オンラインコミュニティをゼロから立ち上げる前に押さえておきたい“3つの重要ステップ”を、最新の運営事例とともに図解で紹介。目的の設計、関係性の育み方、持続可能な運営体制まで、失敗しない始め方を丁寧に解説します。(2025年7月更新)
「オンラインコミュニティに興味はあるものの、なにから始めればいいのかわからない...」
このようなお悩みの声をよくいただきます。現在では多彩なコミュニティが運営されるようになりましたが、自分自身でコミュニティを運営していくことを考えると、「どのようなことを決めて 」「どのようなコミュニティの姿を目指していくべきか 」が具体的イメージできない方も少なくないと思います。 オンラインコミュニティの作り方は多種多様なものですが、共通する点もあります。それは「一番最初の準備が非常に重要 」であること。特に大切なのは立ち上げ前に「目的・メンバー・コンセプト」の3点を言語化し、立ち上げたいコミュニティの解像度を解像度を上げていくプロセス です。 そこで今回は、コミュニティをスタートさせたいと思った際の準備段階で行う「コミュニティ設計 」で重要になる3つの要素について紹介します。
🔍本記事でわかること ・オンラインコミュニティを始める前に必ず押さえておきたい3つの準備ポイント ・世界観や関係性を軸にした、参加者が集まり続ける設計のヒント ・実際の運営事例から学ぶ、コミュニティを継続・活性化させるコツ
オンラインコミュニティを作る上で、なぜ コミュニティ設計が大切なのか?
コミュニティ設計とは「自身が作りたいコミュニティの姿をイメージし、それを具体的な設計に落とし込むプロセス」 を指します。 オンラインコミュニティは、基本的には数年単位で運営していくことを念頭に立ち上げられます。そのため、見切り発車的にコミュニティを他立ち上げてしまったり、具体的なビジョンがない状態で始めてしまうと、運営時に苦労してしまう場合が多い です。 例えば、コミュニティ内での盛り上がりがイマイチになってしまったり、最悪の場合は早期にコミュニティをクローズ(閉鎖)してしまう事態に陥ってしまいます。 オンラインコミュニティの運営には、少なからず費用的・人的・時間的なコストが発生するもの。しっかりと考慮すべき点や決めるべき点をクリアした上で、自分(自分たち)だけのコミュニティの作り方を定めた「設計図」を用意する必要があります 。 今回は、コミュニティ立ち上げの第一段階として重要になるコミュニティ設計で大切な要素を以下の3つと定義しています。
1.目的設計: 活動(事業)目的や想定されるメンバーにとっての価値を俯瞰的に検討し、オンラインコミュニティの活動目的を設計していくこと2.メンバー設計: オンラインコミュニティをスタートした際にどのようなメンバーに集まってほしいかを考え、具体的なメンバー像を具体化させること3.コンセプト設計: オンラインコミュニティの目指す姿を言語化し、内外に伝わるコンセプトを策定すること
では、オンラインコミュニティを立ち上げるうえで、この3つの設計では具体的にどのようなことを考えていけばいいのでしょうか?以下に具体的に説明していきます。
1.目的設計:オンラインコミュニティの「目的」を明確にしよう! 「目的設計」とは、自身や自社の活動(事業)目的や想定されるメンバーにとっての価値を俯瞰的に検討し、オンラインコミュニティの活動目的を設計していくことを指します。
下記の図のように、
「コミュニティの目的」「活動(事業)の目的」「メンバーにとっての価値」が重なり合っていく設計を行い、コミュニティの基礎的な部分を作る大切なプロセス です。
11.png 603.08 KB オンラインコミュニティの「目的設計」で重要になる三要素 例えば、オンラインコミュニティを運営する目的が自身や自社の活動(事業)内容とギャップがある場合、普段の活動(事業)とのギャップが生まれ、コミュニティの優先度が低下しコミュニティ運営がおろそかになってしまうことがあります。
一方で、コミュニティの活動目的とメンバーにとっての価値にギャップが生まれてしまうとコミュニティが活性化せず、不満を感じやめてしまうメンバーも増加してしまいます。
つまり、オンラインコミュニティを作る際に重要になるのは、「
オンラインコミュニティがどのような位置付けで、どのような価値提供を目指していくのか 」を定めていくことだといえます。
コミュニティをスタートする前には、やりたいことが次々と思い浮かびます。しかし、持続的なコミュニティを作っていくためには、まず
「コミュニティの目的」「活動(事業)の目的」「メンバーにとっての価値」の3つの観点から洗い出しを行い、すべてが重なる領域に活動の軸に据えることが大切 になります。
2. メンバー設計:メンバー像を具体化し、まずは熱量の高い初期メンバーから集めていこう!
