熱量研究ブログ
オンラインコミュニティの実態と効果的な運営術に迫る『コミュニティ熱量研究所』。所長こと、オシロデータサイエンティスト鈴木を筆頭に、コミュニティ運営に精通した研究員が、実際の経験を元にさまざまな運営ヒントをお届けします。
すでに4月も中頃になってしまい、ホントバタバタしてたなぁと反省中の今日この頃。
職場では風物詩のように「退職者へのメッセージをお願いします」的なメールと「4月からよろしくお願いします」的なメールがラッシュアワーで、
そうか人事の季節だなぁと。
大きな窓から春の木漏れ日を全身に受け止めて思いにふけっていました。
どうも、この4月からも無事、窓際族のすないぱーです。
今回僕はこの春に「退職、雑談、ムードメーカー」と、ちょっとしたドラマがあったのでそのことをテーマに書いていこうと思います。
テーマは雑談を生みやすいムードメーカーの大切さとその環境を創る企業組織の役割ってなんだろう?といったところでしょうか。
それではお話を戻すと、この手の「退職者へのメッセージをお願いします」的な連絡は「もしかしたらこの人も関わりあるかも?」ていう人全員にいく為、中途半端に社歴の長い僕のメールボックスはパンパンなのです。
大事なメールも含めて、新着一覧がバナー広告かってくらい、見えなくなってくるんですよ。
とほほ。
もう疲れてしまったので、同じ部署の派遣スタッフのワカメちゃんの退職に至っても、文例集のコピペを一応貼って、
”はい、確かにやりましたよ”とアピールをする始末。
「お世話になりました。今後のご活躍を祈っています!」
我ながら最悪な同僚ですね 。
一応、弁解しておくと、僕はこの手のタスクは一旦手をつけておき、納品は担保したうえで時間のある時に中身を練るタイプ、いや、けっこう練らないタイプでもあるな…
そこで取り急ぎ今回もこういったテンプレが定まっている「お祈りメール」をしてしまったわけです。
そんなことがあって数日後、コロナ禍で出社制限がある中、久しぶりにオフィスに行くと先述の退職予定のワカメちゃんと会議が一緒になり、少し話したんですよね。
ワカメちゃんは部署の庶務さんで、上司にも窓際社員の僕に対してもフラットに接してくれるムードメーカー的な存在。
本当にありがたいです。
最近は定例会議がオンライン化したので、コミュニケーションがタスクの確認のようになってしまい、ここ数年何かコミュニケーションに関してドライな感覚があったのですが、
彼女はよく笑い、時に厳しい一言で実に”手ざわり感のあるコミュニケーション”を大切にしている方だったんですよね。
僕が上司に叱られる前に「〇〇やっておいたほうがいいですよ」なんて一声かけてくれる素敵キャラ。
「久しぶりだね〜」なんて話をし始めると、自分が彼女に送ったあの渇いた”お祈りメール”が思い出されて胸が痛む。
「目の前にいる御方はお前が一番大事にせなあかん人やんけ」
どこからともかく、リトルすないぱーの声(心の声)が聞こえてくる。
油断すると、オンライン上でのコミュニケーションは冷たくなりがちですよね。
必要なコミュニケーションのみになってしまって、業務連絡ばかりというのも寂しいものです。
リモートワークはコミュニケーションが雑になったり、心理的距離の変化から、お祈りメールを生むまでになるのだから人間って恐ろしいですよね。
いや、完全に僕自身の問題なんだけど。
「ところで、ワカメちゃん、転職活動はいい感じなのかしら???」
この心境を打破すべく、まずは質問だ!会話しろ!僕!!
