「わたしとあなたの終わらない思索とおしゃべりを」me and you clubが目指す、安心して自分の言葉を置いておける場所
2026.07.31
事例記事
2021年に「me and you」を立ち上げた編集者の竹中万季さんと野村由芽さんが運営する「me and you little magazine & club」。メディアとコミュニティの二軸から、属性に関係なく互いの声を掬い上げ「私(me)」と「あなた(you)」がフラットに話せる場所をつくりあげています。安心して自分の言葉を紡ぎ、語り合えるコミュニティはいかに生まれ、どのように醸成されていったのでしょうか。竹中さん、野村さんに聞きました。
me and you little magazine & club og.png41.15 KB 竹中万季さんと野村由芽さんが立ち上げたme and youが運営する、「わたし」と「あなた」という小さな主語を大切にしながら、小さな違和感も幸福もなかったことにせず個人的な想いや感情を尊重し、社会の構造まで考えていく場所。 小さな声や、語られていなかったこと、ものごとの複雑さなどを重視しながら、変わりゆく自分や他者、世界を考えるきっかけとなる読み物を届ける「little magazine」、「わたしとあなたの終わらない思索とおしゃべりを」をコンセプトに、安心して話しはじめることができ、信頼できる人が見つかるかもしれないコミュニティ「club」の二つの軸から場所をつくっている。
ーーまずは、「me and you little magazine & club」が創設された経緯についてご紹介いただきたいです。
竹中万季さん(以下、竹中さん): 私たちがme and youを立ち上げたのは2021年の4月なのですが、それまでは2人ともCINRAという会社で「She is(シーイズ)」というコミュニティメディアを立ち上げ、運営していました。当時はクライアントワークで新しいウェブメディアを立ち上げる仕事をよくやっていたのですが、その一方で「自分たちが本当に必要としてる場所って、どういう場所なんだろう」という話を二人でよくしていたことが立ち上げのきっかけとなりました。
野村さん:自分自身の 「女性」という属性に向き合いながらも、同時にまた異なる属性とともに生きているさまざまな個人と「一人の『私(me)』と『あなた(you)』という小さな主語で話せるような場所があったらいいね」という話になりました。それが現在の「me and you」の創設へとつながっていきました。DSC00556.jpeg7.13 MB野村由芽さん
でも、だからといって「じゃあオンライン上にはなんの可能性もないのか」と言われると、そうではないはずだとも思っていて。me and you clubは完全にオープンではないものの、知っている人だけのクローズな場所ではなく、me and youの思いを共有している人たちが集う開かれた場所です。そういった開かれ具合だからこそ、心地よい距離感を築け、交わせる言葉があると思います。 about me and you club.png77.43 KBme and you clubのコミュニティサイト(提供: me and you)
ーー「me and you」はWebメディア(little magazine)がありつつ、コミュニティ(club)はOSIROで運営する二軸運営になっています。このような運営体制にしたのには、どのような経緯があるのでしょうか?