目的設計した後に行うのが、コミュニティをスタートした際にどのようなメンバーに集まってほしいかを考える「メンバー設計」です。
ここでは、
目的設計で定めたメンバーにとっての価値を踏まえ、コミュニティの目指す姿からイメージするメンバー像を定量/定性的に言語化し、そのような人がコミュニティに入ってもらえる集客手段などを考えます 。
特にオンラインコミュニテイの立ち上げ当初に集まってもらう「初期メンバー」は、下の図のように今後のコミュニティ運営を活性化させていくためにもとても大切な方々となります。
13.png 616.45 KB オンラインコミュニティにおける「メンバー設計」のポイント 例えば、参考になるのはSNSのフォロワーや、イベントやライブ配信などに参加してくれるファンの方々の属性を分析してみること。そこからコミュニティのビジョンや表現したい世界観とすり合わせながら、集まってほしいメンバーの解像度を上げていくとよいでしょう。
また、現在SNSのフォロワーになってもらっている方の中でも、投稿にコメントをしていただける方など熱心に応援してくれるファンの方もいるかと思います。そのような方はコミュニティに入っても熱量高く応援してくれる傾向にあり、横のつながりを活性化させてくれる心強い存在になります。そのため、
初期メンバーは熱量が高くリアクションや発信に積極的なメンバーを中心に構成 することをおすすめします。
ただし、必ずしもSNS上での熱心なフォロワーとオンラインコミュニティの目的や世界観が合致しないこともあるので、そこには注意が必要です。また、オンラインコミュニティの集客手段はSNSだけでやるものとは限りません。
下記の関連記事にあるように、ご自身の活動(事業)にマッチした集客手段を考え、なるべく早めに初期メンバーの候補となる方々とコミュニケーションをとっていく機会を増やしていくのがベターでしょう。
関連記事: 【オンラインコミュニティの作り方】コミュニティを始めるにはメンバーは何人必要なの? 〜コミュニティ立ち上げ期の集客への考え方〜
メンバー像を言語化させていくと、徐々に最初のスタート時点でどれくらいの規模でスタートさせていきたいのかもクリアになっていきます。 最初は「なるべく多くの人をコミュニティに集客したい」と考えていたものが、少しずつ現在の自分の状況や実現していきたいコミュニティの姿が明確になるにつれて、より具体的な人数になっていきます。
3. コンセプト設計:コミュニティ内外に伝わる「コンセプト」を言語化していこう!
目的設計とメンバー設計のプロセスで、イメージするコミュニティの解像度は高くなってくると思います。そのようなプロセスを経た後に非常に重要になるのが、コミュニティの理念ともいえる「コンセプト設計」です。 コンセプトを考える際には、以下の2つの視点で検討を重ねていきます。
【メンバーにとって「○○な場である」が落とし込まれているか】 目的設計で言語化した「メンバーにとっての価値」を踏まえ、コミュニティに参加するメンバーにどのような価値が提供できるのかをキーワード化して表現できているのかを確認します。【対外的に打ち出すキャッチコピーの骨格になっているか】 今後コミュニティのPRを行う際に、このコンセプトを軸として、伝えたいメッセージ(キャッチコピー)を展開できるかを考えます。
コミュニティを作っていく上で、コンセプト設計は「私たちがどのようなコミュニティを目指していくのか」「どのような人に集まってほしいのか」を言語化していくプロセスです。 コンセプトが定まることで、そのようなコミュニティを実現するために「どのようなコミュニケーションの動線を作るべきか」や「どのような活動をするべきか」「どのような機能やルールを設けるべきか」 といった、個別具体的なコミュニティの作り方が明確になります。
コミュニティ設計は運営後にも役に立つ!
