままオンラインサロンに出会わなかったら、自分の世界だけで生きていたので。
ずっと「自分は今の環境の中で生きていくのが一番幸せなんだ」って思い込みながら生きてきました。
本来は人生って自由だし、いろんな生き方があるし、人それぞれの幸せの価値観は違うはずなのですが、それに気づかずにいたんです。
大輔さんだったり、このサロンでいろんな生き方をしている人を見れたというのは大きいですね。
高田:ありがとうございます。なんかそれを聞くと嬉しいですね。純子さん自身の人生にも大きな影響があったのですね。
浅野:そうですね。今はご縁があってコミュニティマネージャーという役割に至っているけれど、結局は自分がまだまだ自分のライフスタイルをデザインしている最中で、その仲間と一緒に場を作っているっていう感じなんですよね。
人を変えようとする前に、自分が変わる
高田:純子さんがコミュニティマネージャーになったきっかけを教えていただけますか?
浅野:〈Lifestyle Design .Camp〉に入った当時、人材派遣会社で営業やコーディネーターをしていました。
人をフォローすることや、人と接点を持つことに楽しみを覚えていたのですが、漠然と “このままでいいのかな”とは思っていて。
この安定した会社でずっと働いていたら、徐々に管理職という流れもなんとなく見えてきたタイミングで、大輔さんから「アシスタントやってみない?」と声をかけていただきました。
アシスタントという仕事は全く未経験だったし、副業も当然できなかったので最初は「今、正社員で働いているし難しいです」って断ったんです。
でも、お声をかけていただいたことで、もしかしたら、「その流れ(正社員)じゃないパターンもあるのかな」と。そこから自分の心の声を聞いて、チャレンジしてみることにしました。
▲LifestyleDesign.Camp主宰者四角大輔さん(右)・コミュニティマネージャー浅野さん(左)
派遣スタッフさんの中には、「自分の職歴だと正社員にはなれないし...」と、正社員になることを最初から諦めたり、非正規雇用である自分を否定する人もいました。
でも、当時の私は、「正社員が全てではなく、世の中もっといろんな生き方があって、雇用形態にとらわれず、楽しめる生き方があるんじゃないのかな」と感じ始めていたんです。
だから、自分の中で実験をしてみたくなったというか。それで正社員を退職して、同じ会社の同じ仕事でアルバイトに雇用形態を変えたんです。
高田:それは思い切りましたね!
浅野:非正規のアルバイトになったことで、派遣スタッフさんとの向き合い方も、発言も変わりました。
正社員時代よりも個人として本音で話せる場面が増え、派遣スタッフさんから正社員にこだわらない生き方についての相談が増えました。
その中で、大輔さんがいつも話している通り、自分も含めて世の中の常識、思い込みに縛られている人が多いことに気がつきました。
私がキャリアチェンジした話をすると、皆さん、そこで初めて「そういう生き方もあるんだ」と興味を持ってくれて、自分と向き合う。
だから、人を変えようとするより、まずは私の生き方をシェアすることにシフトしたんです。
それまではCamperには私自身のことをあんまり公開しなかったんです。だけど、私自身をさらけ出すことで、生き方のロールモデルの一つになれば良いなと思って。
▲ 会社員時代の浅野さん
高田:〈Lifestyle Design .Camp〉でご自身が影響を受けたことを実践して、それをまた今度は皆さんに伝えていったと。
浅野:そうですね。〈Lifestyle Design .Camp〉の中では、大輔さんが毎週土曜日に独自の人生デザインメソッドを投稿されているんですが、ただ読むだけではなく、実際に勇気を持って行動に移すと、メソッドが腑に落ちる。
私だけではなく、その気づきをみんながお互いにシェアしあっているので、「じゃあ自分も一歩を踏み出そうかな」と、メンバー同士が触発される流れができています。
〈Lifestyle Design .Camp〉が始まってから5年経ち、自分らしいライフスタイルを送る人たちも増えてきた。そういういろいろな人の人生にふれていると、だんだん本来の自分のありたい姿だったり、理想としていたものが見えてきて、チャレンジできる。そういう環境が整っているのが、今の〈Lifestyle Design .Camp〉なのかなって思うんですよね。
大輔さんのメソッドに触れて、思い切ったライフシフトしたCamperの皆さんの姿は、私自身も参考にしています。
350人のアーティスト性を再起動させる
高田:大輔さんという象徴的な存在がいて、ともすればファンコミュニティとしての要素が強くなりがちだと思うんです。メンバーが主役のコミュニティを作れているのは、どうしてだと思いますか?