例えば、ある時Zoomで行った会で、ブレイクアウトルームを使ってメンバー同士でランダムにおしゃべりする時間をつくったところ、そこで一緒になった2人が意気投合したことがありました。そんな偶然の出会いから仲良くなって、後日そのうちの一人が間借りで喫茶店を始めることになった時に、もう一人のメンバーがお店のロゴなどのデザインを手がけるほどになりました。 me and you club のグループ.png152.98 KBme and you clubでは興味関心に合わせて選べるグループがあり、それぞれのテーマについてつぶやきやブログが投稿できる。また、各グループでのイベントも開催されている(提供: me and you club)
竹中さん: あと、最近導入された「みんなの本棚」がメンバーの間でもとても好評です!今年の2月には『「みんなの本棚」を見ながら語らおう』というイベントを開きましたが、メンバーがお勧めの本を紹介し合うのがとても楽しく、バーチャルな本棚をみんなでつくっているような感覚があり、とても楽しい機能だと思っています。 me and you clubのみんなの本棚.png841.03 KBme and you clubの「みんなの本棚」(提供: me and you club)
竹中さん:少ない人数で運営しているからこそ、メンバーの皆さんがどんな企画だったら楽しんでくれるか、一つひとつを大切に考えています。例えば、以前3回に分けて開催した「ミニ編集ワークショップ」は、それぞれ「企画」「相互インタビュー」「執筆」とテーマを設定し、それに沿って普段私たちが大切にしていることを話した上で、メンバーの方々にワークをしていただき、その場でシェア・フィードバックをするものでした。このワークショップはとても評判が良くて、参加した皆さんも楽しんでいただきながら素敵なアウトプットを出してくれて、me and you clubには本当にさまざまな興味関心や素敵な視点を持った方がたくさん集まってくださっていると改めて実感しました。
野村さん: 仕事をしていると、日々の忙しさのなかで自分の好きなカルチャーや深い内面が置き去りにしてしまうこともあります。でも、この場所に来ると自然と話し出すことや、かつて好きだったものを思い出すことができる。me and you clubが、皆さんにとってそんな場所だと思っていただけるような取り組みをしていきたいと考えています。
ーーそれでは最後に、me and youとして今後やっていきたいことやご展望など、コミュニティの中でメンバーの皆さんと一緒にこれからどのようなことを育んでいきたいか、お二人の思いをお聞かせください。
野村さん: me and youとして「5年後に絶対こうなっている」「10年後はこう」という明確に明文化された目標があるわけではないなと思っています。ただ、前身の活動の時からずっと続けてきている「一人ひとりの個人の声をなるべく大切にし、残していく」ということ、あるいは「さまざまな異なる状況がある中で、それでも個々が疎外されず、のびやかに生きていくにはどうしたらいいか」ということは、これからも色々な形で考えていきたいです。
竹中さん: me and you clubについて言うと、ここで出会った人たちが自発的になにかを始めたり、そのためのきっかけになるような場所になっていきたいです。「自分には何もできないな」と思って過ごしていると気持ちが塞ぎ込んでくると思うんですけど、小さくても「なにかをやってみた」という経験は、生きる自信になりますよね。そういった一歩を踏み出したくなるようなことを、me and you clubでやれたらいいなと思っています。
竹中万季さん me and you 代表取締役 編集者/プロデューサー 広告会社に勤めたのち、2015年CINRA入社。企業や行政とのメディアやイベントの立ち上げなどさまざまな案件に携わり、施策全体のプロデュース、企画、ディレクション、編集など幅広く担当。 2017年に同僚の野村由芽と共に、ひとりひとりの声を肯定する場所「自分らしく生きる女性を祝福するライフ&カルチャーコミュニティ“She is”」を立ち上げ、ブランドリーダーを務める。 2021年4月にCINRAを退職し、同月、野村由芽と共に株式会社ミーアンドユー(me and you, inc.)を立ち上げ、代表取締役に就任。 個人と個人の対話を出発点に、遠くの誰かにまで想像や語りを広げる活動を行なっていく。 主な仕事領域はプロデュース、ディレクション、企画、編集。社会に存在する課題を見据えながらも、個人の小さな声を大切にしながら、 それぞれの人の温度や思いを伝えていく仕事を心がけている。
野村由芽さん me and you 取締役 編集者/文章を書く 広告会社に勤めたのち、2012年CINRA入社。 カルチャーメディアCINRA.NETの編集、企画、営業を行い、アジアのクリエイティブシティガイドHereNowの東京キュレーターを担う。 さまざまな企業のオウンドメディアの立ち上げにも携わり、コンセプトやストーリー立案、コピーライティングを主に担当。 2017年に同僚の竹中万季と共に、ひとりひとりの声を肯定する場所「自分らしく生きる女性を祝福するライフ&カルチャーコミュニティ”She is”」を立ち上げ、編集長を務める。 2021年4月にCINRAを退職し、同月、竹中万季と共に株式会社ミーアンドユー(me and you, inc.)を立ち上げ、取締役に就任。 個人と個人の対話を出発点に、遠くの誰かにまで想像や語りを広げる活動を行なっていく。 主な仕事領域はインタビュー、コラム・エッセイ執筆、コピーライティング、司会。 遠くと近くを行き来しながら、相手の言葉に耳を傾け、対話をしながらひとときその人の風景に潜ったり、一緒につくっていくような編集視点を心がけている。