ここで、オシロが開発・運用するコミュニティ専用オウンドプラットフォーム「OSIRO」をご導入いただきオンラインコミュニティから事例を紹介します。
YouTubeチャンネル登録者49万人を超える人気書評YouTuber・アバタローさんは、OSIROを導入しオンラインコミュニティ「
Book Community Liber 」(以下、Liber)を運営しています。
アバタローさんはコミュニティのスタート時にオシロとともに綿密なコミュニティ設計を実行し、Liberのコンセプトを「本と仲間と出会えるアウトプットの遊び場」と策定しました。その結果、
Liberは運営スタート1か月目から順調に活性化するコミュニティへと成長 していきました。
liber community.jpeg 181.3 KB 一方で、
コミュニティ設計時に考えたことは、オンラインコミュニティとして成長し人数が増えてきた頃に活きるものであった ともいいます。
人数が増えるにつれて、オンラインコミュニティに対しての認識のずれが生まれてしまうもの。アバタローさんはその際、コミュニティ設計時に考えた「
コミュニティの目的やコンセプトに立ち返り、メンバーへと丁寧に説明することで軌道修正ができた 」と振り返ります。
コミュニティ設計はとても悩ましく、今後想定するメンバーのことや、目指したいオンラインコミュニティの姿を考えていくのは難しいものです。しかし、
スタート時点で策定したコミュニティの目指す姿は、運営に悩んだ際に立ち返る「初心」となります 。
オンラインコミュニティは中長期的に運営していくものです。だからこそ、最初の一歩は非常に重要になる のです。
▼詳細はこちら 書評YouTuber・アバタローさん主宰 日本最大級のオンライン読書コミュニティ「Book Community Liber」誕生秘話と活性化の工夫
まとめ
このように、コミュニティを設計していくプロセスは自身や自社の活動(事業)やファンとの関係性を棚卸しし、改めて価値提供のあり方を考えていく作業 ともいえます。しかし、そのプロセスを踏むことでコミュニティの立ち上げから成長までの段階がスムーズになります。その結果、コミュニティ内でメンバー同士の横のつながりも生まれやすく、活発なコミュニケーションから共創も生まれやすくなります。 しかし、コミュニティ設計を一人または自社だけで考えることは難しく、コミュニティへの知見が豊富なアドバイザーとともに検討を重ねていくのがベター です。
💡本記事のまとめFAQ Q1. オンラインコミュニティを運営したい。まずなにから始めるべき? A. オンラインコミュニティは中長期的に運営していくものであり、費用・人手・時間といったコストが伴います。まずは、考慮すべき点や意思決定すべき項目を整理し、「自分(たち)だけのコミュニティのあり方」を定めるコミュニティ設計から始めましょう。Q2. コミュニティ設計とはなんですか? A. コミュニティ設計とは、「理想とするコミュニティの姿」を思い描き、それを実現するための要素を具体的に設計するプロセスです。特に「目的」「メンバー」「コンセプト」の3要素を言語化し、イメージの解像度を高めることが重要です。Q3. オンラインコミュニティの立ち上げを検討する上で考えるべきこととは? A. 設計において押さえるべき3つの要点は、①目的設計(何のためのコミュニティか)、②メンバー設計(どんな人たちに参加してほしいか)、③コンセプト設計(その場ならではの価値や世界観をどう伝えるか)です。Q4. コミュニティ設計をすることにはなんのメリットがあるのでしょうか? A. 設計を行うことで、メンバーが自然と参加しやすく、長く関わりたくなるようなオンラインコミュニティを作ることができます。また、トラブルや過疎化の予防にもつながり、運営の負担も軽減されます。 Q5. オンラインコミュニティを長く続けていくコツは? A. 初期段階で「どんな場にしたいか」という理想像を明確にし、ブレない“軸”を持つことが大切です。コミュニティは多様な人が集まる“生き物”のような存在。だからこそ、最初に客観的な視点を交えながら丁寧に設計・議論を重ねておくことで、長く育てていける場になります。