「実はかなり厳しい状況でして…このまま最終出社を迎えると思うと苦しいです」
「踏んだな、地雷。」
またまたリトルすないぱーの声。
我ながら無神経の極み。
僕はわりとど真ん中から地雷を踏んでしまいがちなのです。
ワカメちゃんなら「とっくに良いところを見つけてるに違いない」と思っていたんですよね。
能天気な自分が恥ずかしい。
しかし、コロナ禍の転職活動はかなり困難で行き詰まっているようでした。
「ぼ、僕で力になれることがあったら何でも相談して…」
ほら、またお祈りメールのような定型文。
あたりさわりのない残念なオトナぶりを発揮して後悔。
しかし、そこはムードメーカーなワカメちゃん
「ホントですか!?助かります。ありがとうございます。」
うそーーーーー!頼ってくれるの!?
というわけで、僕は微力ながらワカメちゃんの転職活動の手伝いをさせてもらうことに。
面接練習の相手くらいにはなれるかもしれないなぁ。
面接は場数って言いますよね、オンラインだと話のテンポなど慣れも必要なハズ。
『志望動機は?』『あなたの特技は?』みたいな定番の質問を何度も練習しますが、
いやぁ、やってみると面接官の役もけっこう大変なのね。
ワカメちゃんは僕みたいなヘタレ面接官が相手ということもあって、あっという間に雰囲気に慣れてしまったので、それ以降はさらなるブラッシュアップのために、色んな先輩にも面接練習の相手をしてもらったらしい。
「あんた、ワカメちゃんの面接練習パジャマでやってんの?」
という一言が会議の冒頭で出たときには流石に驚いた。
ワカメちゃん…余計な部分もしっかりバレていた。やめてくれ。
でもよくよく考えると、彼女がいない場所でも彼女のことが話題になっているのはすごい
こと。
会議の中にちょっとした雑談の余白ができて、渇いた会議に潤いが戻ってきたような感覚がありました。
(たぶん、僕のいないところでも色々僕のことが話されているだろうと思われる)
これって凄いコミュニティ的じゃないですか??
コミュニティ的に考えると、『共通の話題で盛り上がる、しかもその話題がメンバーについて』というのはまさに交流と共創がメンバー同士で起きている証かなと思いました。
事務連絡や情報を一方的にやり取りをするようなコミュニケーションではまず起こり得ない。
リモートという距離間があるやり取りでも”手触り感”のあるコミュニケーションを大切にしているメンバーが一人でもいるだけで、他のメンバーにも交流が生まれるんだなと実感しました。
こういった温かいコミュニケーションを活発に起こすためには、会社組織って業務遂行のためだけにあるんじゃなくて、コミュニティ・居場所としての役割も大きいよなぁと改めて実感し、コミュニティマネジメントの視点を会社組織の運営に取り入れてみるとヒントになるかも!そんなことを感じたのでした。
さてさて、忘れないうちにPCをひらかねば。
ワカメちゃんへのメッセージ。
僕はワカメちゃんに改めてメールを送ろうとフォルダに一時保存されたお祈りメールの書き換えをせっせと始めたのでした。
「面接練習、僕も気づきが多かったです。ステキな春が来ますように、引き続き応援して
います…」そう考えるとバナー広告のようなメール群もまた、違った見え方をしてきますね。
一歩立ち止まって時にはゆっくりと”お祈りメール”と向き合うのもいいかもしれません。
窓際からの陽光は今日もカラッと晴れてて眩しいです。ではまた、いずれ。
(こんなこと言ってるからいつまでも平社員なのでは…???)
OSIRO資料のダウンロード すないぱー/川島崇組織・人づくりファシリテーター
コミュニティ熱量研究所 研究員
転勤族の両親の間に生まれ、自分で居場所をつくりにいかなければならない環境で育つ。現在は東京と滋賀の2拠点生活をしながら、地域コミュニティやオンラインコミュニティを運営。世界70ヶ国を旅する旅人の顔も持ち、カメラを持つとスナイパーと呼ばれる。『人は人で磨かれる』を信じて様々な世界に出かけていく日々。
Twitter @sp_kawashi Text: 諏訪下 優知 / コミュニティライター