浅野:大輔さんの人生哲学は「人は誰もがアーティスト」。
みんなそれぞれのアーティスト性は何か?それをどう表現していくか?を考えることにフォーカスしてきたから、いろんな個性が出てきたんだと思うんですよね。
自分のアーティスト性を発揮するCamperが増えてくると、Camper同士がお互いの生き方に共鳴するようになります。
ファンというよりも「四角大輔」というキーマンの元に集まった仲間。
お互いの生き方をリスペクトし合う風土が〈Lifestyle Design .Camp〉内で広がっているのだと思います。
大輔さんがもともと音楽アーティストのプロデューサーだということもあり、サロンの中では「アーティスト」「プロデューサー」という言葉がみんなの共通言語になっているんですよね。
なので、誰かが「自分のアーティスト性がわからない」と声に出した時には、他のメンバーが「あなたの〇〇が素敵」「〇〇が得意なのでは?」と、その人のアーティスト性を発掘するプロデューサー目線で見ていたりもする。
コミュニティが成長していく中で、さらに価値観が浸透していくと、アーティストも増えるし、プロデューサーも増える。それに伴って、横のつながりも深まってきています。
高田:ベースとなる価値観が揃っているからこその盛り上がりということですね。とはいえ、価値観が揃った人が集まっただけでは、ここまでコミュニティって成長しないと思います。純子さんが工夫されたことってたくさんあったんだろうなと思うのですが、具体的に教えていただけますか?浅野:大事にしていることはとにかく制限せずに自由であること。その人がやりたいという思いを汲んで、見守る姿勢を大事にしています。入会して間もないメンバーは、特によく見るようにしています。
例えばメンバーブログにコメントを入れつつも、その人の中にある「何かやってみたい」という気持ちが感じられたら、そっと背中を押す一言をかけるよう心がけています。サロン内では浸透している大輔さん流「(愛の)無茶振り」です。
高田:無茶振り(笑)浅野:例えば、「イベントをやってみたいな」とか、「みんなに話をしてみたいな」という思いが文面から感じとれたら、「良かったらやってみてください、話してみてください」と声をかけるようにしています。
皆さんが心の中で「本当はやってみたいと思っている」行動をそっと促すような発言は多いかもしれないです。そして、その小さな一歩を踏み出す時、仲間がそばで寄り添って見守ってくれると勇気づけられますよね。
あとは、人と人とをつなげるようにしています。メンバーの興味関心やニーズを汲んで、メンバーを紹介する。
例えば、Camperは環境問題に関心の高い方が多いのですが、新規入会時に環境問題を学びたいという人がいたら、活動している仲間がいることを紹介してつないでいます。
最近は、Camperさんからもお仕事の相談などで「こういう人いますか?」って聞かれることも多くなりましたし、大輔さんの仕事で必要な人材をCamperからスカウトすることも出てきました。
業界を超えたCamper同士のコラボも多くなってきているので、そういうハブ的な役割はしているかもしれないですね。
高田:メンバーの皆さんの「アーティスト性」をつなげているわけですね。まさに派遣会社でのお仕事を活かされている感じがします。
浅野:派遣会社時代の「この人の長所はどこなんだろう」とか、「この人に合う職場はどこなんだろう」という視点は今のコミュニティマネージャーの仕事にもつながっていて。
Camper同士のマッチングだったり、皆さんの背中を押す言葉だったり、コミュニケーションスキルを発揮するフィールドが変わっただけなんだなと思いました。
コミュニケーションといえば、昨年以降はコロナ禍でリアルイベントができなくなっているので、できるだけCamperとオンラインで顔を見て交流する機会を作ろうとしています。
私がCamperとマンツーマンでトークする企画があって、相談に乗ったり、その人のライフストーリーを聞いたり、じっくり向き合っています。
そうするとお互いのことがよく分かるようになるし、リアルで会えなくても距離感が一気に近くなります。
高田:300人を超えるコミュニティで1対1でメンバーさんと話すって、なかなかできないですよね。
浅野:そうですね。
でも、
オンラインでも顔を見て声を聞きながらお話をすると、お互い温かい気持ちになるし、300人300色のニーズがあるから。そういう一人一人のニーズを知れるので、すごい良い機会だなと思っていて。
リアルの集まりが積極的にできない代わりに、今だったら海外の人ともZoomでできるし、そういう部分はオンラインサロンならではの強みなのかなと思います。
〈後編に続く〉 ***
浅野純子
ニュージーランド在住の執筆家・森の生活者、四角大輔主宰オンラインサロン〈LifestyleDesign.Camp〉コミュニティマネージャー。新卒でユニ・チャームの事務経験を経て、財閥系企業など人材サービス業界で18年の経験。2020年4月よりフリーランス。2020年12月に東京から長野へ移住し、築100年の古民家暮らし。一点物とシンプルな空間、カレーに惹かれる虫嫌いな愛犬家。
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高田 和樹
コミュニティコンサルタント・プロデューサー
アパレル、大手メディア運営企業、外資系研修会社等を経て、プロのカヌー選手として国内外を転戦。アスリートの傍ら、オンラインコミュニティ黎明期の2010年代からコミュニティプロデューサーとして活動開始。会員組織の活性化はもちろん、コミュニティを起点とした新規ビジネス創出を得意としている。理論だけでなく、自らコミュニティを運営してきたリアルな成功、失敗体験に裏打ちされたアドバイスで大手出版社、メディアコンテンツのコミュニティDXを推進。SNS運営やPCのセッティングまで「コミュニティ成功のためならできることは何でもやる」のが信条。最近の趣味は焚火。以来、コミュニティと薪に火を着け続けている。
Text. 高田和樹 / コミュニティプロデューサー